
墓じまいで墓石はそのままにできる?
処分以外の5つの選択肢
【2026年6月更新】
墓じまいをするとき、墓石はそのまま残せないの?処分する以外に選べる方法はないの?──そう感じてこの記事にたどり着いた方も多いと思います。
先祖代々のお墓を、ただ処分してしまうのはどうしても申し訳ない。
その気持ちは、とても自然なものです。
そして、お伝えしたいことがあります。
墓じまいで墓石を「処分する」以外にも、自宅へ持ち帰る・別の墓地へ移して再利用する・一部を加工して手元に残す・石材店でリサイクルするといった方法があります。
墓石を、形を変えて残すことは決して珍しい選択ではありません。
ただし、墓石をどう扱えるかは、霊園や墓地ごとの管理規約によって変わります。
「持ち帰りたい」「加工して手元に残したい」と思っても、霊園の許可なしには進められないことがほとんどです。
だからこそ、選択肢の全体像を知り、霊園や石材店に確認を取ることが、後悔しない墓じまいへの最初の一歩になります。
この記事では、墓石の扱い方5つの選択肢を、費用の目安・手順・確認先とあわせて整理します。
さらに、費用・手間・気持ちの3つの軸で家族が納得できる方法を選ぶ考え方と、霊園か石材店への問い合わせという具体的な最初の一歩までをお伝えします。
読み終えるころには、「処分するしかない」ではなく「どれを選ぶか」という視点で、家族と相談を始められるはずです。
この記事を読んで分かること
- 墓石を残せるかは霊園の規約しだいという事実
- 持ち帰り・移設・加工など処分以外の道
- 扱い方ごとのおおよその費用と相談先
ぜひ最後までお読みください!
目次
墓石をそのまま残せないのは法律でなく規約のため

墓じまいを進めるとき、墓石はどう扱うのが正しいのか。
最初に押さえておきたいのは、「墓石をそのままにしておけない」のは法律で一律に禁止されているからではなく、霊園や墓地ごとの管理規約に基づいているという点です。
この違いは大切です。
「法律で決まっているなら仕方ない」と諦めてしまうより、「規約による」とわかれば、まず規約を確認するという具体的な行動に移れます。
更地で返すのが原則で、墓石の撤去は避けにくい
霊園や墓地を使うときには、使用者と管理者との間で使用契約が結ばれています。
この契約には「墓じまいを行う際は墓石を撤去して、更地の状態で返す」という条件が定められているケースがほとんどです。
これは霊園側が区画を次の使用者に貸し出すために必要な手続きで、「墓石をそのままにして解約する」という選択は、原則として認められません。
更地で返すことが求められるのは、主に次の2つの場面です。
- お寺や霊園との使用契約を解除するとき(お寺との関係を終えるとき・墓じまいの完了時)
- 霊園の管理者から、使用契約の終了を通告されたとき
どちらの場合でも、墓石の撤去は避けにくい手順になります。
なお、墓じまい全体の流れや手続きの詳細については、墓じまい完全ガイド|費用相場や手続きの流れを全て解説でまとめて確認できます。
勝手な放置や無断の持ち出しは認められないことが多い
「更地で返さなければならないなら、石をそのまま置いておけばいいのでは」と思う方もいるかもしれません。
しかし、管理者に無断で墓石を放置することは、使用契約に違反するとみなされるケースがほとんどです。
放置が続いた場合、霊園側が費用を立て替えて撤去し、その費用を使用者に請求するという事態になることもあります。
逆に、「自宅に持ち帰りたいから、こっそり業者に運び出してもらおう」という対応も問題になります。
霊園内の工事は、霊園が認めた石材店のみに依頼できると規約で定められていることが多く、管理者への事前申請や許可が必要なのが一般的です。
無断での搬出は規約違反となり、後々のトラブルにつながりかねません。
要するに、「放置もだめ、勝手な持ち出しもだめ」が原則です。
動く前に、まず霊園・墓地の管理者へ相談するという順番を守ることが大切です。
まず確認するのは霊園・墓地の管理規約
墓石の扱い方を考え始めるとき、最初に行いたいのは、霊園や墓地の管理規約を確認することです。
書かれている内容は霊園によって違いますが、次の3点はとくに大事なチェックポイントになります。
管理規約で確認したい3つのポイント
- 墓石の撤去・搬出に関するルール(工事を頼める石材店の指定があるかなど)
- 持ち帰りや移設を行うときの申請手続きと、必要な書類
- 更地で返すときの具体的な条件と時期
規約は、霊園の管理事務所に問い合わせれば確認できます。
書面で見せてもらえることもあるので、「管理規約を見せてもらえますか」と一声かけてみてください。
規約を確認しておくと、「自分たちが選べる選択肢はどこまでか」の範囲が見えてきます。
選択肢は、処分だけではありません。
次の章で、墓石の扱い方として実際に選べる5つの方法を整理します。
墓石の扱い方は処分を含めて5つから選べる

霊園の管理規約を確認し、管理者への申請手続きを踏んだうえであれば、墓石の扱い方は「処分」だけではありません。
大きく分けて5つの方法があり、それぞれ費用・手順・向いているケースが違います。
実際に選ばれることが多いのは、解体・撤去、別の墓地への移設、加工して手元に残す、石材店でのリサイクルの4つです。
自宅へ持ち帰る方法もありますが、選ぶ人はかなり限られます。
まずは全体像をつかんだうえで、霊園への確認と家族との相談を進めてみてください。
標準の解体・撤去(最も一般的な方法)
墓じまいで最も多く選ばれているのが、石材店に依頼して墓石を解体・撤去し、更地にして霊園に返す方法です。
撤去された墓石は、石材店が適切に処分します。
手元に何も残らない点でためらいを感じる方もいますが、「区切りをつけてすっきり終わらせたい」「遺骨の移し先は別で整えた」という場合には、最も手間が少なく確実な選択肢です。
霊園が指定する石材店に依頼することが条件になるケースが多いため、まず管理事務所に「使える石材店の一覧」を確認するところから始めます。
別の墓地へ移して再利用する
墓石をそのまま別の霊園や墓地へ移し、新しいお墓として再利用する方法です。
「お墓の形は残したいが、故郷から管理しやすい場所へ移したい」という場合に選ばれます。
移設には、元の霊園と移転先の霊園、両方の管理者との調整が必要です。
墓石のサイズや形が移転先の区画条件に合わないと、受け入れを断られることもあります。
移設前に、移転先の霊園へ「既存の墓石を持ち込んで再利用できるか」を確認しておくことが欠かせません。
なお、お墓のお引っ越し(遺骨を別のお墓へ移すこと)には行政手続きが伴います。
手順の全体像はお墓の引っ越し手続き・費用相場を全て解説で確認できます。
メモリアル加工で一部を小さく手元に残す
墓石の一部を切り出し、ペンダントや置き物・プレートなどの記念品に加工して手元に残す方法です。
「全部は残せないけれど、何か形にして持っていたい」という気持ちに応える選択肢として、近年取り扱う石材店が増えています。
加工できる部位やサイズ、仕上がりは石材店によって違い、御影石などの素材によっては加工に向かない場合もあるため、石材店への相談が前提になります。
標準の解体・撤去と組み合わせて、「墓石全体は撤去するが、一部だけ加工して残す」という形で進めているケースも見られます。
石材店でリサイクルする
撤去した墓石を、石材店がリサイクル資材として引き取り、建材や砕石などに再利用する方法です。
完全に処分するわけではなく、素材として別の形で生かされるという点で、「処分」よりも少し抵抗感がやわらぐ方もいます。
ただし、リサイクルを受け付けるかどうかは石材店によって違います。
引き取りに費用がかかる場合と、無料や割引になる場合があるため、複数の石材店に確認してみるとよいでしょう。
自宅の庭へ持ち帰る方法もある(選ぶ人は限られる)
墓石の全部または一部を自宅に持ち帰り、庭に安置して手元で供養する方法もあります。
「お墓の形を、身近な場所で残しておきたい」という気持ちに応えられます。
ただし、実際に選ぶ人はかなり限られます。
墓石はサイズによっては非常に重く、庭に据えるには専門の運搬業者への依頼が要り、運搬費も距離や石の重さで大きく変わります。
あわせて、霊園の許可を得ることが必要です。
自宅の庭に墓石を置くこと自体に法律上の制限は特にありませんが、近隣との関係や、将来だれが引き継ぐかについても家族で話し合っておくとよいでしょう。
重さや管理の面から、多くの場合は解体・撤去や加工して手元に残す方法のほうが現実的です。
各選択肢の費用の目安と最初に確認する相手
5つの選択肢の全体像が見えたところで、次に気になるのは「それぞれいくらかかるのか」「だれに相談すればいいのか」という具体的な部分です。
費用は墓石のサイズや重さ、霊園の立地、石材店によって大きく変わりますが、目安を知っておくだけで動きやすさが変わります。
以下はあくまで目安で、実際の金額は石材店への見積りで確認してみてください。
| 扱い方 | 費用の目安 | 最初に確認する相手 |
