相続税の申告書と電卓・印鑑・現金など、相続税の申告準備を表す写真

【2026年7月更新】

相続税はいくらかかるのか、どう計算すれば分かるのか。

そう思って調べ始めた方は多いのではないでしょうか。

ところが相続税のことを調べていると、「基礎控除」「法定相続人」「課税価格」といった専門用語が次々に出てきて、何のことかよく分からない。

言葉の意味が分からないまま税率表を見せられ、結局「うちはどうなんだろう」という最初の疑問が置き去りになってしまう。

そんな経験をされた方もいるかもしれません。

この記事は、そうした専門用語がよく分からないという方に向けても、やさしく解説しています。

最初の章で必要な言葉をまとめて押さえてから、計算の話へ進みます。

相続税がかかるかどうかの分かれ目は、「基礎控除」で決まります。

難しそうな名前ですが、中身は「遺産の総額から差し引ける非課税の枠」のことです。

この枠に収まれば相続税はかかりません。

枠の大きさは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という式で計算します(国税庁タックスアンサーNo.4152)。

超えそうな場合も、計算は決まった順番で進みます。

遺産の総額を出す→基礎控除を引く→残りを法律で決まった割合で分ける→それぞれに税率をかける→合計する、という流れです。

この記事では、まず言葉の意味を押さえ、基礎控除の計算式と法定相続人の数え方、超えたときの計算の流れ、生命保険や配偶者の非課税の枠、そして手元の書類でどこまで見当がつくかを整理しました。

なお、不動産の評価額や特例が使えるかどうかといった判断は税理士の領域です。

この記事が担うのは、「専門家に相談すべきレベルなのかどうか」を見当づけられるところまでになります。

読み終えたあとには、固定資産税の納税通知書や通帳、生命保険の証書を手元に並べて、法定相続人の人数を数えるところから動き出せるはずです。

この記事を読んで分かること

  • 遺産・相続人・控除など基本の言葉
  • 基礎控除とは何かと式の中身
  • 3,000万円と600万円が何の数字か
  • 相続税の計算が進む6つの順番

ぜひ最後までお読みください!

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まず押さえたい相続税の4つの言葉

相続税の話に出てくる遺産・相続人・法定相続人・控除の4つの言葉と、それぞれの意味をまとめた図解

相続税の話でつまずくのは、たいてい計算そのものではなく言葉のところです

逆にいえば、この先に出てくる言葉を先に知っておくだけで、計算の話は驚くほど分かりやすくなります。

まずは、この記事で使う言葉を4つだけまとめておきます。

言葉意味
遺産亡くなった方が残した財産のすべて
相続人遺産を受け取る人
法定相続人民法で相続人になると決められている人
控除差し引くこと

遺産は亡くなった方が残した財産のこと

遺産とは、亡くなった方が残した財産のことです。

現金や預貯金だけではありません。

家や土地といった不動産、株式や投資信託、生命保険の死亡保険金なども遺産に含まれます。

さらに、借入金や未払いの税金といったマイナスの財産も遺産の一部で、プラスの財産から差し引いて考えます。

相続税の話に出てくる「遺産の総額」とは、これらを合計した金額のことだと思ってください。

相続人は遺産を受け取る人のこと

相続人とは、遺産を受け取る人のことです。

そのうち「法定相続人」は、民法で相続人になると決められている人を指します。

配偶者や子どもなど、誰が該当するかは家族構成によって決まっていて、話し合いで増やしたり減らしたりできるものではありません

この法定相続人が何人いるかは、あとで出てくる計算にそのまま効いてきます。

相続税の話で法定相続人という言葉が何度も出てくるのは、そのためです。

控除は差し引くという意味

「控除」とは、差し引くという意味の言葉です

税金の話では「◯◯控除」という言葉が何度も出てきますが、どれも「ここまでは差し引いてよい」という枠のことだと考えれば大丈夫です。

難しい言葉に見えて、やっていることは引き算です

この記事の主役になる「基礎控除」も、その控除のひとつです。

次の章から、いよいよ本題に入ります。

相続税は「基礎控除を超えるかどうか」で決まる

相続税の基礎控除の計算式と、遺産総額が基礎控除を超えるかどうかで課税が分かれることを示した図解

相続税がかかるかどうかは、遺産の総額が「基礎控除」を超えるかどうかで決まります。

基礎控除の計算式は、次の一本の式だけです。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

とはいえ、この式だけを見せられても、3,000万円や600万円がどこから出てきた数字なのか分かりにくいところではないでしょうか。

まずはこの式の中身を、ひとつずつ見ていきます。

基礎控除は遺産から差し引ける非課税の枠

基礎控除とは、相続税を計算するときに遺産の総額から差し引ける枠のことです。

ここで大事なのは、相続税は遺産の総額にそのままかかるわけではないという点です。

まず遺産の総額から基礎控除を差し引き、その残った部分にだけ相続税がかかります(国税庁タックスアンサーNo.4152)。

順番にすると、次のようになります。

  1. 遺産の総額を出す
  2. そこから基礎控除を差し引く
  3. 残った金額にだけ相続税がかかる

差し引いた結果がゼロ以下、つまり遺産の総額が基礎控除に届かなければ、相続税はかかりません。

例えば…

・4000万円を1人で相続した時は、4000万円-3000万円+600万円×1人=残った金額400万円に相続税がかかる

・3000万円を1人で相続した時は、3000万円-3000万円+600万円×1人=残った金額0円以下になるので、相続税がかからない

といった具合です。

ここが「相続税がかかる家庭・かからない家庭」の分かれ目です。

この基礎控除の額は、誰かと交渉して決まるものでも、財産の中身によって変わるものでもありません

法律にもとづいて全国一律の式で計算されます。

だからこそ、式さえ分かれば自分で計算できます。

3,000万円は人数に関係なく引ける土台の部分

式の前半にある3,000万円は、法定相続人が何人であっても変わらない定額の部分です。

相続人が1人でも4人でも、まずこの3,000万円が土台として引けます

言い換えれば、基礎控除は最低でも3,000万円ある、ということです。

600万円は法定相続人1人につき増える部分

式の後半にある「600万円×法定相続人の数」は、法定相続人1人あたりに加わる部分です。

法定相続人が1人増えるごとに、基礎控除の枠が600万円ずつ広がります

たとえば法定相続人が2人なら、600万円×2人=1,200万円。

これを土台の3,000万円に足して、基礎控除は4,200万円になります。

3人なら600万円×3人=1,800万円を足して4,800万円です。

つまり「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という式は、動かない土台の3,000万円と、人数の分だけ伸びる600万円ずつの部分を足したもの、と読めます。

超えた金額にだけ相続税がかかる

基礎控除額が出せたら、あとは遺産の総額と照らし合わせるだけです。

この金額を遺産の総額が超えなければ、相続税はかかりません。

超えた場合は、超えた部分だけが課税の対象になります(国税庁タックスアンサーNo.4152)。

たとえば法定相続人が2人いれば基礎控除は4,200万円、3人いれば4,800万円です

遺産の総額がこの額を下回るなら、相続税の申告自体が不要になる可能性が高くなります。

言い換えれば、相続税の計算を一から調べる前に、まず基礎控除額と遺産の総額を比べるだけでいい。

「うちはどちら側か」の見当をつけるために、複雑な税率表を読み込む必要はありません。

ただし、「超えそう」という結果が出た場合は、その先に計算の手順があります。

遺産の総額を出し、基礎控除を引き、残った金額を法律で決まった割合で分けてから税率をかけ、各人の負担額に分けていく流れです。

ここで出てくる言葉の意味は、あとの章でひとつずつ説明します。

この記事では、その流れも順番に整理しています。

まずは「法定相続人が何人いるか」と「遺産の総額がおおよそいくらか」の2つを頭に置いておくと、続きを読むときに理解が早くなります。

法定相続人の数で基礎控除額が変わる

法定相続人の人数ごとに基礎控除額が3,600万円から5,400万円まで変わることを示した図解

基礎控除の計算式「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を見ると、法定相続人の人数が増えるほど基礎控除額も大きくなることが分かります。

人数ごとの基礎控除額を並べると、次のようになります。

法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円

法定相続人が何人かを確認するだけで、ご家庭の基礎控除額がすぐに出せます

法定相続人は「誰が該当するか」にルールがある

誰が法定相続人になるかは、次のルールで決まっています。

  • 配偶者は常に法定相続人になる
  • 子どもや孫といった直系卑属は第1順位
  • 子どもがいない場合は、父母や祖父母などの直系尊属が第2順位
  • 直系尊属もいない場合は、兄弟姉妹が第3順位

相続税の計算で使う法定相続人の数には、もう一点注意が必要です。

養子は法定相続人に含めることができますが、実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人までしか法定相続人の数に算入できません(国税庁タックスアンサーNo.4170)。

また、相続を放棄した人がいても、基礎控除の計算では放棄がなかったものとして人数に含めます

実際に遺産を受け取るかどうかと、基礎控除の計算に使う人数は別の話です

法定相続人の数え方で見落としやすい2点

  • 養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までしか人数に算入できない(国税庁No.4170)
  • 相続を放棄した人がいても、放棄がなかったものとして人数に含める(国税庁No.4152)

まず「法定相続人は何人か」を確認する

ご家族に万が一のことがあった場合、法定相続人が誰になるかを一度整理しておくと、基礎控除額がすぐに計算できます。

配偶者が健在かどうか、子どもが何人いるか、養子縁組はあるか。

この3点を確認するだけで、ほとんどのご家庭では法定相続人の数が出せます。

法定相続人の人数と基礎控除額が分かれば、次は遺産の総額の大枠と見比べる作業に移れます。

その総額をどうやって把握するかは、後の章で整理しています。

なお、誰が法定相続人にあたるかの判断に迷う事情がある場合は、戸籍の確認や個別の状況の整理が必要になるため、税理士や専門家に確認するのが確実です。

相続税の計算は順番さえ分かれば概算できる

基礎控除を超えそうだと分かったとき、次に気になるのは「では、いくらかかるのか」という点ではないでしょうか。

相続税の計算は、決まった順番で進みます。

その順番を知っているだけで、税率表を最初から全部読まなくても、金額の大まかな感覚がつかめます

流れを整理すると、次の6つのステップになります。

  1. 各相続人が受け取る財産の価額を合計し、課税価格の合計額を出す
  2. 課税価格の合計額から基礎控除を引き、課税遺産総額を出す
  3. 課税遺産総額を、法定相続分の割合で各人に按分する
  4. 按分した金額に、それぞれの税率をかけて控除額を引く
  5. 各人の税額を合算し、相続税の総額を出す
  6. 相続税の総額を、実際に取得した割合で各人に按分し直す

(出典:国税庁タックスアンサーNo.4152・No.4155)

課税価格を合計して基礎控除を引くまでが最初の関門

ステップ1で出す「課税価格」は、受け取った財産の価額から負債や葬儀費用などを差し引いた金額です。

不動産・預貯金・有価証券・生命保険金などを合算し、借入金や未払いの税金などを差し引いて求めます。

この課税価格の合計から基礎控除を引いた残りが「課税遺産総額」です

ここがゼロ以下であれば、相続税はかかりません

課税遺産総額が出たら、ステップ3で一度「法定相続分どおりに分けたとしたら」という仮の按分をします。

実際の遺産分割の内容に関係なく、法定相続分で機械的に割り当てる計算です

この仮の金額に税率をかけることで、相続税の総額が決まります。

法定相続分は法律が定めた取り分の割合

ステップ3に出てくる「法定相続分」とは、民法で定められた取り分の割合のことです。

誰が相続人になるかによって、割合が決まっています(国税庁タックスアンサーNo.4132)。

相続人の組み合わせ法定相続分
配偶者と子ども配偶者2分の1/子ども全員で2分の1
配偶者と直系尊属(父母・祖父母など)配偶者3分の2/直系尊属全員で3分の1
配偶者と兄弟姉妹配偶者4分の3/兄弟姉妹全員で4分の1

子どもや直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。

たとえば配偶者と子ども2人が相続人なら、配偶者が2分の1、子どもは2分の1を2人で分けて1人あたり4分の1です。

なお「按分(あんぶん)」とは、決まった割合で割り振るという意味です

実際の遺産分割をこの割合どおりにする必要はありませんが、相続税の総額を計算する段階では、いったん法定相続分どおりに分けたものとして税額を出す決まりになっています。

税率は金額の大きさごとに段階的に上がる

ステップ4で使う税率は、法定相続分に応ずる取得金額に応じて段階的に変わります。

国税庁が公表している速算表は次のとおりです。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

(出典:国税庁タックスアンサーNo.4155)

表の右端にある「控除額」は、基礎控除とはまったく別のものです

相続税は金額が大きくなるほど税率が上がる仕組みで、本来は金額を段階ごとに区切って計算します。

その手間を省き、一回のかけ算で答えを出すために用意されているのが、この控除額です。

税率をかけたあとに引く調整の金額、と考えると分かりやすくなります。

たとえば、法定相続分に応じた取得金額が2,000万円の場合、税率は15%で控除額が50万円です。

2,000万円×15%-50万円=250万円が、その人の仮の税額になります

この仮の税額を全員分合算したものが「相続税の総額」です。

最後に実際の取得割合で按分し直す

相続税の総額が出たら、最後のステップ6で「実際に誰がどれだけ受け取るか」の割合で按分し直します。

遺産分割の話し合いの結果や遺言の内容によって、各人の負担額が確定するのはこの段階です。

ここまでの流れを知っておくと、「総額がどのくらいになりそうか」の感覚をつかんだうえで、遺産分割の話し合いに臨めます。

ただし、課税価格の計算に使う不動産の評価額や、各種特例が適用できるかどうかの判断は、税理士の領域です。

この流れはあくまで概算の感覚をつかむための骨格であり、最終的な税額の確定は専門家に委ねることになります

相続税の計算の全体像が見えてきた段階で、税理士への相談を検討するのが自然な次の一歩です。

基礎控除のほかにも税額を下げる仕組みがある

基礎控除を超えそうだと分かった段階で、「では実際にいくら払うことになるのか」と不安になる方は少なくありません。

ただ、相続税には基礎控除のほかにも、税額を下げる仕組みがいくつか用意されています。

代表的なものが、生命保険金の非課税枠と配偶者の税額軽減です。

この2つを知っておくだけで、「思ったより負担が小さいかもしれない」という見通しが立ちやすくなります。

生命保険金の非課税枠は500万円×人数

亡くなった方が契約者・被保険者だった生命保険の死亡保険金は、相続税の課税対象になります。

ただし、相続人が受け取った保険金には非課税枠が設けられており、「500万円×法定相続人の数」までは課税価格に算入しません(国税庁タックスアンサーNo.4114)。

法定相続人が2人なら非課税枠は1,000万円、3人なら1,500万円、4人なら2,000万円です

たとえば、死亡保険金が2,000万円あり、法定相続人が3人いれば、非課税枠の1,500万円を差し引いた500万円だけが課税価格に算入されます。

保険金の全額が課税されるわけではない点は、見落としやすいところです

なお、この非課税枠が使えるのは相続人が受け取った場合に限られます

相続人以外の人が受け取った保険金には、この枠は適用されません。

配偶者は1億6,000万円まで税額が軽くなる

配偶者が遺産を受け取る場合には、「配偶者の税額軽減」という仕組みが使えます。

配偶者が実際に取得した財産が、1億6,000万円か配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までであれば、その範囲の相続税がかかりません(国税庁タックスアンサーNo.4158)。

配偶者が遺産の大部分を受け取るケースでは、この軽減によって相続税がゼロになることも珍しくありません。

ただし、重要な点が一つあります。

配偶者の税額軽減を使って税額がゼロになる場合でも、相続税の申告書は提出する必要があります

申告が不要になるわけではないため、見落としのないよう注意が必要です。

税額がゼロでも申告が必要になる場合がある

  • 配偶者の税額軽減を使って税額がゼロになる場合でも、相続税の申告書の提出が必要(国税庁No.4158)
  • 「税額がゼロ=何もしなくてよい」ではない点に注意が必要

自宅の土地は評価額が8割下がる場合がある

遺産の中で不動産の割合が大きいご家庭では、「小規模宅地等の特例」が使えるかどうかで税額が大きく変わります。

これは、亡くなった方が住んでいた自宅の土地について、一定の条件を満たす場合に相続税評価額を減額できる仕組みです。

特定居住用宅地等として認められると、330平方メートルまでの部分について評価額が80%減額されます(国税庁タックスアンサーNo.4124)。

たとえば自宅の土地の評価額が5,000万円だった場合、330平方メートル以内であれば、評価額は1,000万円として計算されることになります。

不動産が遺産の大半を占めるご家庭では、この減額があるかないかで基礎控除を超えるかどうかが変わることも珍しくありません。

事業用の土地や貸付用の土地にも、それぞれ別の限度面積と減額割合が定められています。

事業のために使われていた土地は400平方メートルまで80%、賃貸に出していた土地は200平方メートルまで50%が減額の対象です。

ただし、この特例には誰が土地を引き継ぐか、引き継いだ後も住み続けるかといった細かい条件があります。

また、特例の適用を受けるには、相続税の申告書にその旨を記載し、明細書や遺産分割協議書の写しなどを添える必要があります。

使えるかどうかの判断と手続きは、税理士に確認するのが確実です。

適用できるかどうかの判断は税理士に委ねる

生命保険の非課税枠も配偶者の税額軽減も、条件を満たしていれば大きく税額を圧縮できる仕組みです。

一方で、適用の可否や計算の細部は、個別の状況によって変わります。

たとえば、不動産の評価額をどう計算するか、特定の特例が使えるかどうかといった判断は、税理士が扱う専門的な領域です。

「この仕組みが使えそうかどうか」の目安をつかんだ上で、具体的な適用の判断は税理士に確認することになります。

基礎控除を超えそうだと分かり、さらにこれらの仕組みを加味してもなお税額が残りそうな場合は、専門家に相談するタイミングとして自然な流れです。

手元の書類3点で遺産総額の大枠は見えてくる

基礎控除の計算式は分かった。

でも、遺産の総額をどうやって把握すればいいのか分からない。

そう感じている方は多いのではないでしょうか。

実は、精密な評価をしなくても、手元にある書類3点を並べるだけで遺産総額の大枠はある程度つかめます。

まず大まかな数字を出して基礎控除と見比べる、という作業であれば、専門家に頼まなくても自分でできます。

固定資産税の納税通知書で不動産の目安を確認する

不動産は遺産の中でも金額が大きくなりやすい財産です。

毎年春ごろに届く固定資産税の納税通知書には、「固定資産税評価額」が記載されています

この評価額は、相続税の計算で使う「相続税評価額」とは異なります

ただし、不動産がどのくらいの規模感の財産なのかを把握するための目安としては十分使えます。

家と土地が固定資産税評価額でいくらかを確認することで、不動産が遺産全体の中でどの程度の割合を占めるかの感覚がつかめます。

なお、実際の相続税評価額は路線価や倍率方式などを使って計算し直す必要があります。

また小規模宅地等の特例といった減額の仕組みもあるため、正確な評価と特例の適用可否は税理士に判断を委ねることになります

通帳で預貯金の残高を把握する

預貯金は、通帳や銀行のウェブサービスで残高を確認できます。

複数の金融機関に口座が分散していることも多いので、把握できている範囲で合計を出しておきます。

定期預金や積立貯金なども含めて合計すると、金融資産の大枠が見えてきます。

証券口座がある場合は、株式や投資信託の評価額も合算の対象です。

ただし、把握しきれていない口座が後から見つかるケースもあります。

亡くなった後に金融機関へ残高証明書を請求することで、口座の有無も確認できます

生命保険の証書で死亡保険金の金額を確認する

生命保険の死亡保険金は、受け取り方によって相続税の扱いが変わります。

相続人が受け取った場合は「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が使えますが、課税価格への算入が必要な部分もあります。

保険証書には、死亡保険金の金額と受取人が記載されています。

受取人が誰かによって税務上の扱いが異なるため、証書を手元に置いて内容を確認しておく価値があります

複数の保険に加入しているケースも多く、証書が見当たらない場合は保険会社に問い合わせることで契約内容の照会ができます。

3点を合計したら基礎控除と見比べる

固定資産税評価額をもとにした不動産の目安、把握できた預貯金の合計、生命保険の死亡保険金(非課税枠を差し引いた部分)の3つを合算すると、遺産総額のおおよその大枠が見えてきます。

この合計額を、法定相続人の人数から計算した基礎控除額と見比べます。

大枠で基礎控除を大きく下回りそうであれば、相続税がかからない可能性が高い。

逆に超えそうであれば、税理士に相談するタイミングを検討する段階です。

この作業はあくまで「どちら側か」の見当をつけるためのものです。

遺産総額が基礎控除に近い金額である場合や、不動産の評価額が不明確な場合は、自己判断で結論を出さず専門家に確認するのが確実です

不動産の評価額や特例の判断は税理士に任せる

この3点の書類で確認できるのは、あくまで「大枠の感覚」です。

相続税の計算で使う不動産の評価額は、固定資産税評価額とは計算方法が異なります。

小規模宅地等の特例が使えるかどうかによって評価額が大きく変わることもあり、この判断は税理士の専門領域です。

また、相続人の構成や遺産分割の内容によっても最終的な税額は変わります。

「大枠では超えそう」と分かった段階で、相続税を専門とする税理士に相談することで、正確な評価と申告要否の判断ができます。

基礎控除を計算して、かかるかどうかを確認しよう

相続税がかかるかどうかは、遺産の総額が基礎控除を超えるかどうかで決まります。

計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、法定相続人が2人なら4,200万円、3人なら4,800万円です。

まずはこの金額と遺産総額の大枠を見比べるところからです。

超えそうな場合も、計算は決まった順番で進みます。

課税価格を合計し、基礎控除を引き、法定相続分で按分して税率をかけ、合算した総額を実際の取得割合で按分し直す。

この骨格を知るだけで規模感はつかめます。

生命保険金の非課税枠、配偶者の税額軽減、自宅の土地の評価を下げる特例など、税額を圧縮する仕組みも用意されています。

一方で、不動産の評価額や特例の適用可否、申告要否の判断といった個別の問題は、税理士の専門領域です。

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