
墓じまいはなぜ急増している?
増えている3つの理由と家族への話し方
【2026年7月更新】
「最近、『墓じまいが急増している』『墓じまいをする人が増えている』というニュースを見て、本当なのだろうかと気になっていませんか。」
地元を離れて何十年も経ち、両親も他界して、実家のお墓の管理はうやむやのまま。
分かってはいるけれど、なかなか動き出せない。
そんな状況で「墓じまい急増」という言葉を目にするたび、胸の奥が少しざわつく。
そんな方は少なくありません。
結論からお伝えします。
墓じまいの急増は事実です。
厚生労働省の統計でも、お墓の引っ越しにあたる改葬手続きの件数は年々増え続けています。
その背景にあるのは、少子高齢化・後継者不足・遠方管理の負担という、誰か一人の責任ではない社会の変化です。
お墓を管理できていないのは、あなたが特別に不真面目だからではありません。
ただし、「急増の理由は社会の変化」と分かっただけでは、実家のお墓の問題は何も動きません。
大切なのは、理由を知ったうえで「うちは墓じまいを考えるべき状況なのか」を判断することです。
実は、その判断の手がかりは3つに絞られます。
実際、過去のご相談でも「先祖の古いお墓が遠方にあり、今後の管理が難しいので墓じまいを考えはじめた」というお声を数多くいただいてきました。
同じ場所で立ち止まっているのは、あなただけではありません。
この記事では、墓じまいが急増している社会的な背景と理由を分かりやすく整理したうえで、自分の家が当てはまるかを確認するための3つの共通点、そして家族への相談の切り出し方までを順番に見ていきます。
読み終えるころには、漠然とした不安の正体がはっきりし、夫や兄弟に「実家のお墓、これからどうする?」と落ち着いて話せるようになるはずです。
この記事を読んで分かること
- 改葬手続きの件数から見る墓じまい急増の実態
- 少子高齢化や人口移動など件数が増えた社会的な背景
- 自分の家が当てはまるかを確かめる判断の目安
- 夫や兄弟への相談の切り出し方と確認する項目
ぜひ最後までお読みください!
目次
墓じまいは年間10万件を超えて増えている

「墓じまいが増えている」という話をニュースやテレビで見かける機会が、ここ数年で明らかに増えました。
これは気のせいではありません。
厚生労働省「衛生行政報告例」によると、お墓の引っ越しや墓じまいにあたる改葬手続きの件数は増加傾向が続いており、令和3年度の時点で年間10万件を超えています。
さらに直近の統計では年間16万件を超えるまでに増えており、1日に換算すると全国で400件以上のお墓が動いている計算です。
この数字が意味するのは、墓じまいがごく一部の特別な家庭だけの出来事ではなくなったということです。
地方のお寺や霊園では、管理する人のいなくなったお墓が年々増え続けており、自治体やお寺もその対応に追われているのが現状です。
持ち主と連絡が取れないまま荒れていくお墓は、霊園全体の環境にも影響するため、放置されたお墓への対応は多くの地域で課題になっています。
テレビの情報番組や新聞で「墓じまい」が特集されるようになったのも、この件数の増加が背景にあります。
社会全体として無視できない規模の問題になっているからこそ、繰り返し取り上げられているのです。
墓じまいという言葉自体は新しいものではありませんが、「自分には関係ない」と思っていた方が当事者として向き合うことになるケースが、今この瞬間も全国各地で増え続けています。
「最近よく聞く」という感覚はまったく正しく、それだけ多くの家庭が同じ問題を抱えているということでもあります。
では、なぜこれほどの勢いで件数が増えているのでしょうか。
次の章で、その社会的な理由を整理していきます。
墓じまいが急増している理由は社会構造の変化にある

墓じまいの件数が年間10万件を超えるまでに増えた背景には、特定の誰かの事情ではなく、日本社会全体に起きている構造的な変化があります。
主な理由は次の3つです。
| 急増の理由 | 起きていること |
| 少子高齢化 | お墓を継ぐ子や孫がいない家庭が増えた |
| 都市部への人口移動 | 遠方のお墓に定期的に通える人が減った |
| 維持費の負担 | 高齢・収入減の家庭に年間管理費が重くなった |
順に見ていくと、どれも「うちにも心当たりがある」と感じるものばかりのはずです。
少子高齢化でお墓を継ぐ子や孫がいない家庭が増えた
お墓は、代々誰かが引き継いで守っていくことを前提に作られています。
しかし現代では、その「引き継ぐ人」がいない家庭が急増しています。
子どもが1人もいない家庭、いても1人だけという家庭は珍しくなくなりました。
一人っ子どうしが結婚すると、両家のお墓をどちらも継がなければならないというケースも生まれています。
娘だけの家庭では、嫁ぎ先との兼ね合いでお墓を継がせにくいという事情もあります。
さらに高齢化が進む中で、お墓を守ってきた世代が亡くなったあと、次の担い手がいないまま放置されるお墓も増えています。
かつては「長男が家とお墓を継ぐ」という形が当たり前でしたが、家族のかたちが多様になった今、その前提そのものが成り立たなくなっています。
「誰かが継ぐだろう」という曖昧な前提が、実は誰も継がないという結果を生んでいるのです。
都市への移住で遠方のお墓に通えなくなった
戦後から続く地方から都市部への人口移動は、お墓の問題とも深く結びついています。
地元を離れて都市部に移り住んだ子や孫の世代にとって、先祖代々のお墓は地方に残ったままです。
現役世代として忙しく働く中で、お盆やお彼岸のたびに遠方へ帰省し続けることは、体力的にも費用的にも簡単ではありません。
年に数回の帰省でも、往復の交通費や宿泊費、移動にかかる時間はまとまった負担になります。
年齢を重ねるほど、長距離の移動そのものがこたえるようにもなっていきます。
そして親世代が亡くなり、地元との縁が薄くなると、帰省の理由そのものが失われていきます。
「帰れない」という状況が、じわじわとお墓の管理を難しくしていくのです。
維持費や管理費が高齢・収入減の家庭に重い
お墓を維持するには、お寺や霊園への年間管理費が継続的にかかります。
金額は場所によって異なりますが、年間数千円から数万円という費用が毎年発生するのが一般的です。
現役のうちは払い続けられても、定年退職後に収入が減ったり、年金生活に入ったりすると、この費用が家計に与える影響は大きくなります。
「いつまで払い続けられるか分からない」という不安から、墓じまいを選ぶ家庭も少なくありません。
また、かかるのは年間管理費だけではありません。
お寺との付き合いにともなうお布施、古くなった墓石の修繕費、帰省のたびの交通費も積み重なります。
維持費だけでなく、草むしりや清掃といった現地での作業も、年齢を重ねるほど負担が増していきます。
お墓は一度建てたら終わりではなく、持ち続けるかぎり費用と手間がついて回るものなのです。
この3つの変化は、特定の家庭だけの事情ではありません。
現代の日本における標準的な家族の形が、自然とお墓の管理を難しくする構造を生み出しているのです。
お墓を管理できないのは特別なことではない
「お墓をちゃんと管理できていない自分は、先祖に申し訳ないことをしている」。
そんな後ろめたさを、ずっと一人で抱えてきた方は少なくありません。
でも、前の章でお伝えした3つの理由は、どれも個人の意識や努力だけでは解決できない社会の変化です。
管理できていないのは、あなたが不真面目だからではないのです。
帰れない・継げない・払えないは構造的な課題
地方出身で都市部に移り住み、実家のお墓だけが地元に残っている。
そういう家庭で起きているのが、次の三重の困難です。
- 帰れない——仕事や家のことで忙しく、遠方のお墓に定期的に通う時間も体力も確保しにくい
- 継げない——子どもがいない、あるいは子どもも都市部で生活しており、引き継げる人が家族にいない
- 払えない——定年後に収入が減り、年間管理費を払い続けることへの不安が大きくなっている
この3つのうち、どれか1つでも当てはまる方は多いはずです。
そして実は、3つすべてが重なっているという家庭も、全国に数多く存在しています。
お墓の後ろめたさを一人で抱える必要はない
前の章でお伝えしたとおり、改葬手続きの件数は年間10万件を超えています。
この数字は、墓じまいという選択が特別な決断ではなく、多くの家庭が直面する現実的な課題への対応になっていることを示しています。
実際、墓じまいのご相談では「実家のお墓が遠方にあり、今後誰が管理するのか家族の中で決まっていない」「管理費を払い続けているが、自分が亡くなったあとのことを考えると不安」といった声がとても多く聞かれます。
あなたと同じ悩みを、全国の多くの家庭が同じように抱えているのです。
お墓を守ることへの責任感は大切な気持ちです。
ただ、その責任感が「自分だけが怠けている」という誤った自責に変わってしまうのは、もったいないことです。
責任感があるからこそ悩み、悩むからこそ調べ始めている。
この記事を読んでいること自体が、お墓のことを真剣に考えている証拠でもあります。
大切なのは、後ろめたさを抱えたまま何も動かないことではなく、現状を正確に把握したうえで、家族と話し合いを始めることです。
では、どんな家庭が「そろそろ考えたほうがよい」段階にあるのか。
次の章で、判断の手がかりを具体的に見ていきます。
墓じまいを考えるべき家庭には3つの共通点がある
「急増している理由は分かった。でも、うちが本当に墓じまいを考えるべきかどうかは、どう判断すればいいのか」。
そう感じている方のために、判断の手がかりとなる3つの共通点をお伝えします。
実際に墓じまいへ進んだ家庭では、ほぼすべてのケースで次の3つのうち少なくとも1つが当てはまっています。
| 共通点 | よくある状況 |
| 後継者がいない | 子どもがいない・遠方に住んでいる・誰が継ぐか話し合えていない |
| 遠方で通えない | 新幹線や飛行機が必要な距離・帰省の時間が取れない |
| 維持費が続かない | 年金生活で年間管理費が負担・自分の亡きあとの支払いが心配 |
自分の家と照らし合わせながら、一つずつ確認してみてください。
後継者がいない、または決まっていない
お墓を将来にわたって守り続けるには、次の世代に引き継ぐ人が必要です。
しかし、その人が決まっていない家庭は、思っている以上に多いものです。
「子どもがいない」「子どもはいるが、遠方に住んでいてお墓の管理は頼めそうにない」「兄弟はいるが、誰が継ぐかで話し合いができていない」。
こうした状況は、どれも後継者問題の典型です。
特に注意が必要なのは、「まだ誰かが継ぐだろう」と漠然と思っているだけで、実際には誰とも話し合っていないケースです。
放置したまま年月が経つと、管理者不明のお墓になってしまいます。
そうなると、お寺や霊園側が対応に困るだけでなく、最終的には無縁墓として処理されることもあります。
「後継者が決まっていない」という状況は、それだけで墓じまいを真剣に検討してよい状況です。
今のお墓を誰が管理しているのか曖昧なままという方は、お墓の管理者が誰か調べる方法|上手な調べ方と確認後の進め方を解説で、確認の手順と進め方をまとめています。
遠方で定期的に通うことが難しい
お盆やお彼岸、命日。
こうした節目にお墓参りをしたくても、遠方に住んでいると簡単には通えません。
交通費と時間の両方がかかるうえ、体力的な負担も年齢とともに増していきます。
- 新幹線や飛行機を使わないと行けない距離にある
- 仕事や介護で、帰省のタイミングがなかなか取れない
- 高齢になってきて、一人での長距離移動が不安になってきた
こうした状況が続くと、お墓は草が生い茂り、汚れや傷みが進みます。
管理が行き届かなくなると、近隣のお墓に迷惑をかけてしまうこともあります。
「久しぶりにお参りに行ったら、お墓が草に埋もれていて胸が痛んだ」という経験をきっかけに、墓じまいを考え始める方も少なくありません。
定期的に通えない状態が何年も続いているなら、それは遠方管理が限界に近づいている合図です。
山道の先など行きにくい場所にお墓がある場合は、山奥のお墓でも墓じまいはできる|費用の目安と立会いなしで進める方法も参考になります。
年間の維持費や管理費の支払いを続けるのが難しい
お墓の維持費は、払い続けることが前提の費用です。
金額そのものは年間数千円から数万円でも、この先10年・20年と続くと考えると、決して小さな負担ではありません。
「今は払えていても、10年後・20年後も払い続けられる自信がない」「年金生活に入ってから、年間管理費が家計の負担になってきた」「自分が亡くなったあと、誰が払い続けるのかが心配」。
こうした不安を感じているなら、維持費の問題はすでに始まっています。
特にお寺の墓地の場合、お寺との関係を終える際に離檀料と呼ばれるお礼の費用が発生することがあります。
金額の相場や実際に払う必要があるのかどうかは、墓じまいの離檀料はいくら?費用相場と払う必要性についても解説で詳しく解説しています。
費用についての不安は、早めに確認しておくほうが安心です。
この3つの共通点のうち1つでも当てはまるなら、墓じまいは「いつか考えること」ではなく「そろそろ家族と話し合うこと」として捉えてよい段階にあります。
3つすべてが当てはまるなら、具体的な検討を始める時期はすでに来ているといえます。
家族への相談は「気になっている」の一言から
3つの共通点に心当たりがあったら、次にすることは家族との話し合いです。
といっても、結論や専門知識を用意する必要はありません。
「気になっている」という気持ちを伝えるだけで、話し合いは十分に始まります。
「分かってはいるけれど、どう切り出せばいいのか分からない」という方は多いものです。
実家のお墓の話は、あらたまって切り出すと重い話題に感じられますが、入口は日常会話の延長で構いません。
相談の入口となる言葉の例を挙げておきます。
夫・兄弟への切り出し方の例
- 夫へ:「最近、墓じまいのニュースをよく見るんだけど、実家のお墓のことが少し気になってて。一度、二人で話しておきたいなと思って」
- 兄弟へ:「実家のお墓、今後どうするか考えてる?誰が管理していくか、一度みんなで話せたらと思って連絡した」
夫への切り出しは、特別な知識や結論がなくても構いません。
「気になっている」という気持ちを伝えるだけで、話し合いのきっかけとして十分に機能します。
兄弟への切り出しは、少し具体的に「誰が管理していくか」という論点を添えると、その後の話がスムーズです。
兄弟と疎遠になっていて連絡しにくいという場合も、「お墓のことで話したいことがある」という用件があれば、連絡する理由として十分に成り立ちます。
実家のお墓は家族全員に関わる話題なので、切り出したことをとがめられるケースはほとんどありません。
むしろ「実は自分も気になっていた」と、相手も同じ不安を抱えていたことが分かる場合も多いものです。
家族と気持ちを共有できたら、次は現状の確認です。
話し合いを続けるために調べておきたいことは、次の3つに絞られます。
相談を切り出したあとに確認したいこと
- 今のお墓の管理者と名義が誰になっているか
- 墓じまいにかかる費用の全体像
- 取り出した遺骨をどこに納めるかの方向性
管理者と名義の確認は、この先どんな選択をするにしても必要になる基本情報です。
名義がすでに亡くなった方のままになっているケースも多く、確認しておくだけで話し合いの土台が整います。
費用の全体像は、複数の業者や霊園の情報を見比べながら、おおよその幅をつかんでおくだけで十分です。
とくに遺骨の行き先は、家族の気持ちに関わる大切なところです。
最終的な決断を急ぐ必要はなく、墓じまい後の納骨先はどこにする?6つの選択肢と費用・進め方のように選択肢を並べて眺めるだけでも、話し合いはぐっと具体的になります。
話し合いを始めても、家族の反応が薄いこともあります。
その場合も、焦る必要はありません。
一度話題にしておけば、次にニュースで墓じまいを見かけたとき、家族の側から「この前の話だけど」と続きが始まることもよくあります。
お墓の問題は、考えれば考えるほど複雑に見えてきます。
でも、家族と一緒に一つずつ確認していけば、思っていたよりもずっとスムーズに進むことが多いものです。
実家のお墓について家族に相談を切り出してみよう
墓じまいの急増は事実であり、改葬手続きの件数は年間10万件を超えて増え続けています。
その背景にあるのは、少子高齢化・都市部への人口移動・維持費の負担という社会全体の変化です。
お墓を管理できていない家庭が増えているのは、誰かの怠慢ではなく、時代の流れが生んだ結果です。
あなたが特別なわけではありません。
そのうえで、墓じまいを考えるべき家庭には3つの共通点がありました。
後継者が決まっていない、遠方で通えない、維持費の支払いに不安がある。
1つでも当てはまるなら、家族と話し合いを始めてよい時期です。
難しく考える必要はありません。
「実家のお墓、これからどうする?」という一言を夫や兄弟に伝えてみる。
それだけで、長年の漠然とした不安は「家族で一緒に考える具体的な問題」に変わります。
結論を急ぐ必要も、すぐに業者へ連絡する必要もありません。
まずは気になっている気持ちを言葉にして、家族と共有するところから始めてみてください。
あなたの家に合った答えは、話し合いのなかで少しずつ見えてきます。
参考リンク:


