
墓じまいのお坊さんへの頼み方と費用を解説
お布施相場と当日マナー
【2026年6月更新】
「墓じまいでお坊さんに何をお願いして、お布施はいくら包めばいいの?」——そんな疑問とともに、失礼があってはいけないと身構えてしまう方は、実は少なくありません。
お寺との付き合いが長く途絶えていたり、仏事に慣れていなかったりすると、「自分が何か失礼なことをしてしまうのではないか」という心配が、最初の一歩をためらわせます。
実際のご相談でも「住職さんから納骨や石材店のことを聞かれても、何も知らずに返事に困ってしまった」というお声をいただいてきました。
結論からお伝えします。
墓じまいでお坊さんに来ていただくときに押さえるべきことは、「依頼の仕方・お布施の金額と包み方・当日の立ち居振る舞い」の3点だけです。
この3点を知っておけば、非常識だと思われる心配はほとんどなく、ご先祖へのお別れを穏やかに進められます。
ただし、この3点には押さえる順番があります。
順番を間違えると、お布施の金額を調べても「そもそもどこに電話すればいいのかわからない」という状態で止まってしまいます。
最初にすべきは、お金の準備でも服装でもなく、「お寺への一本の連絡」です。
この記事では、お坊さんを呼ぶかどうかの判断から、電話でのお願いの仕方、お布施の包み方と渡し方、当日の立ち居振る舞いまでを、ひとつずつ具体的に解説します。
読み終えるころには、「これで大丈夫」という気持ちで、お寺へ連絡できるようになっているはずです。
この記事を読んで分かること
- お坊さんへの「お別れの供養(魂抜き)」の頼み方
- お布施の相場は3万〜5万円・封筒の用意の仕方
- 依頼は電話から・当日までに進める3つのステップ
ぜひ最後までお読みください!
お坊さんを呼ぶ必要があるかの判断

「墓じまいに、そもそもお坊さんは必要なの?」と迷う方は少なくありません。
まずは、お坊さんに何をお願いするのか、そして呼ぶか呼ばないかをどう決めればよいのかを整理します。
お願いするのは「お別れの供養(魂抜き)」の読経
墓じまいでお坊さんに来ていただく目的は、原則として一つです。
お墓に宿っているとされる故人やご先祖の魂を、お墓から抜き出していただくお別れの供養(魂抜き)の読経です。
この供養は「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれますが、どの呼び名が正式かを気にする必要はありません。
お寺に連絡する際は「墓じまいにあたり、お別れの供養をお願いしたい」と伝えれば、十分に意図が伝わります。
この読経を終えてから、石材店がお墓の解体・撤去工事に入るのが一般的な流れです。
つまり、お坊さんに来ていただくのは工事の前、一度だけが基本です。
「何度も来てもらわなければならないのでは」と心配する方もいますが、通常は一回の読経で完結します。
墓じまい全体の手続きの流れもあわせて知っておきたい方は、お墓の改葬手続きは難しくない|市役所での申請と書類の書き方ガイドも参考になります。
宗教的なこだわりがなければ省くこともできる
「必ずお坊さんを呼ばなければならないのか」と気になる方もいるかもしれません。
結論から言えば、お別れの供養を行うかどうかは法律で定められた義務ではなく、最終的にはご家族の判断に委ねられています。
特定の宗教・宗派にこだわりがない場合や、すでに長年お墓参りができておらず、お寺との関係が実質的に途絶えている場合などは、供養を省いて墓じまいを進めることも選択肢の一つです。
ただし、ご家族の中に「ちゃんとお経をあげてから手放したい」という気持ちを持つ方がいる場合は、供養を行うことをおすすめします。
後になって「あのとき供養しておけばよかった」という後悔が残ることがあるためです。
費用や手間よりも、関わる方全員が納得できる形で進めることのほうが、長い目で見て大切です。
供養を行うかどうかは「正しい・正しくない」ではなく、「自分たちがどう納得して区切りをつけるか」という問いです。
その答えは、ご自身とご家族で決めてよいことです。
お坊さんを呼ぶか迷ったときの3つの目安
- お願いするのは「お別れの供養(魂抜き)」の読経1回が基本
- 供養するかどうかは法律上の義務ではなく、ご家族の判断でよい
- 省く場合も、「お経をあげたい」という家族がいれば供養を選ぶと後悔が少ない
お坊さんへの頼み方と電話のひと言例

お坊さんを呼ぶと決めたら、次は頼み方です。
「電話で何と言えばいいのか」がわかれば、最初の一歩はぐっと楽になります。
付き合いのあるお寺がある場合とない場合に分けて見ていきます。
付き合いのあるお寺への伝え方と電話例
付き合いのあるお寺がある場合は、電話一本で依頼を進められます。
難しい仏教用語を使いこなす必要はなく、丁寧な言葉と誠実な態度で伝えれば、相手には十分に意図が伝わります。
電話をかけるタイミングは、墓じまいの工事予定日が決まる前の段階が理想です。
お寺の都合もあるため、工事日の1〜2か月前を目安に連絡しておくと、日程調整がスムーズに進みます。
そのまま使える電話のひと言例
- 「突然のご連絡で失礼いたします。〇〇家の墓じまいを検討しております。お別れの供養(魂抜き)をお願いしたく、ご都合のよい日程をご相談させていただけますでしょうか」
このひと言を伝えれば、お寺の側から「場所はどちらですか」「日程はいつ頃ですか」と必要な確認を進めてくれることがほとんどです。
最初から完璧な言葉を用意しようと気負う必要はありません。
緊張が伝わっても、それ自体は何も失礼にあたりません。
なお、お寺によっては、これまでのお付き合い(檀家)を解消する話になり、その費用が話題になる場合もあります。
お寺や親族との話の進め方に不安がある方は、墓じまいの交渉のコツ|お寺と親族に角を立てない進め方に具体的な言い回しがまとまっています。
お寺がない場合の手配先(石材店・相談窓口)
「そもそも付き合いのあるお寺がない」という方は、決して珍しくありません。
故郷を離れて暮らしていたり、長年お墓の管理が途絶えていたりして、お寺との関係がない状態で墓じまいを検討するケースは多くあります。
そのような場合でも、焦る必要はありません。
お坊さんの手配を依頼できる先は、主に次の2つです。
- 石材店に相談する:墓じまいを請け負う石材店の多くは、提携するお坊さんやお寺を紹介してくれます。解体工事の見積もりと合わせて「供養のお坊さんの手配もお願いできますか」と伝えれば、一括して対応してもらえることがほとんどです。
- 墓じまいの相談窓口に問い合わせる:手続きをまとめてサポートしてほしい場合は、墓じまい専門の相談窓口を活用する方法もあります。お坊さんの手配から墓じまいの手続きまで、ひとつの窓口で進められるため、初めての方でも段取りが立てやすくなります。
どちらの場合も、「付き合いのあるお寺がないのですが、供養のお坊さんを手配していただけますか」と率直に伝えれば対応してもらえます。
遠慮せずに相談してください。
日程・場所・人数など依頼時に決めておく確認事項
電話をスムーズに進めるために、連絡前にあらかじめ確認しておきたい事項があります。
すべてを事前に決めておく必要はありませんが、おおよその見通しを持っておくと、電話口で慌てずにすみます。
- 供養の日程:石材店の工事予定日より前に設定します。具体的な工事日が未定なら「〇月頃を検討中」と伝えるだけでも構いません。
- お墓の場所:霊園や墓地の名称と所在地を確認します。お坊さんが現地に来てくださる場合に必要です。
- 立ち会う人数:立ち会うご家族の人数を把握しておきます。お寺側が当日の準備を整える参考になります。
- 宗派の確認:新たにお坊さんを手配する場合は、故人やお墓の宗派を事前に確認します。位牌などに記載されていることが多いです。
これらを手元にそろえてから電話をかけると、会話が一度で完結しやすくなります。
決まっていない部分は「検討中です」と伝えれば、お寺や業者の側から必要な確認を進めてくれます。
お布施の相場と封筒・包み方の基本
お坊さんへの依頼と並んで不安が大きいのが、お布施です。
「いくら包めば失礼にならないのか」「封筒はどうすればいいのか」を、相場・包み方・渡し方の順に整理します。
相場は3万〜5万円が目安(地域・宗派で幅がある)
墓じまいの供養(魂抜き)でお坊さんにお渡しするお布施の相場は、一般的に3万円から5万円程度が目安とされています。
ただし、これはあくまで全国的な目安で、地域や宗派、お寺との関係性によって幅があります。
お墓が遠方にあり、お坊さんに現地まで出向いていただく場合は別途「お車代」を、供養後の会食にお坊さんが参加されない場合は「御膳料」を包むのが一般的です。
それぞれの目安を表にまとめます。
| 項目 | 金額の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| お布施 | 3万〜5万円 | 地域・宗派・関係性で幅がある |
| お車代 | 5,000〜1万円 | 遠方から出向いてもらう場合 |
| 御膳料 | 5,000〜1万円 | 会食に参加されない場合 |
金額の目安がわからず不安なときは、依頼の電話で「お布施はどのくらい用意すればよいでしょうか」と直接確認するのが最も確実です。
金額を事前に確認することは、失礼にはあたりません。
お寺側が「お気持ちで」と答える場合は、「3万円ほどでよろしいでしょうか」と具体的な金額を提示して確認すると、双方が安心できます。
お布施は「読経への対価」ではなく「感謝の気持ちをお渡しするもの」という性格を持つため、相場の範囲内であれば金額の多寡よりも、丁寧に包んで誠実に渡すことのほうが大切です。
白い無地の封筒・表書き「御布施」・お金の入れ方
お布施を包む封筒は、白い無地の封筒を使うのが基本です。
コンビニや文具店で手に入るもので問題ありません。
より丁寧にしたい場合は奉書紙(ほうしょし)と呼ばれる和紙で包む方法もありますが、白封筒で十分に失礼はありません。
水引(みずひき)については、お布施の封筒には基本的につけません。
不祝儀袋(香典袋)と混同して黒白や黄白の水引つきの封筒を使う方がいますが、お布施は弔事の贈り物とは性格が異なるため、水引なしの白封筒が正式とされています。
封筒の表面中央上部には「御布施」と縦書きで記し、その下に自分の名前(フルネーム)を書きます。
筆ペンや毛筆が丁寧ですが、サインペンでも構いません。
封筒の裏面左下には住所と金額を記載し、中袋がある場合は中袋の表に金額(例:金参萬圓也)、裏に住所と氏名を書きます。
入れるお札は、新札または折り目の少ないきれいなお札を用意するのが望ましく、香典とは異なり新札でも失礼にはあたりません。
お札は、封筒を表から見たときに肖像が上にくるように入れます。
渡すタイミングとひと言添えの伝え方
お布施を渡すタイミングは、お坊さんが到着してご挨拶をした直後、供養が始まる前が一般的です。
渡し方は、封筒をそのまま手渡しするのではなく、小さなお盆(切手盆)に乗せてお渡しするのが正式な作法です。
切手盆がなければ、ふくさ(袱紗)に包んでお渡ししても構いません。
ふくさも用意が難しい場合は、封筒を両手で丁寧にお渡しするだけで十分です。
形式よりも、両手で丁寧に渡すという姿勢が大切です。
渡す際は「本日はよろしくお願いいたします。心ばかりではございますが、どうぞお納めください」とひと言添えれば、誠実な印象が十分に伝わります。
供養当日の流れと立ち居振る舞い
お布施の準備が整ったら、次は当日の流れです。
「どんな顔をして迎えればいいのかわからない」という不安は、流れを一度イメージしておくだけでかなり和らぎます。
当日に求められるのは特別な作法ではなく、「丁寧に迎え、静かに見送る」という気持ちで十分です。
出迎え・立ち会い・見送りの3場面のポイント
供養当日の流れは、「出迎え」「立ち会い」「見送り」の3場面に分けて考えると整理しやすくなります。
出迎えでは、お坊さんが到着したら玄関やお墓の入り口で丁寧にお迎えし、「本日はお越しいただきありがとうございます」とご挨拶します。
その後、前にご説明したタイミングでお布施をお渡しし、お坊さんの少し前を歩いてお墓へご案内します。
立ち会いでは、読経が始まったらお坊さんの邪魔にならないよう、お墓の脇で静かに手を合わせます。
立ち位置に決まりはありませんが、正面や真後ろは避け、斜め後方か側方が一般的です。
数珠があれば両手に掛けて合わせ、なければ両手を合わせるだけで問題ありません。
読経はおおむね15〜30分程度です。
途中で話しかけたりスマートフォンを操作したりせず、静かに立ち会いましょう。
読経が終わったら「ありがとうございました。おかげさまで、きちんとご供養できました」と深くお辞儀をして感謝を伝えます。
見送りでは、来ていただいた入り口まで同行し、「本日は遠いところをありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰りください」とお伝えします。
お坊さんの姿が見えなくなるまで見送るのが丁寧な作法です。
供養を終えたあとの遺骨の行き先や永代供養の考え方が気になる方は、墓じまい後の納骨先はどこにする?6つの選択肢と費用・進め方もあわせてご覧ください。
服装・お供え・数珠など当日までに整えておくもの
墓じまいのお別れの供養(魂抜き)は、正式な法要の一つです。
服装は喪服(黒のスーツ・ワンピース)が最も丁寧ですが、地味な色の平服でも問題ありません。
明るい色や派手な柄は避け、黒・紺・グレーなど落ち着いた色を選びましょう。
アクセサリーはパールのネックレスなど光沢を抑えたものなら着用しても構いません。
「喪服でなくてもよいが、お葬式に近い場に失礼のない服装」を意識すると選びやすくなります。
お供えは必須ではありませんが、用意する場合は次のものが一般的です。
| お供えの種類 | 備考 |
|---|---|
| 生花(白菊・白百合など) | 落ち着いた色の花が適切 |
| 線香 | 束でなく1〜3本が目安 |
| 蝋燭 | 白い蝋燭が一般的 |
| 果物・菓子 | 日持ちするものが扱いやすい |
霊園によってはお供えに制限がある場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
数珠は持っていれば用意し、なければ両手を合わせるだけで十分です。
そのほか、当日スムーズに動けるよう、次の点も前日までに確認しておきましょう。
- お坊さんの到着予定時刻と待ち合わせ場所
- お墓への道順と駐車場の有無
- 霊園・墓地の開門時刻
- 当日立ち会うご家族への集合時刻の連絡
これらを前日までに整理しておくだけで、当日の朝を落ち着いた気持ちで迎えられます。
まずはお寺への電話から始めてみよう
この記事では、墓じまいでお坊さんに来ていただくときに押さえたい3つのポイントを、順番にお伝えしてきました。
依頼の仕方は、付き合いのあるお寺があればそちらへ「墓じまいにあたり、お別れの供養をお願いしたい」と電話で伝えるだけで対応してもらえます。
お寺がない場合は、石材店や墓じまいの相談窓口がお坊さんの手配を仲介してくれるので、遠慮なく相談できます。
お布施は3万円から5万円を目安に白い無地の封筒に包み、表書きを「御布施」とします。
当日は出迎え・立ち会い・見送りの3場面を意識すれば、完璧な作法でなくても誠実な気持ちは十分に伝わります。
この3点を知っておくだけで、「非常識だと思われないか」「ご先祖に失礼にならないか」という不安の大半は解消されます。
あとは、一本の電話をかけるだけです。
付き合いのあるお寺がある方はそちらへ、ない方は石材店や墓じまいの相談窓口へ、まずは問い合わせの一歩を踏み出してみましょう。
お墓とのお別れは、ご先祖への感謝を形にする大切な時間です。
「これで大丈夫」という気持ちで、最初の連絡から始めてみませんか。
迷ったときは、電話やLINEで相談できる窓口や、全体像をつかめる墓じまいガイドブックもあります。
一人で抱え込まず、確認したいことから気軽に相談できます。
参考リンク:



