
廃墓の手順と費用は?お墓を廃棄する
墓じまいの進め方を解説
【2026年8月更新】
「廃墓」を調べ始めたけれど、お墓を廃棄するには、どんな手順で費用はいくらかかるのでしょうか。
遠くにある実家のお墓、管理できる人がいなくなったお墓。
「そろそろ片付けなければ」と思っても、いざ廃墓を進めようとすると、何から手をつければいいのか、いくら用意すればいいのか、分からないことばかりで足が止まってしまう。
インターネットで調べても、情報がバラバラで、かえって不安が大きくなってしまう。
そんな方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えします。
廃墓とは、お墓を撤去して遺骨を別の場所へ移す「墓じまい」と同じことです。
進め方は大きく5つの手順に分かれていて、費用の相場は、おおむね30万円から100万円ほどが目安になります。
ただし、手順と費用の全体像を知らないまま業者に連絡してしまうと、「思ったより高かった」「書類が足りず手続きが止まった」といった手戻りが起きやすくなります。
特に廃墓は、役所・お墓の管理者・お寺・石材店など複数の相手とやり取りが必要で、順番を間違えると話が前に進まなくなることもあります。
先に流れとお金の目安をつかんでおくことが、後悔なく進めるいちばんの近道です。
この記事では、廃墓(お墓の廃棄)とは何かを整理したうえで、進める5つの手順、必要な書類、費用の内訳と相場、費用を抑えるコツ、そして始める前に確認しておきたいことまでを、順番にやさしくお伝えします。
専門的な言葉はできるだけ使わず、初めての方でも分かるように説明していきます。
読み終えるころには、「何を・どの順番で・いくらで」進めればよいかが、具体的に見えているはずです。
この記事を読んで分かること
- 廃墓(お墓の廃棄)と墓じまいの関係
- 廃墓を進める5つの手順
- 費用の内訳と相場(30万〜100万円)
- 費用を抑える相見積もりのコツと確認事項
ぜひ最後までお読みください!
廃墓とはお墓を撤去する墓じまいのこと

まず、言葉の意味を整理しておきます。
廃墓とは、今あるお墓を撤去して更地に戻し、納められていた遺骨を別の場所へ移すことを指します。
つまり、一般的に「墓じまい」と呼ばれているものと、同じ意味だと考えて差し支えありません。
「廃墓」は、お墓を廃止する・処分するというニュアンスで使われる言葉ですが、実際に行う中身は墓じまいそのものです。
遠方でお参りに行けなくなった、跡を継ぐ人がいない、管理費を払い続けるのが負担になってきた。
そうした理由から、お墓を一度きちんと閉じて、遺骨を無理なく供養できる形に移す。
それが廃墓です。
放置してお墓が荒れていくのを避け、自分たちの手で区切りをつける前向きな選択でもあります。
廃墓と墓じまいは同じ意味
「廃墓」も「墓じまい」も、お墓を閉じて遺骨を新しい供養先へ移すという点で、指している行動は変わりません。
区別する必要はありませんが、あえて言えば、「廃墓」はお墓を撤去・処分する側面を、「墓じまい」はお墓を閉じて次の供養へ引き継ぐ側面を、それぞれ言い表しているだけの違いです。
どちらの言葉で検索しても、進め方や費用の考え方は共通しています。
ですから、この記事で説明する手順と費用は、「墓じまいの手順・費用」として書かれた情報と同じものだと考えて読み進めてください。
遺骨を移してお墓を更地に戻す
廃墓では、単に墓石を壊すのではなく、次の3つをセットで行います。
- 納められている遺骨をすべて取り出す
- 墓石を解体・撤去し、区画を更地に戻して管理者へ返す
- 取り出した遺骨を、別の納骨先へ移して供養を続ける
見落とされやすいのが、3つ目の「遺骨の行き先」です。
お墓を撤去して終わりではなく、遺骨を新しい場所に納めて初めて廃墓は完了します。
そして、この遺骨を移すことは、正式には改葬許可申請という役所への手続きを経て、法律に基づいて行います。
勝手に遺骨を持ち出したり、別の場所に移したりすることはできません。
だからこそ、次に説明する手順を、順番どおりに進めることが大切になります。
墓じまい全体の流れや費用相場をまとめて把握したい方は、墓じまい完全ガイド|費用相場や手続きの流れを全て解説もあわせてご覧ください。
廃墓は5つの手順で進める

廃墓(お墓の廃棄)は、思いつきで業者に連絡するのではなく、決まった順番で進めると手戻りがありません。
全体は大きく5つの手順に分かれます。
廃墓を進める5つの手順
- 親族に相談して同意を得る
- 遺骨の新しい移し先を決める
- 役所で改葬許可申請の手続きをする
- 石材店にお墓の撤去・整地を依頼する
- 取り出した遺骨を新しい納骨先に納める
遺骨の移し先と親族の同意を先に決める
順番の中でも特に大切なのが、最初の2つです。
ここを飛ばして業者に連絡すると、あとで必ず引き返すことになります。
お墓は自分ひとりのものではなく、親族みんなにとって大切な場所です。
相談なく話を進めると、後から「聞いていない」ともめる原因になります。
まずは兄弟姉妹や親族に「実家のお墓を廃墓(墓じまい)したい」と伝え、理由と大まかな費用感を共有して、同意を得ておくことが大切です。
反対されそうな場合ほど、早い段階で気持ちを聞いておくと、後の話し合いが穏やかに進みます。
誰か一人でも強く反対していると、工事の直前になって話が白紙に戻ってしまうこともあるため、全員の気持ちをそろえてから次の手順へ進むのが安心です。
費用を誰がどう分担するかも、この段階で大まかに話しておくと、後のわだかまりを防げます。
次に決めたいのが、取り出した遺骨をどこへ移すかです。
移し先が決まっていないと、後で説明する改葬許可申請の手続きが進められません。
移し先には、永代供養墓・納骨堂・樹木葬・散骨・手元供養など複数の選択肢があり、費用も納め方も、その後の管理のしかたも異なります。
たとえば永代供養墓は、お寺や霊園が家族に代わって管理・供養を続けてくれるため、跡を継ぐ人がいなくても安心できるのが特徴です。
納骨堂は屋内で天候に左右されずお参りしやすく、樹木葬は自然に還る形を望む方に選ばれています。
跡を継ぐ人がいない場合は、管理を任せられる永代供養が選ばれることが多いですが、費用や供養の形は家族の希望によって最適な選び方が変わります。
移し先ごとの特徴と費用は墓じまい後の納骨先はどこにする?6つの選択肢と費用・進め方で詳しく解説しています。
改葬許可申請に必要な3つの書類
移し先が決まったら、お墓がある市区町村の役所で改葬許可申請の手続きをします。
この申請で必要になる書類は、主に次の3つです。
| 必要な書類 | 発行してもらう相手 |
| 改葬許可申請書 | お墓がある市区町村の役所(ウェブサイトでダウンロードできることも) |
| 埋葬証明書 | 今のお墓がある墓地・霊園の管理者 |
| 受入証明書 | 遺骨の新しい移し先(永代供養墓・納骨堂・樹木葬など) |
改葬許可申請書には、遺骨の情報(氏名・戒名・亡くなった年月日など)を書く欄があるため、お墓に誰が何人納められているかを先に把握しておく必要があります。
受入証明書は移し先が発行するので、先に移し先を決めておくことが前提になります。
この3つが揃うと役所から改葬許可証が交付され、これで遺骨を移す準備が整います。
なお、書類の細かい要件は自治体によって違うため、まず役所に電話で「改葬許可の手続きに必要な書類を教えてほしい」と確認しておくと、二度手間を防げます。
名義人が亡くなっていて、手続きをご家族が行う場合は、申請者と名義人の関係を示す戸籍謄本の提出を求められることもあります。
埋葬証明書は発行に数日から一週間ほどかかることもあるため、早めに管理者へ依頼しておくと、全体の日程に余裕が生まれます。
石材店にお墓の撤去を依頼して納骨する
書類が整ったら、石材店にお墓の解体・撤去と整地を依頼します。
撤去の前には、お墓から魂を抜く供養(魂抜き)をお寺にお願いするのが一般的です。
魂抜きを済ませてから墓石を解体・撤去し、区画を更地に戻して管理者へ返します。
墓石の撤去工事そのものは、多くの場合1日から数日で終わりますが、書類の準備や移し先を決める期間を含めると、廃墓の全体には数か月かかることも珍しくありません。
急な事情がある場合は、早めに動き出しておくと安心です。
最後に、取り出した遺骨を新しい納骨先へ納めれば、廃墓は完了です。
当日は、遺骨の取り出しに立ち会うのが基本ですが、遠方でどうしても立ち会えない場合に、写真で報告しながら進めてくれる業者もあります。
当日の具体的な動き方や立ち会いの流れは失敗しない墓じまい当日の流れ|5つの手順と当日の動き方にまとめています。
廃墓の費用は30万〜100万円が目安
次に、多くの方が気になる費用です。
廃墓(お墓の廃棄)にかかる費用は、お墓の規模・立地・移し先の種類によって幅がありますが、全体ではおおむね30万円から100万円ほどが目安になります。
「まとまったお金がかかりそう」と身構えてしまう方もいますが、内訳を一つずつ見ていくと、それぞれが何のための費用なのかが分かり、見通しが立てやすくなります。
内訳を知っておくと、業者から受け取った見積もりが適正かどうかも判断できます。
費用は大きく4つの項目に分かれる
廃墓の費用は、主に次の4つの項目から成り立っています。
| 費用の項目 | 相場の目安 |
| お墓の撤去・解体工事費 | 1平方メートルあたり10万円前後(立地により変動) |
| お寺へのお礼(離檀料) | 数万円〜数十万円(お寺により幅がある) |
| 魂抜きのお布施 | 3万円〜5万円ほど |
| 遺骨の移し先の費用 | 数万円〜数十万円(納め先の種類による) |
撤去・解体工事費は、石材店がお墓を撤去し、区画を更地に戻す工事の費用です。
お墓の面積が広いほど高くなり、山奥や階段の多い場所など、重機が入りにくい場所では割増しになることがあります。
お寺へのお礼である離檀料は、法律で支払いが義務づけられたものではありませんが、長年お世話になった感謝として納めるのが一般的な慣習です。
金額の目安や考え方に不安がある方は、墓じまいの離檀料はいくら?費用相場と払う必要性についても解説を参考にしてみてください。
遺骨の移し先で費用が変わる
魂抜きのお布施は、お墓の撤去前に、お墓から魂を抜いてもらう供養にお渡しするお布施です。
そして、意外と見落とされやすいのが、遺骨の移し先にかかる費用です。
移し先の費用は、永代供養墓・納骨堂・樹木葬・散骨など、納め先の種類によって大きく異なります。
さらに、納める遺骨の人数分の費用がかかることが多いため、「お墓に何人分の遺骨が納められているか」で総額が変わってきます。
5人分だと思っていたら実は7人分だった、というケースもあり、後から追加費用が発生することもあります。
合計すると全体で30万円から100万円ほどが目安ですが、お墓の規模・立地・移し先・お寺との関係によって個人差が大きく、一概にいくらとは言い切れないのが実情です。
相場より高くなりやすいのは、お墓が広い、山奥や階段の上にあって重機が入りにくい、遺骨の人数が多い、といったケースです。
逆に、更地に戻す区画が小さく、アクセスもよい場所であれば、費用は抑えやすくなります。
だからこそ、次に説明する見積もりの取り方が、費用を大きく左右します。
廃墓の費用は相見積もりで抑えられる
廃墓の費用は、業者の選び方と見積もりの取り方しだいで、大きく変わります。
同じお墓でも、1社だけの見積もりで決めるのと、複数を比べて決めるのとでは、数十万円の差が生まれることも珍しくありません。
複数の石材店から相見積もりを取る
廃墓の工事を依頼するのは、主に石材店です。
石材店によって得意な地域や料金が違うため、最低でも2〜3社から見積もりを取り、内容と金額を比べることが基本になります。
業者を選ぶときに確かめておきたいのは、次の点です。
- 相見積もりを取る:2〜3社から見積もりを取って金額と内容を比べる
- 見積書の内訳を確認する:撤去工事費・廃材処理費・手続き代行費などが項目ごとに書かれているか
- 現地を見に来るかを確認する:事前にお墓を見てから見積もる業者のほうが、後から金額が変わりにくい
- 実績や口コミを確認する:追加費用が出なかったか、書類の手続きも手伝ってもらえるか
見積書は内訳まで確かめる
「一式いくら」とだけ書かれた見積もりでは、何にいくらかかっているのかが分かりません。
内訳がはっきりしない業者は、後から追加費用を求めてくることもあります。
項目ごとに金額が分かれている見積書を選ぶと、他社と比べやすく、納得して依頼できます。
もう一つ大切なのが、現地を見てもらってから見積もりを出してもらうことです。
お墓の面積や立地を実際に確認しないままの「概算」は、工事の当日になって「重機が入らないので追加費用が必要」と言われることがあります。
また、金額の安さだけで選ぶのも注意が必要です。
極端に安い見積もりは、後から廃材処理費や書類代行費などが上乗せされ、結局は他社と変わらない、あるいは高くついたということもあります。
総額と内訳の両方を見て、説明が丁寧な業者を選ぶことが、遠回りに見えていちばんの近道です。
実際にどのくらいの費用がかかるのか、概算だけでも知りたい方は、墓じまい費用シミュレーターでおおよその相場感をつかめます。すでに見積りをとった後の方も、その金額が相場より高いのか安いのかを把握できます。
相場を知ることと、複数を比べること。
この2つをセットで進めると、費用の不安はぐっと小さくなります。
廃墓を始める前に確認しておくこと
最後に、廃墓(お墓の廃棄)を始める前に確認しておきたいことをまとめます。
ここを押さえておくと、手続きの途中で止まることを防げます。
名義・管理者・遺骨の人数を確認する
手続きを進めるうえで、先に把握しておきたい情報が3つあります。
| 確認すること | なぜ必要か |
| お墓の名義人・管理者 | 手続きを進められる人が名義で変わるため。故人のままなら名義変更が必要なことも |
| 納められている遺骨の人数 | 移し先の費用と、改葬許可申請の書類の枚数が人数で変わるため |
| お墓のある場所と管理者の連絡先 | 埋葬証明書の発行や現地の確認に必要なため |
特に名義は見落とされやすいポイントです。
名義人が誰かによって手続きを進められる人が変わるため、名義人が故人のままになっている場合は、先に名義変更が必要になることもあります。
名義や管理者の調べ方はお墓の管理者が誰か調べる方法|上手な調べ方と確認後の進め方を解説にまとめています。
遺骨の人数は、お墓の墓誌(戒名が刻まれた石板)や、ご自宅の過去帳、お寺の記録などから確認できます。
自分の家のお墓であっても、正確な人数を把握していない方は意外と多いものです。
「祖父母と親は入っているはずだが、他に誰かいるか分からない」という状態のまま進めると、遺骨の数が合わず、移し先の契約や書類の準備をやり直すことになりかねません。
現地のお墓に行ける機会があれば墓誌を確認し、行けない場合は管理者やお寺に問い合わせて、早めに人数をはっきりさせておくと安心です。
親族やお寺には早めに相談する
お墓に関することは、自分ひとりで決められない場合がほとんどです。
後からもめないためにも、動き出す前に相談しておきたい相手があります。
廃墓の前に相談しておきたい相手
- 家族・親族:お墓を廃墓(墓じまい)したい意向を伝え、同意を得ておく
- お墓があるお寺:これからどうしたいかを率直に相談する
- 墓地・霊園の管理者:名義と埋葬証明書の発行について確認する
お墓がお寺の境内にある場合は、住職への相談を後回しにすると、離檀料をめぐって話がこじれることもあります。
「お墓を片付けたい」という結論だけを急に伝えるのではなく、遠方でお参りに行けない事情や、これからの供養をどうしたいかという気持ちから話し始めると、角が立ちにくくなります。
始める前に必要なものを一覧で整理しておきたい方は、墓じまい準備の完全ガイド|用意するもの一覧と進め方を解説が参考になります。
廃墓の手順と費用を確認して見積もりを取る
廃墓とは、お墓を撤去して遺骨を別の場所へ移す、墓じまいと同じことです。
進め方は、親族への相談、遺骨の移し先を決めること、改葬許可申請、石材店による撤去、そして新しい納骨先への納骨という5つの手順に分かれます。
費用の相場は、撤去工事費・お寺へのお礼・魂抜きのお布施・遺骨の移し先の費用を合わせて、おおむね30万円から100万円ほどが目安です。
大切なのは、思いつきで業者に連絡するのではなく、手順と費用の全体像を先につかんでおくことです。
全体像が見えていれば、何を・どの順番で進めればよいかがはっきりし、受け取った見積もりが適正かどうかも自分で判断できます。
まずは、お墓の名義と納められている遺骨の人数を確認し、家族に廃墓の意向を共有するところから始めてみてください。
そのうえで、複数の石材店から見積もりを取って比べれば、費用の不安も小さくなります。
手順を一つずつ確認しながら、無理のないペースで進めていけば大丈夫です。
参考リンク:



