
日蓮正宗の墓じまい完全ガイド
費用や進め方5ステップを徹底解説
【2025年12月更新】
「墓じまいを御本尊様に失礼なく、正しい作法で進めたいけれど、何から始めればいいの?」
「住職に相談したら、高額な離檀料を請求されるのでは…」
「手続きが複雑そうで、自分にできるか不安」
墓じまいを考えるとき、特に日蓮正宗の方は、こんな不安を抱えているのではないでしょうか。
でも、安心してください。
日蓮正宗の墓じまいは、正しい手順と作法を守れば、先祖に対して失礼なく、そして寺院との関係も円満に保ちながら完了できます。
この記事では、日蓮正宗特有の「御性根抜き(御本尊返納)」という作法から、住職への相談方法、行政手続き、費用の相場まで、墓じまいの全プロセスを5つのステップで徹底解説します。
Check
この記事を読んで理解できること
- 日蓮正宗の墓じまいに必要な具体的な5つのステップ
- 日蓮正宗特有の作法の意味と流れ
- 墓じまい総費用の相場と、費用を抑えるポイント
先祖への敬意を大切にしながら、寺院との関係も円満に保ちたいと考える方に、最も役立つ内容となっています。
ぜひ最後までお読みください!
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日蓮正宗特有の墓じまいの考え方
日蓮正宗は、御本尊を最も重視する教義を持つ宗派です。
そのため、墓じまいにおいても、他の宗派とは異なる独自の作法と考え方があります。
日蓮正宗は御本尊を最も重視する教義
日蓮正宗では、日蓮大聖人が顕された御本尊こそが信仰の根本であり、すべての功徳の源泉であると考えられています。
墓石に刻まれた「南無妙法蓮華経」の題目や戒名も、単なる文字ではなく、御本尊の一部として信仰の対象となります。
「御性根抜き」「御本尊返納」という独自の呼び方をする
一般的な仏教では、墓じまいの際に「閉眼供養」や「魂抜き」という儀式を行いますが、日蓮正宗ではこれらの言葉は使用しません。
代わりに「御性根抜き」または「御本尊返納」と呼びます。
これは、墓石に宿る「御性根(仏様の魂)」を正式にお返しするという、日蓮正宗特有の考え方に基づいています。
御本尊を最も重視する教義があるからこそ、この儀式は墓じまいにおいて最も重要な手順となります。
日蓮正宗の墓じまい5つのステップ
日蓮正宗の考え方を押さえた後は、具体的な手順を知りましょう。
墓じまいは、以下の5つのステップで進めます。
- 住職への事前相談(墓じまい決定の1〜2ヶ月前)
- 御性根抜き(御本尊返納)をする
- 行政手続き(改葬許可証の取得)
- 墓石撤去工事
- 離檀手続きと新しい納骨先への納骨
それぞれのステップを、具体的に見ていきましょう。
ステップ1:住職への事前相談(墓じまい決定の1〜2ヶ月前)
なぜ事前相談が最も重要なのか
墓じまいを成功させる最大のポイントは、住職への事前相談です。
実は、円満な墓じまいの8割は、最初の相談で決まると言っても過言ではありません。
「墓じまいを決めたので、来月工事をします」といった突然の通告は、住職との関係を著しく悪化させます。
なぜなら、寺院にとって檀家は長年の信仰関係で結ばれた大切な存在だからです。
突然の通告は、「これまでの関係を軽視している」「感謝の気持ちがない」と受け取られかねません。
その結果、高額な離檀料を請求されたり、必要な書類の発行を渋られたりするトラブルに発展する可能性があります。
住職は「相談相手」
多くの方が「住職に怒られるのではないか」と恐れていますが、実際には、事情を丁寧に説明すれば理解を示してくださる住職がほとんどです。
住職は、檀家の生活状況や悩みを理解し、適切なアドバイスをしてくれる存在です。
墓じまいの相談も、「敵対関係」ではなく「協力関係」として進めることが大切です。
住職への相談の具体的な進め方
電話での伝え方例
まずは電話で以下のように伝えると良いでしょう。
「住職様、いつもお世話になっております。○○家の△△と申します。お墓のことでご相談したいことがございまして、お時間をいただけますでしょうか。
実は、お墓じまいを考えておりまして、今後の手続きについて相談させて頂けませんでしょうか。」
伝えるべき3つのポイント
住職への相談では、以下の3つのポイントを丁寧に伝えましょう。
1. 管理が困難になった具体的な事情
「私も高齢になり、地方の墓を定期的に管理することが難しくなってまいりました」
「遠方に住んでおり、年に数回しか墓参りに行けず、墓地の管理が行き届かない状況です」
「後継者がおらず、将来的に無縁墓になってしまう不安があります」
このように、具体的な事情を正直に説明することが大切です。
2. 先祖への申し訳なさと敬意
「先祖には大変申し訳ないのですが、代々守ってきたお墓を自分の代で終わらせることに、心苦しさを感じております」
先祖への敬意と申し訳なさを言葉にすることで、住職に「軽々しく墓じまいを決めたわけではない」という誠意が伝わります。
3. 正しい方法で進めたい意思
「日蓮正宗の教えに則った正しい方法で進めたいと思いますので、ご指導いただけますでしょうか」
「御本尊様に失礼のないよう、住職様のご指導のもと、適切に進めたいと考えております」
このように、「正しい方法で進めたい」という意思を明確に伝えることで、住職の協力を得やすくなります。
御性根抜きの日程調整をしよう
住職と相談するときは、同時にお墓の供養である御性根抜き(御本尊返納)の日程を決めます。
以下の点を考慮して調整しましょう。
- 住職の都合
- 家族が参加できる日程
- 墓地までの移動時間
お布施費用の目安
住職への相談時には、費用についても確認しておきましょう。
御性根抜きのお布施:3万円〜10万円
御性根抜き(御本尊返納)のお布施の相場は、地域や寺院により異なりますが、一般的に3万円〜10万円程度です。
住職に直接「お布施はいくらですか?」と聞くのは避け、「お布施はどのようにお包みすればよろしいでしょうか」と尋ねると良いでしょう。
明確な金額を示されない場合は、「皆様はどれくらい包まれていますか」と聞いても構いません。
離檀料:0円〜30万円(法的義務はない)
離檀料は、法的な義務はありませんが、住職から求められる場合があります。
求められた場合の相場は10万円〜30万円程度ですが、寺院との関係性や地域慣習によって大きく異なります。
お布施の包み方と渡し方のマナー
お布施は、以下のように準備しましょう。
- 白封筒を用意(郵便番号欄のないもの)
- 表書きは「御布施」
- 下段に自分の名前(フルネーム)を書く
- 新札を用意する
- お札の向きを揃えて入れる(肖像画が封筒の表側、上になるように)

渡すタイミングは、御性根抜きの儀式が終わった後、住職に直接手渡しします。
その際、「本日はありがとうございました。心ばかりですが、お納めください」と一言添えましょう。
ステップ2:御性根抜き(御本尊返納)の実施
御性根抜き当日の流れ
御性根抜き当日は、以下の流れで進みます。
1. 墓前に集まる(住職、施主、家族)
約束の時間の10分前には墓地に到着し、墓前で住職を待ちましょう。参加者は以下の方が一般的です。
- 施主(墓じまいを主導する人)
- 親族
全員が参加する必要はありませんが、できるだけ多くの家族が参加することが望ましいです。
2. 住職による読経(約20〜30分)
住職が墓前で読経を行います。日蓮正宗では、「南無妙法蓮華経」の題目を中心に読経が進められます。
読経中は、静かに合掌し、住職の読経に耳を傾けましょう。途中で私語を交わしたり、スマートフォンを見たりすることは避けてください。
3. 「南無妙法蓮華経」の題目を唱える
住職の読経に続いて、参加者全員で「南無妙法蓮華経」の題目を唱えます。住職の指示に従い、心を込めて唱えましょう。
4. 施主の焼香
読経が終わると、施主が焼香を行います。焼香の作法は、住職から指示がありますので、それに従ってください。
一般的な焼香の作法は以下の通りです。
- 焼香台の前に進み、一礼する
- 右手の親指、人差し指、中指で抹香をつまむ
- 額の高さまで持ち上げる(押しいただく)
- 香炉に静かに落とす
- これを1〜3回繰り返す(宗派により異なる)
- 合掌し、一礼して戻る
5. 住職からの説明
焼香が終わると、住職から「これで墓石から御性根が抜けました」という説明があります。
この時点で、墓石は宗教的に「ただの石」となり、撤去しても問題がなくなります。
住職から、今後の手続きについてアドバイスをいただくこともあります。
分からないことがあれば、この時に質問しましょう。
6. お布施を渡す
儀式が終わったら、住職にお布施を渡します。
白封筒に入れたお布施を、両手で丁寧に差し出し、「本日はありがとうございました。心ばかりですが、お納めください」と一言添えましょう。
施主が準備するもの
御性根抜き当日は、以下のものを準備しましょう。
お布施
前述の通り、白封筒に「御布施」と表書きし、新札を入れて準備します。
金額は3万円〜10万円程度が相場です。
供花(白い菊など)
墓前に供える花を準備します。故人が好きだった花でも構いません。
花屋で「仏花」として販売されているものを選ぶと良いでしょう。
お供え物(果物、お菓子など)
墓前に供えるお供え物を準備します。以下のようなものが一般的です。
- 果物(りんご、みかん、バナナなど)
- お菓子(故人が好きだったもの)
- お酒(故人が好きだった場合)
お供え物は、儀式が終わった後、持ち帰ることが一般的です。
数珠
参加者全員が数珠を持参しましょう。数珠は、仏教徒としての敬意を表す大切な道具です。
当日の服装(喪服または地味な平服)
御性根抜きは、葬儀ほど厳格な服装規定はありませんが、以下のような服装が望ましいです。
- 男性:黒や紺のスーツ、白いシャツ、黒い靴
- 女性:黒や紺のワンピースやスーツ、黒い靴
- 子ども:学校の制服、または地味な色の服
派手な色やカジュアルすぎる服装は避けましょう。
ステップ3:行政手続き(改葬許可証の取得)
改葬許可証とは?
墓じまいで遺骨を移動する際には、「改葬許可証」という書類が法律で義務付けられています。これは、「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」第5条に基づくものです。
改葬許可証がないと、以下のことができません。
- 現在の墓地から遺骨を取り出すこと
- 新しい納骨先に遺骨を納めること
- 墓石撤去工事を開始すること
つまり、改葬許可証は墓じまいの「通行手形」のようなものです。
許可証なしでは墓石撤去も納骨もできない
改葬許可証を取得せずに遺骨を移動すると、墓埋法違反となり、罰則(1,000円以下の罰金または拘留・科料)が科される可能性があります。
また、新しい納骨先(永代供養墓や納骨堂など)も、改葬許可証の提示がなければ遺骨を受け入れてくれません。
手続きの全体像とスケジュール
改葬許可証の取得には、通常1〜2週間程度かかります。
詳しいスケジュールは以下を参考にしてください。
| 時期 | 手続き内容 |
|---|---|
| 御性根抜き後すぐ | 寺院から埋葬証明書を取得 |
| 改葬先決定後すぐ | 新しい納骨先から受入証明書を取得 |
| 上記2つが揃ったら | 役所で改葬許可申請書を記入・提出 |
| 提出から1〜2週間後 | 改葬許可証が発行される |
| 改葬許可証取得後 | 墓石撤去工事を開始できる |
詳しい手続きの流れは、墓じまいの手続きはこれでOK|やるべき順番を最初から最後まで解説で解説していますので参考にしてください。
ステップ4:墓石撤去工事
墓石撤去工事は、専門の石材店に依頼します。信頼できる業者を選ぶことが、トラブルを避ける鍵となります。
複数の石材店から見積もりを取る(3社程度)
必ず複数の業者(3社程度)から見積もりを取りましょう。
1社だけでは、費用が適正かどうか判断できません。
見積もりを依頼する際は、以下の情報を伝えます。
- 墓地の所在地
- 墓石の大きさ(分からなければ写真を送る)
- 遺骨の数
- 希望する工事時期
日蓮正宗の墓じまい経験がある業者を優先しよう
日蓮正宗の墓じまい経験がある業者を選ぶと、宗派特有の作法や注意点を理解しているため安心です。
見積もり依頼時に「日蓮正宗の墓じまい経験はありますか?」と確認しましょう。
「墓じまい代行業者」の活用も選択肢の1つ
墓じまいの一連の手続きを代行してくれる「墓じまい代行業者」活用も有効です。
ただし、代行業者が必ずしも最適とは限らないため、地元の石材店にも直接問い合わせることをおすすめします。
墓じまい業者の選び方については、墓じまいはどこに頼むべき?安心できる業者の選び方とおすすめ業者で詳しく解説しています。
見積書のチェックポイント
見積書を受け取ったら、以下の点をチェックしましょう。
- 作業内容が具体的に記載されているか
- 追加費用の有無が明記されているか
- 支払い条件(前払い、後払い、分割払いなど)
- 工事期間と完了予定日
不明な点があれば、遠慮なく業者に質問しましょう。
墓石撤去工事の費用相場
墓石撤去工事の費用は、墓地の広さや立地条件によって大きく異なります。以下は一般的な相場です。
墓石撤去・処分費用:10万円〜30万円(墓地の広さによる)
墓石の解体と処分にかかる費用です。以下の要因で費用が変動します。
- 墓石の大きさ(1㎡あたり10万円〜15万円程度)
- 墓地の立地(重機が入れるか、手作業が必要か)
- 墓石の種類(御影石、大理石など)
遺骨取り出し費用:1体あたり1万円〜3万円
遺骨を骨壺に納める作業の費用です。遺骨の数が多いほど費用が増えます。
整地費用:5万円〜10万円
墓地を更地に戻す作業の費用です。寺院や霊園によっては、整地の程度(砂利を敷く、土を入れるなど)が指定されることがあります。
合計:20万円〜50万円程度
上記を合計すると、一般的な墓石撤去工事の総額は20万円〜50万円程度となります。
墓じまいの費用を抑えるポイント
以下の方法で費用を抑えることができます。
- 複数の業者から見積もりを取り、比較する
- 行政手続きを自分でする
- 納骨先の選択肢を広げる
墓じまいの費用については、墓じまいの総費用はいくら?費用を10万円以上抑える方法を解説で詳しく解説しています。
ステップ5:離檀手続きと新しい納骨先への納骨
墓石撤去工事が完了したら、寺院に感謝を伝え、離檀の手続きに進みます。
住職への挨拶の具体例
「住職様、このたびは墓じまいにあたり、大変お世話になりました。長年にわたり先祖の供養をしていただき、心より感謝申し上げます。今後は○○(永代供養墓など)にて供養させていただきますが、これまでのご厚情は決して忘れません。本当にありがとうございました」
このように、「感謝」「これまでの供養への謝意」「今後の供養の形」を丁寧に伝えましょう。
新しい納骨先での手続き
墓石撤去工事と離檀手続きが完了したら、新しい納骨先に遺骨を納めます。
改葬許可証の提示
新しい納骨先(永代供養墓、納骨堂など)に遺骨を納める際は、必ず改葬許可証を提示します。改葬許可証がないと、遺骨を受け入れてもらえません。
改葬許可証は、遺骨1体につき1枚必要です。複数の遺骨を納める場合は、すべての改葬許可証を持参しましょう。
納骨をして墓じまい完了
新しい納骨先での一連の手続きが終われば、お骨を納骨し、墓じまい完了です。
納骨の際の立会の有無など、気になることがあれば確認しましょう。
まとめ:正しい手順と作法を守ればスムーズに墓じまいできる
墓じまいを検討する方は、年々増えています。
一方で、「どうやって進めたらいいのかわからない」「宗教的なお作法やマナーがわからない」など、不安を抱えている方は少なくありません。
日蓮正宗の墓じまいは、この記事で解説した5つのステップを参考に、一つひとつ丁寧に進めて行けば、スムーズに完了させることができます。
まずはご家族と相談し合って、お寺の住職に墓じまいのことを伝えてみてください。
あなたの墓じまいが、心穏やかに、そして円満に完了することを、心よりお祈りしています。
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