墓石の写真

【2026年6月更新】

墓じまいで使う熨斗(のし)袋、お布施・離檀料・墓石業者へのお礼で何をどう選べばいいのか、迷っていませんか。

法事の経験はあっても墓じまいは初めてで、「住職に失礼があったら」「親戚に常識がないと思われたら」と、文具店ののし袋コーナーの前で手が止まってしまう。

そんなお気持ち、よく分かります。

長年お世話になったお寺やご先祖様に、最後にきちんと筋を通して送り出したいからこそ、些細なことでも不安になりますよね。

結論からお伝えすると、墓じまいの熨斗(のし)袋は「場面・表書き・水引・渡し方」の4つの判断軸で整理すれば、迷わず選べます。

住職へのお布施、離檀料、墓石業者や手伝ってくれた方へのお礼。

この3つの場面ごとに、袋の種類・表書き・水引の色を使い分けるのが基本です。

ただし、ここで気をつけたいことがあります。

表書きと水引を正しく選べても、それだけでは「きちんと送り出せた」とは言いきれません。

中袋への金額の書き方、お札の向き、袱紗(ふくさ)の使い方、渡すタイミングと添える言葉。

この一連の所作までセットで整えて、はじめて住職や親戚に筋が通ったと感じてもらえる礼の尽くし方になります。

この記事では、場面別の3種類の使い分け、表書きと水引の選び方、金額の目安と当日の渡し方の所作まで、4つの判断軸に沿って順を追ってご紹介します。

読み終わるころには、ご自身のケースに合わせて今日からのし袋を準備し始められるはずです。

この記事を読んで分かること

  • 場面別の3種類の袋(お布施・離檀料・業者へのお礼)の使い分け
  • 表書きと水引の選び方(御布施・御礼・志/黒白・双銀・黄白)
  • 金額の目安と中袋への旧字体の書き方
  • 当日の渡し方の所作(袱紗・お札の向き・添える言葉)

ぜひ最後までお読みください!

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熨斗(のし)袋は4つの判断軸で迷わず選べる

墓じまいの熨斗(のし)袋を準備するとき、最初に押さえておきたいのが「4つの判断軸」です。

場面・表書き・水引・渡し方。

この4つを順番に当てはめていけば、文具店で迷うことも、当日あわてることもなくなります。

一つひとつは難しい話ではありません。

ただ、慣れないことだからこそ、全体像を最初に掴んでおくことが安心につながります。

場面・表書き・水引・渡し方の4軸で整理する

まず1つめの軸が「場面」です。

墓じまいでは、渡す相手が複数いらっしゃいます。

お墓の魂抜き(閉眼供養)を執り行ってくださる住職へのお布施、長年お世話になったお寺を離れる際の離檀料、そして墓石を撤去してくださる業者や当日手伝ってくれたご親族へのお礼。

同じ「お金を包む」場面でも、相手と目的が違えば、用意する袋も書き方も変わってきます。

1袋ですべてをまとめることはできません

場面ごとに1袋ずつ、用途を分けて準備するのが第一歩です

2つめの軸が「表書き」です。

袋の中央上部に書く言葉のことで、「御布施」「御礼」「志」の3種類を場面に応じて使い分けます。

住職へのお布施には「御布施」、業者や関係者へのお礼には「御礼」または「志」。

地域や宗派によって選ぶ言葉が変わることもあるので、迷ったときはお寺や地元の年長者に確認すると安心です。

3つめの軸が「水引」です。

袋に付いている飾り紐の色で、黒白・双銀・黄白などがあります。

住職へのお布施には黒白や双銀が用いられることが多く、業者へのお礼では地域の慣習に合わせて選びます。

関西の一部地域では黄白が使われることもあり、ここも「自分のケース」を確認することが大切です。

4つめの軸が「渡し方」です。

袋を選んで表書きを書けば終わり、ではありません。

中袋への金額の書き方、お札の向き、袱紗(ふくさ)の使い方、渡すタイミングと添える言葉。

この一連の所作までが熨斗(のし)袋のマナーとして一つにつながっています。

この4つの軸を順番に当てはめていけば、ご自身のケースで何を用意すべきかが自然と見えてきます。

香典マナーとは別軸で考えるのが鉄則

墓じまいの熨斗(のし)袋を準備するとき、「お葬式の香典と同じ感覚で選べばいいのかしら」と考える方がとても多いのですが、実はこれが落とし穴になります。

香典は「お悔やみの気持ち」を表すお金です。

一方、墓じまいでお渡しするお布施は、住職にお墓の魂抜きという法要を執り行っていただいたことへの「感謝」を表すもの

離檀料も、長年お世話になったお寺への「お礼」の意味合いが強いお金です。

業者や関係者へのお礼も同じく、感謝の気持ちを形にしたものになります。

香典と墓じまいのし袋の違い

  • 香典は「お悔やみ」→ 薄墨で書く・旧札を使う・不祝儀袋に「御霊前」「御仏前」
  • お布施・離檀料は「感謝」→ 濃い墨で書く・新札を使う・表書きは「御布施」
  • 業者へのお礼も「感謝」→ 表書きは「御礼」または「志」・白封筒または黒白・黄白の袋

つまり、墓じまいの熨斗(のし)袋は「お悔やみ」ではなく「感謝」の場面なのです。

ここを取り違えると、不祝儀袋を一律に選んでしまったり、お札の向きを香典と同じにしてしまったりと、本来の意図と違う形になってしまいます

「香典マナーとは別軸」。

この一言を頭の片隅に置いていただくだけで、選び方の迷いがぐっと減ります。

墓じまいは故人を悼む場ではなく、ご先祖様とお寺、そして関わってくださった方々に感謝を伝えて節目をつける場。

だからこそ、感謝の気持ちにふさわしい袋・書き方・渡し方を選んでいきましょう。

熨斗(のし)袋は場面別に3種類を準備する

墓じまいで用意する熨斗(のし)袋は、基本的に「住職へのお布施」「離檀料」「墓石業者・関係者へのお礼」の3種類です。

1袋ですべてをまとめることはできず、相手と目的が違えば袋も書き方も変わります。

「全部で何袋いるのかしら」と頭の中だけで考えていると混乱してしまうので、まずは紙に書き出してから準備に取りかかるのがおすすめです。

場面表書き水引の色金額の目安
住職へのお布施(お墓の魂抜き)御布施黒白または双銀3万〜10万円程度
離檀料(お寺を離れるお礼)御布施または御礼黒白または双銀5万〜20万円程度
墓石業者・関係者へのお礼御礼または志黒白または黄白責任者3千〜1万円・親族1千〜3千円程度

住職へのお布施(お墓の魂抜き)の袋

1つめが、お墓の魂抜きを執り行ってくださる住職へのお布施です。

墓じまいでは、お墓に宿るご先祖様の魂を抜き、ただの石に戻していただく法要が必要になります。

この読経への感謝として包むのがお布施です。

袋は「白い無地の封筒」か、黒白または双銀の水引が付いた不祝儀袋が一般的とされています。

表書きは「御布施」と書き、その下にご自身の姓またはフルネームを記します。

金額の目安は3万円〜10万円程度とされることが多く、地域やお寺との関係性、法要の規模によって変わります

長年お世話になったお寺であれば、相場の上限寄りで包む方も少なくありません。

迷ったときは、お寺に直接「いかほどお包みすればよろしいでしょうか」と尋ねても失礼にはあたりません

むしろ、誠実な姿勢として受け止めていただけることが多いものです。

なお、お布施とは別に「御車代」や「御膳料」が必要になる場合もあります。

住職にお墓まで足を運んでいただく場合は御車代として5千円〜1万円程度、法要後の会食を辞退される場合は御膳料として5千円〜1万円程度を、それぞれ別の白封筒に入れてお渡しするのが通例です。

離檀料を渡す場合の袋

2つめが、お寺を離れる際にお渡しする離檀料の袋です。

離檀料は法律で定められたものではなく、必ず渡さなければいけない性質のお金ではありません

ただ、長年ご先祖様のお墓を守っていただいたお寺への感謝の気持ちとして、お渡しする方が多いのが実情です。

袋は、お布施と同じく白封筒または黒白・双銀の水引付きの不祝儀袋を用います。

表書きは「御布施」または「御礼」とするのが通例です。

ここでお布施と同じ「御布施」を使う場合は、お布施の袋とは必ず別にして、それぞれ独立した袋として用意してください。

同じ袋にまとめてしまうと、何のお金なのかが伝わりにくくなってしまいます

金額の目安は5万円〜20万円程度とされることが多いですが、お寺との関係や地域によって幅があります

代々続くお寺で何代にもわたってお世話になっている場合は、もう少し多めに包む方もいらっしゃいます。

事前にお寺と離檀の話を進める中で、自然と相場感が見えてくることもありますので、慌てて決めず、お寺とのやりとりの流れの中で判断していくとよいでしょう。

墓石業者・関係者へのお礼の袋

3つめが、墓石を撤去してくださる業者や、当日お手伝いしてくれたご親族・近隣の方へのお礼の袋です。

「業者さんへのお礼って必要なのかしら」と思われるかもしれませんが、地域によっては今でも当日に心づけをお渡しする習慣が残っています

必須ではありませんが、長時間の作業で汗を流してくださる方へのねぎらいとして、ご自身の気持ちに沿って用意されるとよいでしょう。

袋は、紅白の水引が付いた祝儀袋ではなく、無地の白封筒か、黒白・黄白の水引付きの袋を用いるのが一般的です。

表書きは「御礼」または「志」と書きます。

「志」は地域や宗派によって「御礼」の代わりに使われる言葉で、関西の一部地域では黄白の水引と組み合わせて用いられることもあります。

金額の目安は、業者の現場責任者には3千円〜1万円程度、お手伝いしてくれたご親族には1千円〜3千円程度を包む方が多いとされています。

当日の人数が決まったら、人数分の小さめの袋を事前に用意しておくとスムーズです。

当日の袋取り違え防止のコツ

  • 3種類の袋それぞれの裏側に小さく付箋を貼る(「住職・お布施」「住職・離檀料」「業者・現場責任者」など)
  • 当日は思いのほか慌ただしくなるため、前日までにご家族と一緒に確認しておく
  • 段取りを紙に書き出し、当日それを見ながら動けるようにしておく

表書きは「御布施」「御礼」「志」を場面で使い分ける

熨斗(のし)袋の表側、中央上部に書く言葉を「表書き」といいます。

墓じまいで使う表書きは、基本的に「御布施」「御礼」「志」の3種類。

場面ごとにふさわしい言葉を選び、丁寧に書くことが、住職や関係者への礼を尽くす第一歩になります。

「どれを選んでも同じでしょう」と思われるかもしれませんが、表書きにはそれぞれ意味と使い方の違いがあるのです

一つずつ、丁寧に見ていきましょう。

「御布施」は住職へのお布施・離檀料に使う

「御布施」は、僧侶に読経していただいたことへの感謝として包むお金につける表書きです。

墓じまいの場面では、お墓の魂抜きを執り行ってくださる住職へのお布施と、お寺を離れる際の離檀料の両方に使います。

書き方は、袋の中央上部に「御布施」と縦書きで記し、その下にご自身の姓または「○○家」と書き入れます

フルネームを書く場合は、姓と名の間を少し空けて読みやすくするのが基本です。

文字は、毛筆または筆ペンを使って、はっきりとした濃い墨で書きます。

ここで一つ、よく勘違いされるポイントをお伝えします。

お葬式の香典では、悲しみの涙で墨が薄まったことを表すために「薄墨」を使う習慣がありますが、墓じまいのお布施や離檀料は薄墨では書きません。

お布施は「感謝の気持ち」を表すものなので、濃い墨ではっきりと書くのが正しい作法とされています

「香典と同じ薄墨で書いてしまった」というご相談を時々お聞きしますが、墓じまいでは濃墨

ここは特に意識して準備していただきたいポイントです。

なお、離檀料を「御布施」として包む場合、お布施の袋と離檀料の袋は必ず別にしてください

同じ表書きでも、袋を分けることで「これは法要への感謝、こちらは長年お世話になったお礼」という意味の違いがはっきりします。

袋の裏に小さく付箋を貼って区別しておくと、当日取り違える心配もありません。

「御礼」は墓石業者や関係者へのお礼に使う

「御礼」は、墓石を撤去してくださる業者や、当日お手伝いしてくれたご親族・近隣の方への感謝を表す表書きです。

住職へのお布施が「読経への感謝」であるのに対し、「御礼」は「労働やお世話への感謝」を伝える言葉になります。

書き方は「御布施」と同じく、袋の中央上部に「御礼」と縦書きで記し、その下にご自身の姓を書き入れます。

文字はやはり濃い墨で、はっきりと丁寧に。

筆ペンに自信がない方は、近年は普通の筆ペンや筆風のサインペンも文具店で手に入りますので、書きやすいものを選んでいただいて構いません。

業者の現場責任者にお渡しする場合は、作業が一区切りついたタイミングや、すべての作業が終わって挨拶を交わすときにお渡しするのが自然です。

「本日はありがとうございました。皆さまでお使いください」と一言添えてお渡しすると、形式的にならず気持ちが伝わります。

ご親族へのお礼の場合は、後日改めてお渡しする方法もあります。

「志」は地域・宗派により御礼の代わりに使う

3つめの「志」は、「御礼」と似た意味で使われる表書きですが、地域や宗派によって用いられる場面が異なります。

一般的には、関西や中国・四国の一部地域で「御礼」の代わりに「志」と書く慣習が残っているとされ、墓石業者や手伝ってくれた方へのお礼に用いられることがあります。

「志」という言葉には「気持ち」「心ばかり」という意味が込められていて、「大それたものではありませんが、お気持ちとしてお受け取りください」というニュアンスを含みます。

控えめで奥ゆかしい表現として、関西圏を中心に長く使われてきた言葉です。

ただ、すべての地域で「志」が通用するわけではありません。

関東圏では「御礼」のほうが一般的で、「志」は香典返しの表書きとして使われることが多いため、墓じまいの場面で使うと「あれ?」と思われることもあります。

ご自身がどちらの表書きを選べばよいか迷ったときは、お寺の住職や、墓じまいを依頼する石材店に確認するのが確実です。

また、ご実家のある地域とご自身が現在お住まいの地域が違う場合は、お墓のある地域の慣習に合わせるのが基本です。

お墓がある土地のしきたり」に従うと考えていただくと、判断に迷いません

水引の色は地域・宗派・相手で選び分ける

熨斗(のし)袋に付いている飾り紐のことを「水引(みずひき)」といいます。

色や結び方によって意味が変わり、ふさわしくない水引を選んでしまうと、表書きが正しくても全体としてちぐはぐな印象になってしまうことも。

墓じまいで使う水引は、基本的に「黒白」「双銀」「黄白」の3色から選びます。

どの色を選ぶかは、相手・地域・宗派の3つの観点で判断していくのが基本です。

なお、水引の結び方は「結び切り」または「あわじ結び」を選んでください。

一度きりで繰り返さないことを願う場面で用いられる結び方で、墓じまいのように「これを最後に」という節目にふさわしい形です。

蝶結びは「何度あってもよいこと」を意味するため、墓じまいの場面では使いません

黒白・双銀は住職へのお布施に

住職へのお布施や離檀料には、黒白または双銀の水引が付いた不祝儀袋を用いるのが一般的です

仏事全般で広く使われる色合いで、関東を中心に全国的に通用する組み合わせになります。

黒白の水引は、5本または7本のものを選んでください。

本数が多いほど格が高くなるとされ、お布施の金額が高額になる場合は7本の水引を選ぶ方もいらっしゃいます

3万円〜5万円程度であれば5本、10万円を超えるような場合は7本というのが、一つの目安です。

双銀の水引は、銀色の紐が2本対になった形で、黒白よりも少し格式高い印象を与えます。

10万円以上の高額なお布施を包む場合や、長年お世話になったお寺への離檀料として包む場合に選ばれることが多い色合いです。

ここで一つ、迷いやすいポイントをお伝えします。

「白い無地の封筒」と「水引付きの不祝儀袋」、どちらを選べばよいか悩まれる方が少なくありません。

実は、お布施に関しては「白い無地の封筒」が最も格式の高い包み方とされる考え方もあります

水引は本来「贈答品を封じる」意味を持つもので、お布施は贈答品ではなく「お寺へのお気持ち」であるという考え方から、無地の封筒が用いられてきた歴史があるのです。

現代では水引付きの不祝儀袋を選ばれる方も多く、どちらが正解という決まりはありません。

地域の慣習や、ご自身が納得できる方を選んでいただいて大丈夫です。

黄白や「御礼」「志」は地域慣習を確認

水引選びで特に気をつけたいのが、地域による違いです。

関西や北陸の一部地域では、仏事に黄白の水引を用いる慣習が今も色濃く残っています。

たとえば京都を中心とした関西圏では、四十九日以降の仏事や法要に黄白の水引を用いる習慣があるとされています。

墓じまいの法要も四十九日以降の仏事に分類されるため、関西のお寺にお渡しするお布施には黄白を選ぶのが自然、というケースも少なくありません。

業者や関係者への「御礼」「志」の袋についても、地域による違いが出やすいところです。

関東では黒白の水引付きの袋か、無地の白封筒に「御礼」と書く形が多いですが、関西では黄白の水引に「志」と書く組み合わせがよく見られます。

「自分の地域ではどちらが正解なのか分からない」というときは、次の3つの方法で確認してみてください。

  • 墓じまいを依頼する石材店に尋ねる(地元で長年営業されている石材店であれば、地域の慣習を熟知しています)
  • お寺の住職に伺う(「黒白と黄白、どちらでお渡しするのがよろしいでしょうか」と尋ねれば、宗派や地域の慣習を踏まえた答えをいただけます)
  • ご親族の年長者に相談する(同じ地域で過去に法事や仏事を経験されている方であれば、地元の慣習をご存じのことが多いものです)

ご実家とご自身が現在お住まいの地域が違う場合は、「お墓がある土地の慣習」に合わせるのが基本です。

たとえば現在は関東にお住まいでも、ご実家のお墓が関西にあるのなら、お布施の水引は関西の慣習に合わせて黄白を選ぶ、という考え方になります。

水引の色は、表書きとセットで初めて意味を持ちます

「御布施」には黒白か双銀、「御礼」「志」には黒白か黄白

この組み合わせを地域の慣習に合わせて選んでいけば、住職にも親戚にも筋の通った形でお渡しできます

中袋・お札の向き・渡すタイミングまでが一連の所作

袋を選び、表書きを書き、水引も整えた。

ここまで来ると「準備は終わった」と感じられるかもしれませんが、実はもう一歩あります。

中袋への金額の書き方、お札の向き、袱紗(ふくさ)の使い方、そして当日お渡しするタイミングと添える言葉。

この一連の所作までセットで整えて、はじめて熨斗(のし)袋のマナーが完成します。

中袋には金額・住所・氏名を旧字体で記す

水引付きの不祝儀袋には、外袋とは別に「中袋」が入っています。

お札は直接外袋に入れるのではなく、この中袋に入れてから外袋で包むのが正式な形です。

中袋の表側中央には、包んだ金額を縦書きで記します

このとき、漢数字の旧字体(大字)を使うのが正式な書き方とされています

「壱」「弐」「参」「伍」「拾」「萬」といった字です。

金額旧字体の書き方
3万円金参萬円
5万円金伍萬円
10万円金壱拾萬円
15万円金壱拾伍萬円

後から数字を書き足して改ざんされることを防ぐための古くからの慣習です。

「一」を「二」や「三」に書き換えられないよう、画数の多い旧字体を使うわけですね。

丁寧な気持ちを表す作法として今も受け継がれています。

中袋の裏側には、左下にご自身の住所と氏名を書き入れます。

郵便番号から始めて、住所、氏名の順に縦書きで。

住職や石材店が後日記録を残すときの参考になりますので、省略せずに記しておきましょう。

お札は新札を用意し向きを揃える

お布施や離檀料に入れるお札は、新札(ピン札)を用意するのが基本です

前の章でも触れましたが、香典では「事前に不幸を予期していなかった」という意味で旧札を使う習慣がありますが、墓じまいのお布施は「感謝の気持ち」を表すもの。

事前に準備した新札のほうが、丁寧な気持ちが伝わるとされています。

新札は銀行の窓口で両替してもらえます。

墓じまいの当日が近づいたら、平日のうちに銀行に立ち寄って必要枚数を用意しておきましょう。

ATMでは新札が出ないことが多いので、窓口での両替が確実です

当日に慌てて準備すると新札が手に入らないこともありますので、1週間前くらいまでには準備しておくと安心です

お札を中袋に入れるときは、向きを揃えることが大切です

お札の表側(肖像画が描かれている面)を、中袋の表側に向けて入れます。

さらに、肖像画が中袋の上側(袋の口側)に来るように入れるのが、慶事や感謝の場面での向きとされています。

ここも香典との違いが出るところです。

香典の場合は「悲しみで顔を伏せる」という意味で、肖像画を下向きにして入れる作法があります。

お布施は感謝の場面なので、肖像画は上向き。

複数枚を包む場合は、すべてのお札の向きを揃えることも忘れずに。

袱紗に包んで両手で差し出す

熨斗(のし)袋をそのまま手提げかばんに入れて持参するのは、実は作法として避けたいところです。

袋が折れたり汚れたりしないよう、必ず「袱紗(ふくさ)」に包んで持ち運ぶのが基本になります。

袱紗とは、贈り物や金封を包むための四角い布のこと。

最近は文具店や百貨店で、簡単に包める「金封袱紗」も売られています。

ポケット状になっていて、熨斗袋をそのまま差し込むだけで使える便利な形です。

袱紗の色は、墓じまいのような仏事の場面では、紫・紺・グレー・深い緑などの寒色系を選びます。

紫は慶事・弔事どちらにも使える万能な色なので、これから一つ用意されるなら紫がおすすめです。

赤やピンク、明るいオレンジなどの暖色系は慶事用なので、墓じまいでは使いません。

お渡しするときは、袱紗から熨斗袋を取り出し、相手から見て表書きが正面になる向きに整えてから、両手で差し出します

「両手で、相手に文字が読める向きで」

この2点を意識すれば、所作として整って見えます。

渡すタイミングと添える言葉を決めておく

袋がきれいに準備できても、いつ・どんな言葉でお渡しするかが定まっていないと、当日になって慌ててしまいます。

当日の渡し方チェック

  • 住職へのお布施:法要前「本日はどうぞよろしくお願いいたします」または法要後「本日はお勤めいただき、ありがとうございました」に添えて
  • 離檀料:法要後、改めて「長年にわたり、ご先祖の供養をお願いしてまいりました。心ばかりではございますが、お納めくださいませ」と言葉を添えて
  • 業者・関係者へのお礼:すべての作業が終わって解散する前に「本日はありがとうございました。皆さまでお使いください」と一言添えて両手でお渡し

これらの言葉は、当日になって考えようとすると言葉が出てこないものです

前日までに小さなメモに書き出して、ご家族と一緒に練習しておくと安心です。

「住職には法要後にお見送りで渡す」「業者さんには作業終了後に責任者へ渡す」と段取りを紙に書いて、当日その紙を見ながら動けるようにしておくと、慌てることなく一日を過ごせます。

熨斗(のし)袋の準備は、袋を選ぶことから始まって、お渡しの所作で完結します。

一つひとつを丁寧に積み重ねていく過程そのものが、ご先祖様と長年お世話になった方々への礼の尽くし方になっていきます

自分のケースに合わせてのし袋を準備し始めよう

墓じまいののし袋は、場面・表書き・水引・渡し方の4軸で整理するのが基本です。

住職へのお布施、離檀料、墓石業者や関係者へのお礼。

この3種類を混同せず、それぞれ別の袋で用意するところが出発点になります。

表書きは「御布施」「御礼」「志」から場面に合わせて選び、水引の色は地域の慣習に合わせて黒白・双銀・黄白の中から決める。

中袋に旧字体で金額を記し、新札の向きを揃え、袱紗に包んで両手でお渡しする。

この一連を整えれば、住職にも親戚にも筋の通った礼の尽くし方になります。

今日からの準備は難しく考えなくて大丈夫です。

まずご自身のケースを紙に書き出してみてください。

「誰に・何袋必要か」「表書きは何か」「水引の色は」。

これだけ整理できれば、文具店でのし袋を選ぶ手が迷わなくなります。

お札の両替と袱紗の準備は1週間前までに、ご家族と渡し方の段取りを確認しておけば、当日は落ち着いて動けるはずです。

あなたの墓じまいが、ご先祖様とお寺、そして関わってくださった方々への感謝とともに、心穏やかに進みますように。

参考リンク:

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