墓石の写真

【2026年7月更新】

墓じまいに親族の同意はどこまで必要なのか、誰にどの順番で声をかければ親族トラブルにならないのか、気になって調べ始めた方も多いのではないでしょうか。

お墓のことはひとりでは決められない気がして、「勝手に進めて、後から『聞いていない』と言われたらどうしよう」と手が止まってしまう。

かといって、親族全員に話を通そうとすると、兄弟までは当然としても、叔父や叔母、いとこまで伝えるべきなのか、連絡の線引きは考えるほど分からなくなります。

実際に寄せられたご相談でも、「絶縁状態が40年以上続いている親族にまで連絡するのは気が引けるし、正直怖い」という声がありました。

結論から言うと、墓じまいで法律上の同意が必要な相手は、お墓の名義人(祭祀承継者)と墓地の管理者に限られます。

親族全員の同意は、法律上の必須条件ではありません。

後の揉め事を防ぐ鍵は、「法的に必要な範囲」と「心情的に連絡しておく範囲」を分けて考え、近い親族から順に声をかけていくことです。

この記事では、5万件以上の墓じまい相談に向き合ってきた経験をもとに、同意が必要な相手、連絡範囲の切り分け方、親族トラブルを防ぐ声かけの順番と最初の一歩までを、やさしく解説します。

読み終える頃には、誰に・いつ・どの順番で声をかければよいかが整理でき、まずはお墓の名義人が誰かを確認するところから動き出せるようになります。

この記事を読んで分かること

  • 法律で同意を求められる相手
  • 連絡する親族と省いてよい親族の線引き
  • 角を立てない声かけの順番と伝え方
  • 名義人の確かめ方と最初の一歩

ぜひ最後までお読みください!

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墓じまいの同意が必要な相手は名義人と墓地管理者

墓じまいの同意が必要な相手は名義人と墓地管理者の2者だけで親族全員の同意は法律上の条件ではないと伝えるイラスト

墓じまいを進めるとき、「誰の同意が必要なのか」という問いに対して、多くの方が「親族全員に話を通さなければいけない」と感じています。

しかし法律の観点から整理すると、話は思っているよりずっと単純です。

墓じまいで法律上の手続きが必要な相手は、次の2者です

  • お墓の名義人(祭祀承継者)
  • 墓地の管理者(お寺・霊園)

この2者との手続きさえ整えば、法律上は墓じまいを進めることができます。

叔父や叔母、いとこなど遠い親族の承諾を、法律が求めているわけではありません。

法律上の権限を持つのは祭祀承継者(お墓の名義人)

お墓は「祭祀財産」と呼ばれる特別な財産のひとつです。

民法897条では、お墓などの祭祀財産を受け継ぐ人(祭祀承継者)は、慣習や、亡くなった方による生前の指定にしたがって決まるとされています。

そして祭祀承継者は、遺産分割のように相続人全員の合意を必要とせず、ひとりで祭祀財産の管理と処分を決める権限を持ちます

つまり、お墓の名義人(祭祀承継者)が「墓じまいをする」と決断すれば、法律上は他の親族全員の同意がなくても手続きを進めることができます

「親族に反対されたから墓じまいができない」という状況は、法的には成立しません

ただし、ここで注意したいのは「法律上できる」ことと「親族関係を保ちながら円満に進める」ことは別の話だという点です。

この記事の後半で詳しく解説しますが、法的な正しさだけを根拠に進めると、後から「なぜ相談がなかったのか」と言われるリスクがあります

なお、「お墓の名義人が誰か」を把握していない方も多くいます。

名義人の具体的な確認方法は、この記事の後半「名義人の確認から始める墓じまいの進め方」で順を追って説明します。

お寺や霊園への手続きが法律上の必須の手続き

墓じまいを進めるうえで、もうひとつ欠かせない相手が「墓地の管理者」です。

お寺の墓地であればご住職、霊園であれば管理事務所がこれにあたります。

遺骨を今のお墓から別の場所へ移すには、役所から「改葬許可証」を取得する必要があります。

この改葬許可申請には、現在の墓地管理者が発行する「埋葬証明書」が必要書類のひとつとして求められます。

つまり、墓地管理者の協力なしには、法的な手続きを完結させることができません

必要になる書類の全体像は、墓じまいの必要書類3つを全て解説|手続きの全体像が10分でわかるで分かりやすくまとめています。

また、お寺の墓地の場合、ご住職との話し合いは手続き上の必要性だけでなく、長年お墓を守ってもらった関係への配慮という意味でも大切な場面です。

「手続きに必要だから」と事務的に切り出すのではなく、これまでのお礼を添えて相談の形で伝えると、その後の話がずっと進めやすくなります。

法的に必要な範囲と心情的な連絡範囲の切り分け

法的に必要な範囲と心情的な連絡範囲の切り分けを名義人・墓地管理者と兄弟・縁のある親族に分けて伝えるイラスト

前のセクションで確認したとおり、墓じまいを法律上進めるための相手は「名義人(祭祀承継者)」と「墓地管理者」の2者だけです。

では、なぜ多くの方が「親族全員に話を通さなければ」と感じ、身動きが取れなくなってしまうのでしょうか。

その答えは、「法的に必要な範囲」と「心情的に連絡しておくべき範囲」が混ざってしまっているからです。

この2つは、目的も相手も、まったく別のものです。

最初にここを切り分けておくだけで、「誰に何をどこまで伝えればよいか」がずっと見えやすくなります。

法的に必要な範囲とは、手続きを完結させるための相手です

具体的には、名義人(祭祀承継者)が墓じまいの意思決定を行い、墓地管理者が改葬許可申請に必要な埋葬証明書を発行します。

役所へ改葬許可申請を提出し、許可証を受け取る。

この流れのなかに登場する相手だけが、法律上の手続きに関わる相手です。

それ以外の親族は、法律の観点からは手続きの当事者ではありません。

心情的に連絡しておくべき範囲とは、後のトラブルを防ぐための相手です

こちらは法律の問題ではなく、人間関係の問題です。

墓じまいはご先祖様の遺骨を動かし、長年守ってきたお墓を取り壊すという、家族・親族にとって感情が動く出来事です。

事後に知った親族から「なぜ相談がなかったのか」「勝手に決めた」という声が上がるケースの多くは、手続き上の問題ではなく、この心情的な連絡が不足していたことが原因です。

ここで大切なのは、心情的な連絡範囲を「親族全員」と設定する必要はないという点です。

連絡しておく相手の目安は、次のように考えると整理しやすくなります。

  • そのお墓に縁がある方(お墓参りに来ている、管理を手伝ってきたなど)
  • 墓じまいを知ったときに「聞いていなかった」と感じる可能性がある方
  • 一般的には兄弟・姉妹、場合によっては親の兄弟(叔父・叔母)あたりまで

40年以上絶縁状態が続いている親族や、お墓参りに一度も来たことがない親族など、実質的な縁がほぼない相手にまで連絡を入れる必要は、心情的な観点からも必ずしもありません

この切り分けを表にまとめると、次のように整理できます。

区分相手目的
法的に必要な範囲名義人・墓地管理者・役所手続きの完結
心情的に連絡すべき範囲兄弟・姉妹、縁のある親族トラブルの予防・関係の維持
連絡不要と判断できる範囲実質的な縁がない遠縁の親族特になし

この切り分けができると、「全員に話を通さなければ動けない」という思い込みから解放されます

法的な手続きは2者との間で完結し、心情的な連絡は「縁のある近い親族」に絞って順番通りに行う

これが、墓じまいを止まらずに前に進めるための基本的な考え方です。

また、墓じまい後の遺骨をどこに納めるかも、親族への説明の際に「移した後はどうなるのか」という疑問に答えるうえで大切な論点です。

墓じまい後の納骨先はどこにする?6つの選択肢と費用・進め方で選択肢を事前に整理しておくと、親族への説明も進めやすくなります。

親族トラブルを防ぐ声かけは近い順に3段階

法的な手続きの相手と、心情的に連絡しておく相手が整理できたところで、次に「どの順番で・どの深さで声をかければよいか」を具体的に見ていきます。

結論からいうと、親族への声かけは「近い順に3段階」で進めるのが最もトラブルになりにくい方法です。

一番近い親族から始めて、関係の遠さに応じて順番に連絡していきましょう。

この順番を守るだけで、「なぜ先に相談がなかったのか」という声が出るリスクを大きく下げることができます。

第1段階は兄弟など一番近い親族への一声

最初に声をかける相手は、兄弟・姉妹です。

この段階では、正式な話し合いや全員の合意を求める必要はありません。

「そろそろお墓のことを考えたいと思っている」という一言を伝えるだけで十分です。

この一声には、2つの大切な意味があります。

ひとつは、後から「聞いていなかった」と言われることを防ぐためです。

墓じまいのトラブルの多くは、手続きが終わった後に「なぜ誰も相談してくれなかったのか」という感情的な反発から始まります。

正式な話し合いの前に「考え始めている」という事実を共有しておくだけで、この反発が起きる確率は大きく下がります

もうひとつは、兄弟・姉妹も同じ悩みを抱えていた場合、一声をきっかけに「実は自分もそう思っていた」と話が動き始めることがあるからです。

悩みを抱えたまま誰も言い出せずにいた状況が、一言で動き出すことは珍しくありません。

声のかけ方は、電話でもLINEでも構いません。

「お墓の手続きを始めます」という改まった報告ではなく、「最近お墓のことが気になっていて、そろそろ話し合えたらと思っているんだけど」という柔らかい切り出し方で十分です。

この段階での目的は「合意を取ること」ではなく、「知ってもらうこと」です

最初の一声で押さえたい3つのこと

  • 目的は「合意を取ること」ではなく「知ってもらうこと」
  • 「そろそろ考えたい」という柔らかい切り出しで十分
  • 手続きが終わった後の報告ではなく、動き出す前に伝える

親族やお寺への話の進め方をさらに詳しく整理したい方は、墓じまいの交渉のコツ|お寺と親族に角を立てない進め方もあわせて読むと見通しが立てやすくなります。

第2段階以降は関係の遠さに応じて連絡の深さを調整

兄弟・姉妹への一声が済んだら、次は少し関係の遠い親族への連絡を検討します。

ただし、この段階からは全員に同じ深さで連絡する必要はありません。

関係の遠さと、そのお墓への縁の深さに応じて、連絡の深さを分けて考えると分かりやすくなります。

第2段階:叔父・叔母など、縁があり墓じまいを知ったときに感情が動く可能性がある親族

この層には、「墓じまいを進める方向で考えている」という事実の共有と、簡単な理由の説明が必要です。

全員の賛成を取り付ける必要はありませんが、「知らないままだった」という状況を作らないことが大切です。

電話や手紙で「こういう事情でお墓を整理したいと考えている」と伝えるだけで、後のトラブルをかなり防ぐことができます。

第3段階:いとこなど、さらに遠い親族

この層は、縁の深さによって対応を変えます。

お墓参りに来たことがある、故人と生前に交流があったなど実質的な縁がある場合は、簡単な連絡を入れておくと丁寧です。

一方、実質的な接点がほとんどない場合は、連絡の優先度を下げても問題ありません。

「全員に漏れなく伝えなければ」という気負いを手放すことが、ここでは大切です。

連絡不要と判断できる親族

40年以上絶縁状態が続いている、一度もお墓参りに来たことがない、故人とも生前まったく交流がなかった、といった場合は、心情的な連絡の対象から外すと判断しても合理的です。

「全員に話を通さなければ動けない」という思い込みが、行動を止める一番の原因になります。

3段階の声かけを整理すると、次のようになります。

段階相手連絡の深さ
第1段階兄弟・姉妹「考え始めている」という一声
第2段階叔父・叔母など縁のある親族事実と理由の共有
第3段階いとこなど遠い親族縁の深さに応じて判断
対象外実質的な縁がない親族連絡不要と判断してよい

声かけの順番を決めて動き始めることが、親族関係を守りながら墓じまいを前に進める最大の予防策です。

最初の一声は、正式な話し合いでも手続きの報告でもありません。

「そろそろ考えたい」という気持ちを、一番近い人に伝えるところから始めてみてください。

墓じまいを進める準備として何を用意すればよいかをまとめて確認したい方は、墓じまい準備の完全ガイド|用意するもの一覧と進め方を解説もあわせてご覧いただけます。

名義人の確認から始める墓じまいの進め方

ここまでで、「誰の同意が法的に必要か」「親族への声かけをどの順番で進めればよいか」が整理できました。

ここからは、実際に墓じまいを動かすための最初の具体的な手順を、順を追って解説します。

墓じまいの第一歩は、「お墓の名義人(祭祀承継者)が誰か」を確認することです。

ここを確認しないまま手続きを進めようとすると、後から「その人には権限がない」という状況が発生し、手続き全体が止まってしまう可能性があります。

名義人の確認は、動き出す前に必ず済ませておきたい最初の確認事項です。

親族と揉めずに墓じまいを進める3つの順番

  • 順番1:お墓の名義人(祭祀承継者)が誰かを確認する
  • 順番2:兄弟など一番近い親族に「そろそろ考えたい」と一声かける
  • 順番3:お墓の管理者(お寺・霊園)に相談して手続きに進む

手順1:名義人(祭祀承継者)が誰かを確認する

名義人を確認する方法は、主に3つあります。

  • 墓地の管理者(お寺・霊園)に問い合わせる:墓地使用契約書や使用許可証には名義人が記載されており、墓地管理者はその情報を保管しています。「お墓の名義人を確認したい」と伝えれば、多くの場合は教えてもらえます。
  • 自宅に保管されている書類を確認する:墓地使用許可証や永代使用料の領収書などが見つかれば、名義人を確認できることがあります。親が亡くなった後に実家の書類を整理した際に見つかるケースも多いです。
  • 遺言書や覚書の指定を確認する:親が生前に「お墓はこの人に任せる」という意思を書き残している場合は、それが祭祀承継者の根拠になります。

名義人の調べ方についてさらに詳しく知りたい方は、お墓の管理者が誰か調べる方法|上手な調べ方と確認後の進め方を解説で、確認後の進め方まで含めて丁寧に解説しています。

手順2:兄弟など近い親族に一声かける

名義人が確認できたら、前のセクションで解説した第1段階の声かけを行います。

「そろそろお墓のことを考えたいと思っている」という一言を、兄弟・姉妹に伝えます。

この声かけは、手続きの前に行うことが大切です。

手続きが終わった後に報告するのではなく、動き出す前に「考え始めている」という事実を共有することが、トラブル防止の核心です。

手順3:墓地管理者(お寺・霊園)に相談する

近い親族への一声が済んだら、墓地管理者への相談に進みます。

お寺の場合はご住職へ、霊園の場合は管理事務所への連絡です。

この段階では「墓じまいを正式に決定した」という通知ではなく、「墓じまいを考えているので相談したい」という形で話を切り出すと、相手も受け取りやすくなります。

お寺の場合は、お寺との関係を終える手続きについての話し合いも必要になります。

その際、お礼として「離檀料」と呼ばれる費用が話題になるケースもあるため、事前に考え方を整理しておくと落ち着いて対応できます。

金額はお寺との関係や地域によって幅がありますが、義務的な料金表があるものではなく、これまでのお礼としてのお布施という性格のものです。

手順4:役所で改葬許可申請を行う

墓地管理者から埋葬証明書を受け取ったら、次は役所で改葬許可申請を行います。

改葬許可証が発行されて初めて、遺骨を合法的に別の場所へ移すことができます

申請には戸籍謄本が必要になるケースもありますが、平日に役所へ行く時間が取れない方でも、郵送で取り寄せられる方法があります。

手順5:新しい納骨先を決め、石材店に依頼する

改葬許可証が取得できたら、遺骨の新しい納骨先を確定させ、石材店にお墓の取り壊し工事を依頼します。

墓じまい後の納骨先には、永代供養墓・樹木葬・散骨・手元供養など複数の選択肢があります。

どの納骨先が自分たちの状況に合うかを、親族への説明の前に整理しておくと、話し合いが進めやすくなります。

ここまでの5つの手順を整理すると、次のようになります。

手順内容相手
手順1名義人(祭祀承継者)の確認墓地管理者・自宅書類
手順2兄弟など近い親族への一声兄弟・姉妹
手順3墓地管理者への相談お寺・霊園
手順4役所で改葬許可申請市区町村役所
手順5新しい納骨先の確定・石材店への依頼納骨先・石材店

墓じまいは手順が多く、最初は複雑に感じるかもしれません。

しかし最初の一歩は、「名義人が誰かを確認すること」と「兄弟に一声かけること」のふたつだけです。

この2つさえ動き出せば、その先の手続きは順番通りに進めていくことができます。

名義人を確認して、親族への一声から始めよう

この記事では、墓じまいに親族の同意がどこまで必要か、誰にどの順番で声をかければトラブルなく進められるかを整理してきました。

法律上の同意・手続きが必要な相手は、お墓の名義人(祭祀承継者)と墓地の管理者の2者です。

親族全員の承諾は、法律が定めた条件ではありません。

そのうえで、後から「聞いていない」と言われないためには、「法的に必要な範囲」と「心情的に連絡しておく範囲」を分けて考え、兄弟・姉妹から叔父・叔母、さらに遠い親族へと、関係の近さに応じた深さで声をかけていくことが、親族関係を守りながら前に進むための一番の近道です。

まず取りかかれる行動は2つあります。

ひとつは、お墓の名義人が誰かを確認すること。

もうひとつは、一番近い親族に「そろそろお墓のことを考えたい」と一声かけることです。

慎重になるのは、正しくやりたい気持ちがある証拠です。

名義人を確かめ、身近な人にひと言伝える——その小さな一歩から、親族と揉めない墓じまいが始まります。

判断に迷ったときは、墓じまいに慣れた専門の窓口へ相談してみるのも一つの方法です。

参考リンク:

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