| 標準の解体・撤去 | 1平方メートルあたり10万円前後(条件により20〜30万円超も) | 霊園の管理事務所(指定石材店の有無) |
| 別の墓地へ移設・再利用 | 撤去・搬出+据え付けで30万〜60万円以上 | 移転先の霊園(持ち込み再利用の可否) |
| メモリアル加工 | 小物への加工で1点あたり数万円程度から | 石材店(加工できる部位・仕上がり) |
| 石材店でリサイクル | 撤去費は標準と同程度(引き取りは無料〜割引も) | 石材店(リサイクル可否と費用の変化) |
| 自宅の庭へ持ち帰り(選ぶ人は少ない) | 撤去費+運搬費(数万〜10万円以上) | 霊園の管理事務所(持ち帰りの可否・書類) |
標準の解体・撤去の費用は、墓石の大きさや立地によって幅があります。
区画が狭くて重機を使えない山間部や段差のある墓地では、手作業の費用が加算されるため、20万円から30万円以上になることもあります。
最初の確認先は霊園の管理事務所です。
「指定の石材店はありますか」と聞き、指定がある場合はそこへ、指定がない場合は複数の石材店から相見積りを取ることで費用を抑えられます。
別の墓地への移設では、移転先で新たに使用契約を結ぶ費用(永代使用料=その区画を使う権利のための費用)が別にかかる点も忘れないようにしておきたいところです。
移転先の合意を取ってから、元の霊園への申請と石材店への依頼を進める順番が基本になります。
費用を抑えたい場合は、複数の石材店から相見積りを取るのが有効です。
見積りの取り方や相場については墓じまいの見積りは30万円安くできる!後悔なく進める相見積のススメが参考になります。
霊園管理者と石材店に聞いておきたい3つのこと
選択肢を絞る前に、霊園管理者と石材店それぞれに確認しておきたいことがあります。
この3点を押さえておくと、後から「それはできません」と言われるリスクが大きく減ります。
- 霊園管理者へ:希望する方法(持ち帰り・移設・加工など)は規約上できるか/工事を頼める石材店に指定はあるか/申請に必要な書類と手続きの流れ
- 石材店へ:希望する作業(運搬・加工・リサイクルなど)に対応しているか/費用の内訳と総額を書面で見積もってもらえるか/工事はいつ頃から対応できるか
口頭での概算だけでなく、書面の見積りを複数社から取ることが、費用面での後悔をなくす近道です。
石材店によっては繁忙期に数カ月待ちになることもあるため、希望の時期から逆算して早めに動き始めると安心です。
家族が納得できる方法を選ぶための考え方
費用の目安と確認先が見えてきたら、次に必要なのは「家族みんなが納得できる方法を選ぶ」という作業です。
墓石の扱い方は、費用や手続きの問題であると同時に、家族それぞれの気持ちが絡む問題でもあります。
ここでは、費用・手間・気持ちの3つの軸で選択肢を見比べる考え方と、家族との話し合いを進める視点をお伝えします。
| 軸 | 見るポイント |
| 費用 | 墓じまい全体(撤去・遺骨の移し先・行政手続き・お寺へのお礼)の中で、墓石の扱いにどれだけ充てられるか |
| 手間 | 今の自分たちの状況(仕事・体力・距離・時間)で、だれがどこまで動けるか |
| 気持ち | だれのどんな気持ちを大切にしたいか。形を残したいのか、区切りをつけたいのか |
3つの軸で「決めにくい」状態から抜け出す
どれが「正解」かは家族によって違います。
ただ、「なんとなく決めにくい」という状態から抜け出すために、3つの軸で整理すると考えやすくなります。
たとえば、メモリアル加工や自宅への持ち帰りを希望しても、運搬費や加工費が予算を大きく超える場合は、標準の解体・撤去とリサイクルの組み合わせが現実的な着地点になることもあります。
墓じまい全体の費用相場については墓じまいの費用相場|内訳と総額の目安をやさしく解説で確認できます。
「やりたいけれど現実的に動けない」という場合は、代行サービスや石材店への一括依頼で手間を減らせることもあります。
気持ちの軸では、お墓を続けることも、加工で手元に残すことも、丁寧に区切りをつけて更地にすることも、すべてご先祖様を大切に思う気持ちからの行動です。
どれを選んでも、申し訳なさを感じる必要はありません。
処分以外の道もあると共有して、家族で一緒に決める
墓石の扱い方を一人で抱え込んで決めようとすると、「自分が勝手に決めた」という後悔や、「なぜ相談してくれなかったのか」という家族間のすれ違いにつながることがあります。
話し合いを始めるときは、いきなり「どうする?」と問いかけるよりも、「実は処分以外にも選べる方法がいくつかある」という情報をまず共有するほうが、スムーズに進みます。
選択肢を知らないまま話し合うと、「処分するしかないよね」という結論に流れやすいためです。
この記事で整理した5つの選択肢と費用の目安を家族に見せながら、「どの方法なら自分たちの予算・手間・気持ちに合うか」を一緒に考えてみてください。
全員の意見がそろうのが理想ですが、折り合いをつける場合も「なぜその方法を選んだか」という経緯を残しておくと、後から振り返ったときに納得感が残ります。
角を立てずに話し合いを進めるコツは墓じまいの交渉のコツ|お寺と親族に角を立てない進め方も参考になります。
最初の一歩は霊園か石材店への問い合わせから
墓石の扱い方の選択肢を把握し、費用の目安を確認し、家族と方向性を話し合った。
そこまで進んだら、次にやることはひとつです。
霊園の管理事務所か石材店に連絡を取ることです。
「まだ準備が整っていない」「もう少し調べてから」と後回しにしたくなる気持ちはわかります。
しかし、墓じまいで時間がかかりやすいのは、情報収集よりも実際に動き始めてからの段取りです。
石材店の予約は繁忙期に数カ月待ちになることもあり、早めの問い合わせが、希望する時期に墓じまいを終えるための近道になります。
方法別の最初の問い合わせ先
どこに最初に連絡するかは、選んだ方法によって変わります。
迷わないよう、方法別に整理しておきます。
- 解体・撤去/持ち帰り/加工/リサイクルを希望:まず霊園の管理事務所へ。「墓じまいを検討しています。規約上できる墓石の扱い方と、申請に必要な手続きを教えてもらえますか」と伝えれば十分です
- 別の墓地へ移設・再利用を希望:まず移転先の霊園へ。「既存の墓石を持ち込んで再利用できますか」と受け入れの可否を先に確認します。合意が取れてから元の霊園への申請と石材店への依頼に進みます
問い合わせ前に手元へ用意しておくとよいもの
霊園や石材店への問い合わせをスムーズに進めるために、連絡前に次の情報を整理しておくと、やり取りが格段に短くなります。
問い合わせ前に用意しておくと話が早いもの
- 霊園・墓地の名称と所在地
- 区画番号(永代使用許可証などの書類に記載されています)
- 墓石のおおよそのサイズ(縦・横・高さの目安)
- 希望する扱い方(解体撤去のみ・持ち帰りたい・加工を検討など)と、希望する完了時期の目安
区画番号や書類が見当たらない場合は、管理事務所に「使用契約の内容を確認したい」と伝えると、再発行や記録の照会をしてもらえることがあります。
遠方でも問い合わせは電話やメールでできる
故郷のお墓が遠方にあり、「現地にすぐ行けない」という方も多いと思います。
しかし、最初の問い合わせはほとんどの場合、電話やメールで行えます。
区画番号からおおよその見積もりを返してもらうやり取りで、具体的なイメージをつかめます。
墓じまいは、調べるほど「やることが多い」と感じて動き出せなくなりがちですが、実際には最初の一本の問い合わせをするだけで、霊園側から手順を案内してもらえることがほとんどです。
すべてを自分で解決しようとするより、管理者や石材店に聞きながら一歩ずつ進めるほうが、結果として早く確実に動けます。
「遠くて動けない」は、問い合わせを後回しにする理由にはなりません。
あわせて、遺骨の移し先をどこにするかも早めに検討を始めておくと安心です。
納骨先の選択肢と費用については墓じまい後の納骨先はどこにする?6つの選択肢と費用・進め方で整理しています。
選択肢と費用を確かめ、霊園か石材店に問い合わせよう
墓石の扱いは、「処分するしかない」ではなく「どれを選ぶか」という選択の問題です。
墓石をそのまま残せないのは法律ではなく霊園の規約によるもので、規約を確認すれば自分たちが選べる範囲が見えてきます。
扱い方は、標準の解体・撤去のほかに、自宅への持ち帰り、別の墓地への移設・再利用、メモリアル加工、石材店でのリサイクルと、処分以外にも複数あります。
まずは5つの選択肢と費用の目安を把握し、霊園管理者と石材店に「希望する方法は可能か」を確かめます。
そのうえで、費用・手間・気持ちの3つの軸で家族と話し合い、自分たちに合う方法をひとつ選びます。
すべてを一人で抱え込むより、管理者や石材店に聞きながら一歩ずつ進めるほうが、結果として迷わず確実に動けます。
ご先祖様への敬意をもちながら、家族が納得できる形で墓じまいを終えることは、十分に実現できます。
方向性が定まったら、霊園か石材店に一本、電話かメールで問い合わせてみてください。
それが、後悔のない墓じまいへの確かな最初の一歩になります。
参考リンク:


