
菩提寺の墓じまいはどうやる?
手順・費用・住職への話し方を全て解説
【2026年6月更新】
「菩提寺の墓じまいって、何から始めて、いくらかかるんだろう」。
地元のお墓をこのままにはできないと調べ始めたものの、最初の一歩で立ち止まっていませんか。
お寺に失礼にならないか、ご先祖に申し訳ないのではないか、お寺との関係(檀家)の整理にお金を高額に請求されたらどうしよう。
そうした不安が次々に頭をよぎって動き出せないというのは、遠方に実家のお墓を抱える方からよく聞かれる率直な本音です。
結論からお伝えします。
お寺の墓じまいと離檀(檀家をやめること)は、「手順」「費用の目安」「住職への話し方」の3つを先に押さえておけば、失礼なく・払いすぎず・穏やかに進められます。
ただし、結論を知っただけではまだ動き出せないかもしれません。
墓じまいのつまずきの多くは「なんとなく知っている」状態で動いたことが原因だからです。
住職に話す前に役所でお骨の引越しの手続きを進めてお寺との関係が気まずくなった、離檀料に支払い義務がないと知らず相場の何倍も払ってしまった——どちらもよくある失敗です。
らくサポにも「進め方がわからず何年も動けなかった」というご相談が数多く寄せられてきました。
この記事では、お寺の墓じまいを終える5つのステップから、費用の総額の目安と内訳、離檀料の扱い、住職への角が立たない切り出し方、墓じまい後のお骨の行き先まで、順を追ってお伝えします。
この記事を読んで分かること
- お寺の墓じまいを終える5つのステップ
- 費用の総額70万〜150万円の内訳と離檀料の扱い
- 角が立たない住職への切り出し方
ぜひ最後までお読みください!
目次
お寺の墓じまいを終える5ステップの全体像

お寺で管理しているお墓を整理するには、「お寺への相談」から始まり「お骨の引越し先への納骨」で完了するまで、大きく5つのステップがあります。
全体の流れを先に把握しておくことで、どこで何をすればよいかが見えやすくなり、手続きの抜け漏れやお寺との関係の悪化を防ぎやすくなります。
まず、5つのステップを一覧でお伝えします。
- ステップ1:お寺(住職)への相談と了承
- ステップ2:引越し先の決定と受入証明書の取得
- ステップ3:市区町村役所での改葬許可申請と許可証の受け取り
- ステップ4:お寺でのお別れの供養とお骨の取り出し
- ステップ5:墓石の撤去・整地と引越し先への納骨
それぞれのステップで何をするのか、順を追って見ていきます。
許可申請からお別れの供養・墓石撤去までの流れ
お寺への相談が済んだら、次は行政手続き・供養・工事という3つの段階を順番に進めていきます。
それぞれで「誰に」「何を」「どの順番で」動けばよいかを整理しておきます。
ステップ1:お寺への相談と了承
最初にすることは、他のどの手続きよりも先に、お寺の住職に「墓じまいを考えています」と相談することです。
この順番を守るかどうかが、その後の進み方を大きく左右します。
伝える内容は、墓じまいを検討していること、檀家をやめたい(離檀したい)と考えていること、お骨を別の場所へ移したいことの3点で十分です。
この段階では「決めました」ではなく「相談したい」という姿勢で臨むと、住職との関係が穏やかに保たれます。
ステップ2:引越し先の決定と受入証明書の取得
お寺への相談と並行して、お骨の引越し先を決めます。
永代供養墓・合葬墓・樹木葬・手元供養など、いくつかの選択肢があります。
引越し先が決まったら、その施設から「受入証明書」を発行してもらいます。
この書類は次の役所手続きで必要になります。
ステップ3:市区町村役所での改葬許可申請
お骨を別の場所へ移すこと(お骨の引越し)には、法律上、市区町村の許可が必要です。
窓口は「現在のお墓がある市区町村の役所」です。
今お住まいの市区町村ではなく、お墓のある地元の役所に連絡します。
申請に必要な書類は自治体ごとに異なりますが、一般的には次の3点がそろえば手続きを進められます。
- 改葬許可申請書(役所の窓口またはウェブサイトで入手)
- 埋葬証明書(お寺の住職に発行してもらう書類)
- 受入証明書(引越し先の施設から発行してもらう書類)
埋葬証明書はお寺に依頼して発行してもらうものです。
ステップ1でお寺への相談を先に済ませておく理由のひとつがここにあります。
住職との関係が良好でないと、この証明書の発行を渋られ、役所の手続きそのものが止まってしまうこともあります。
書類がそろったら役所に提出し、「改葬許可証」を受け取ります。
これはお骨を引越し先へ納める際に提出する大切な書類なので、手続きが終わるまで手元に保管します。
手続きの全体像は墓じまいの改葬って何?言葉の意味と手続きの進め方を解説もあわせてご覧いただけます。
ステップ4:お別れの供養とお骨の取り出し
改葬許可証を受け取ったら、お寺でお別れの供養(魂抜きとも呼ばれます)を行います。
長年手を合わせてきたお墓に感謝を込めて、お坊さんにお経を読んでいただく区切りの供養です。
この供養が終わると、お墓からお骨を取り出すことができます。
取り出したお骨は骨壺に収め、改葬許可証とともに引越し先へ持参します。
ステップ5:墓石の撤去・整地と引越し先への納骨
お骨を取り出した後、お墓の石材を撤去し、土地をきれいに整地します。
この工事は石材店が行います。
お寺によっては「指定の石材店に依頼すること」という条件がある場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
撤去・整地が終われば、その区画はお寺に返します。
最後に引越し先へお骨を納めれば、墓じまいの全行程が完了します。
「先にお寺へ相談」が鉄則である理由
5つのステップの中で、最初に必ず行いたいのが「お寺の住職へ相談の一報を入れる」ことです。
役所への手続きも、石材店への連絡も、引越し先選びも、すべてその後で構いません。
なぜこの順番が大切なのか、理由は3つあります。
理由1:お寺の協力なしには、役所の手続きが前に進まない
改葬許可申請に必要な「埋葬証明書」は、お寺の住職に発行してもらう書類です。
住職がこの書類を出してくれなければ、役所に申請を出すことができません。
お寺への相談を後回しにして役所や石材店に先に動いてしまうと、手続きが途中で止まることがあります。
しかも「話も通さず勝手に動いていた」という印象を与えてしまい、その後の関係修復が難しくなります。
理由2:相談の順番が、離檀料の話し合いの雰囲気を左右する
離檀料は、お寺を離れる際にお渡しする費用です。
法律で金額が定められているものではなく、長年お世話になったことへの感謝の気持ちとしてお渡しするもので、相場は3万円から20万円程度とされています。
金額が法的に決まっていない以上、話し合いの雰囲気がそのまま結果に影響することがあります。
早めに「ご相談したい」と一報を入れた場合と、「もう決めました」と事後報告のように連絡した場合とでは、住職の受け取り方が大きく変わります。
理由3:丁寧な相談が、穏やかな区切りにつながる
長年の檀家としての関係を、揉めずに穏やかに終えることは、ご自身の気持ちの整理にもつながります。
最初の一言を「相談」として届けるだけで、その後の離檀料の話し合いや埋葬証明書の発行もスムーズに進みやすくなります。
費用の総額は70万〜150万円が目安

お寺の墓じまいにかかる費用は、墓石の撤去費・お別れの供養へのお礼・離檀料の3つが主な項目です。
これらを合計すると、一般的な規模のお墓で70万円から150万円程度が目安になります。
「70万円から150万円では幅が広すぎる」と感じるかもしれません。
この幅が生まれるのは、お墓の大きさ・立地・お寺との関係・引越し先の選択によって、それぞれの項目が大きく変わるからです。
各項目の相場を個別に知っておけば、提示された金額が妥当かどうかを自分で判断できるようになります。
撤去費・供養料・離檀料それぞれの相場と内訳
費用は、大きく3つの項目に分けて考えると整理しやすくなります。
それぞれの相場と、金額に幅が出る理由を見ていきます。
撤去費(墓石の解体・撤去・整地工事):30万円〜80万円程度
撤去費は、墓石を解体して運び出し、土地を整地するまでの工事費用です。
目安は1平方メートルあたり10万円前後とされ、一般的な家庭のお墓(1〜3平方メートル程度)なら30万円から80万円に収まることが多いです。
お墓が大きいほど、また重機が入りにくい山あいなど作業が難しい立地ほど、費用は上がります。
お寺から石材店の指定がある場合は相見積もりが取れず割高になりやすいため、指定がなければ複数の石材店から見積もりを取って比べると安心です。
お別れの供養へのお礼(お布施):3万円〜10万円程度
お別れの供養をお願いするお坊さんへのお礼です。
地域やお寺によって幅があるため、「いくらお包みすればよいですか」と率直に確認して問題ありません。
あわせて、お車代として5千円から1万円程度をお渡しするのが一般的です。
離檀料:0円〜20万円程度(相場は3万円〜15万円)
離檀料は、長年お世話になったお寺を離れる際に、感謝の気持ちとしてお渡しするお金です。
法的な支払い義務はなく、金額の決まりもありません。
相場は3万円から15万円程度、高くても20万円前後が目安です。
詳しい考え方は次の見出しでお伝えします。
費用の目安を一覧で整理すると、次のようになります。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 墓石撤去・整地工事 | 30万円〜80万円程度 |
| お別れの供養(お布施) | 3万円〜10万円程度 |
| お車代 | 5千円〜1万円程度 |
| 離檀料 | 0円〜20万円程度 |
| 合計(納骨費用を除く) | 33万円〜110万円程度 |
この合計にお骨の引越し先(永代供養墓・合葬墓・樹木葬など)への納骨費用が別途加わり、種類や施設によって数万円から数十万円の幅があります。
納骨費用まで含めると、冒頭でお伝えした総額70万円から150万円という目安に収まることが多くなります。
離檀料に法的な支払い義務はない理由と上限の目安
「離檀料を高額に請求されたらどうしよう」という不安を持つ方は少なくありません。
結論からお伝えすると、離檀料に法的な支払い義務はなく、金額を法律で定めた規定もありません。
この事実を知っておくだけで、高額な請求に直面したときの判断が大きく変わります。
お寺との檀家の関係は、法律上の契約ではなく、慣習や宗教的なつながりに基づくものです。
檀家をやめること自体は、個人の信教の自由として憲法で保障されており、誰かの許可がなくても認められています。
墓地の使用権はお寺から借りているものですが、それを返すこと自体に「お金を払わなければならない」という法的な根拠はありません。
離檀料はあくまで感謝の気持ちとして任意でお渡しするものであり、法的に請求できる費用ではないのです。
とはいえ、長年お世話になったお寺への感謝として、相場の範囲でお渡しするのは自然なことです。
関係性ごとの目安を整理すると、次のようになります。
| お寺との関係性 | 離檀料の目安 |
|---|---|
| 一般的な檀家 | 3万円〜10万円程度 |
| 長年の付き合いや法要を多く頼んできた場合 | 10万円〜15万円程度 |
| 上限の目安 | 20万円程度 |
もし相場を大きく超える金額を求められても、すぐに応じる必要はありません。
「払わない」と身構えるより、「相場の範囲で感謝の気持ちとしてお渡しする」という姿勢で臨むのが、穏やかな区切りへの現実的な着地点です。
万一の交渉のコツは墓じまいの交渉のコツ|お寺と親族に角を立てない進め方にもまとめています。
角が立たない住職への切り出し方
手順も費用の目安もわかった。
それでも、いざ住職に連絡しようとすると手が止まってしまう。
「どんな顔で切り出せばいいのか」「怒られないか」「失礼にならないか」——墓じまいを考える多くの方が、この「最初の一言」に最も気をつかいます。
ここでの結論はひとつです。
住職への最初の一報は、「決定の報告」ではなく「相談のお願い」として届けると、角が立ちにくくなります。
「墓じまいをすることに決めました」ではなく、「墓じまいについてご相談したいことがあるのですが、お時間をいただけますか」という形で入るだけで、その後の話し合い全体の雰囲気が穏やかになります。
電話・手紙・訪問、最初の連絡方法の選び方
住職への最初の連絡方法は、電話・手紙・訪問の3つが考えられます。
それぞれ向いている状況があるので、自分の状況に合った方法を選べます。
電話:遠方に住んでいる方・まず日程を調整したい方に向いています。
最初の一報として最も使いやすい方法です。
電話の目的は詳しい話をすることではなく、「相談したいという気持ちを伝え、会う約束を取る」ことです。
「ご相談したいことがございまして、一度お時間をいただけますでしょうか」の一言で十分です。
法要が集中するお彼岸やお盆を避け、平日の午前中がつながりやすいとされています。
手紙:関係が薄い方・電話が苦手な方・丁寧な印象を残したい方に向いています。
相手が自分のペースで読めるため、突然感をやわらげられます。
ただし手紙だけで終わらせず、「近日中にお電話します」と添えて、会う約束につなげると安心です。
訪問:近くにお住まいで、関係が深い方に向いています。
直接うかがう場合も、必ず前もってお約束を取ってからにします。
3つの連絡方法を比べると、次のようになります。
| 連絡方法 | 向いている状況 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 電話 | 遠方・まず日程を調整したい | 詳細を話しすぎず、会う約束に集中する |
| 手紙 | 関係が薄い・電話が苦手 | 手紙だけで終わらせず、電話を予告する |
| 訪問 | 近隣・関係が深い | 必ず前もってお約束を取る |
お墓が遠方にあってなかなか足を運べない方でも、最初の相談だけは電話か手紙で本人から直接届けると、誠実な印象が伝わります。
距離があっても、最初の一報さえ丁寧に届けられれば、その後の手続きはサポートを受けながら進められます。
そのまま使える切り出しフレーズと伝える3点
最初の一言さえ出てしまえば、あとは会話の流れに乗っていけます。
そのまま使えるフレーズと、最初の相談で伝えておきたい3点をまとめます。
そのまま使える切り出しフレーズ
- 電話:「突然のご連絡で失礼いたします。〇〇家のお墓のことでご住職にご相談したいことがございまして、一度お時間をいただけますでしょうか」
- 手紙:「突然のお手紙にて失礼いたします。〇〇家のお墓のことについてご相談申し上げたく、筆を執りました。近日中にお電話を差し上げます」
電話でも手紙でも、「墓じまい」という言葉を最初から出さず「お墓のことでご相談」とだけ伝えると、相手が身構えにくくなります。
最初の目的は、会って話す場を設けることだけに絞ります。
会って話す場では、次の3点を伝えると、話し合いが穏やかに進みます。
相談の場で伝えたい3点
- 墓じまいを考えるに至った事情(例:「子どもたちが遠方に住んでおり、将来の管理が難しくなりそうで」)
- お寺やご先祖への感謝(例:「長年こちらにお世話になり、大変ありがたく思っております」)
- まだ相談の段階であること(例:「まだ決めたわけではなく、まずご住職のお考えもお聞きしたくて」)
言葉が多少ぎこちなくても問題ありません。
大切なのは言葉の完成度よりも、誠実に相談しようとする姿勢です。
丁寧に、率直に、感謝を持って話しかければ、それ以上の準備は必要ありません。
墓じまい後のお骨、3つの行き先
墓じまいを決めたら、次に考えるのが「お骨をどこへ移すか」です。
お寺のお墓を閉じた後、引越し先が決まっていないと改葬許可申請の手続きが進みません。
お骨の引越し先は、墓じまいの計画と同時に考えておくと安心です。
選択肢はいくつもありますが、ここでは多くの方が検討する代表的な3つをご紹介します。
永代供養墓:お参りの形を残しつつ、管理は任せたい方に向いています。
お寺や霊園が管理・供養を引き継いでくれるお墓です。
個別のスペースを設けるタイプで、費用の目安は30万円から100万円程度です。
合葬墓:費用を抑えたい方・手をかけずに納めたい方に向いています。
複数の方のお骨をまとめて納めるお墓で、費用の目安は3万円から15万円程度と、最も抑えやすい選択肢のひとつです。
公営の合葬墓ならさらに抑えられる場合もあります。
一度納めると個別に取り出せなくなるため、将来また移す可能性があるなら、個別安置の期間が設けられたタイプを選ぶと安心です。
海洋散骨・樹木葬:お墓という形にこだわらない方に向いています。
海洋散骨はお骨を粉末にして海にまく方法で、家族で船を借りる形なら10万円から30万円程度、ほかの方と合同なら3万円から10万円程度が目安です。
樹木葬は樹木や花の下に納める方法で、立地や個別・合同の別により10万円から100万円程度と幅があります。
3つの行き先を比べると、次のようになります。
| 行き先 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 永代供養墓(個別) | 30万円〜100万円程度 | 個別スペースあり。管理はお寺・霊園が担う |
| 合葬墓 | 3万円〜15万円程度 | 費用を抑えやすい。一度納めると取り出し不可 |
| 海洋散骨・樹木葬 | 3万円〜100万円程度 | お墓を持たない形。管理の負担が少ない |
それぞれに費用やお参りのしやすさの違いがあります。
選択肢ごとの費用と進め方は墓じまい後の納骨先はどこにする?6つの選択肢と費用・進め方で詳しくまとめています。
手順・費用・話し方を押さえてお寺への相談を始めよう
お寺の墓じまいは、住職への相談を最初に行うことが鉄則で、許可申請・お別れの供養・墓石の撤去という5つのステップで進みます。
費用の総額は70万円から150万円が目安で、離檀料には法的な支払い義務がなく、相場は3万円から20万円程度です。
住職への最初の一報を「決定の報告」ではなく「相談のお願い」として届けることが、穏やかに進めるいちばんのポイントでした。
記事を読み終えた今、最も大切な次の一歩は、お寺の住職に「相談したいことがある」と連絡を入れることです。
手順がわかり、費用の目安もわかり、話し方のフレーズも手元にある。
あとは、その一言を届けるだけです。
「完璧に準備が整ってから」と思う必要はありません。
あわせて、お骨をどこへ移すかをご家族と話し合っておくと、住職との相談もより具体的に進みます。
進め方や費用、離檀料にまだ不安が残る方は、らくサポのLINE墓じまいガイドブック・電話・LINEでもご相談いただけます。
手順・費用・書類・お寺との話し方を一冊にまとめており、全体像をつかんでから動き出す方も多くいらっしゃいます。
あなたの墓じまいが、心穏やかに進みますように。
参考リンク:



