
墓じまいの改葬って何?
言葉の意味と手続きの進め方を解説
【2026年6月更新】
墓じまいの改葬とは何か、墓じまいと何が違うのか——墓じまいを調べ始めると、ほぼ確実に出てくる「改葬」という言葉に、戸惑っていませんか。
漢字からなんとなく意味は想像できても、墓じまいとの違いや、自分のケースで改葬が本当に必要なのかどうかまでは、はっきり分からないという方がほとんどです。
改葬とは、今あるお墓に納められている遺骨を取り出して、別の場所に移す手続き全体のことを指します。
お墓という器を閉じる墓じまいとは、指している対象がまったく異なります。
遺骨を別の場所に移すのであれば、墓じまいとは別に改葬の手続きが必要になり、改葬許可証という公的な書類の取得が欠かせません。
逆に、言葉の意味があいまいなまま動き始めると、墓じまいだけで終わったつもりが遺骨の手続きが残っていた、という行き違いも起きやすくなります。
この記事では、改葬とは何か、墓じまいとの違い、自分のケースで改葬が必要かどうかの見分け方、そして改葬許可証の取得を中心とした手続きの順番・費用・期間の目安までを、順を追って分かりやすく整理してお伝えします。
読み終える頃には、改葬という言葉への戸惑いが具体的な知識に置き換わり、安心して墓じまいの手続きそのものを調べ始められる状態になっているはずです。
この記事を読んで分かること
- 改葬と墓じまいの意味の違い
- 自分に改葬が必要かどうかの見分け方
- 許可証の取得を中心とした費用と期間
ぜひ最後までお読みください!
目次
改葬とは遺骨を別の場所に移す手続き

墓じまいを調べていると、ほぼ確実に「改葬」という言葉が登場します。
読み方は「かいそう」。
漢字からなんとなく意味は想像できても、「墓じまいと何が違うのか」「自分も改葬が必要なのか」となると、はっきり分からないという方がほとんどです。
まずはこの言葉の意味を、分かりやすく整理しておきます。
改葬とは、今あるお墓に納められている遺骨を取り出して、別の場所に移す手続き全体のことを指します。
「お墓を引っ越しする」という表現が使われることもありますが、正確には遺骨そのものを移動させることを改葬と呼びます。
墓じまいはお墓の撤去・改葬は遺骨の移動
混乱しやすいのは、「墓じまい」と「改葬」がセットで語られることが多いからです。
ただし、この2つは指している対象がまったく異なります。
墓じまいとは、今あるお墓の墓石を撤去して、お墓がある区画を更地にして管理者(お寺や霊園)に返還することです。
つまり、「お墓という器をなくす作業」が墓じまいです。
一方、改葬とは「お墓の中に納められている遺骨をどこか別の場所に移す手続き」です。
遺骨の行き先としては、自宅近くの霊園や納骨堂、永代供養墓、合葬墓などが選ばれることが多くなっています。
この2つを並べて整理すると、次のようになります。
| 区別する言葉 | 何をする手続きか |
|---|---|
| 墓じまい | お墓(墓石・区画)を撤去して更地に戻す作業 |
| 改葬 | 遺骨を現在のお墓から別の場所に移す手続き |
地方の実家のお墓を閉じて、遺骨を自宅近くの納骨堂に移すような場合では、墓じまいと改葬の両方が発生します。
この場合、墓じまいと改葬は別々の手続きとして進める必要があります。
墓じまいだけすれば終わりではなく、遺骨をどこかに移す以上は改葬の手続きも必要になるという点は、特に混同されやすい部分です。
なお、墓じまいをしても遺骨をすぐに別の場所に移さず、手元で保管する場合もあります。
しかしそうした場合でも、最終的にどこかに納骨するタイミングで改葬の手続きが必要になります。
遺骨を動かすなら改葬の手続きが必要
改葬が必要かどうかの判断は、一つの問いで確認できます。
「今のお墓に納められている遺骨を、どこか別の場所に移す予定があるか」
この問いに「はい」と答えるなら、改葬の手続きが必要です。
遺骨を移す先がどこかは関係ありません。
霊園でも、納骨堂でも、永代供養墓でも、海洋散骨でも、遺骨を現在のお墓から動かす以上は改葬の手続きが発生します。
墓じまいと同時に行うかどうかも関係なく、「遺骨を動かすなら改葬が必要」という対応関係は変わりません。
逆に言えば、今のお墓に遺骨が納められていない場合や、遺骨をどこにも移さずお墓を閉じるだけの場合では、改葬許可証の取得は不要になります。
ただしこのような特殊な場合では、お墓の管理者であるお寺や霊園への確認が別途必要です。
「改葬」という言葉が難しく聞こえても、その意味は「遺骨を今の場所から別の場所に移す手続き」と覚えておけば十分です。
墓じまい後の遺骨の移転先についてあわせて検討されている方は、墓じまい後の納骨先はどこにする?6つの選択肢と費用・進め方も参考にしてみてください。
墓じまいと改葬の両方が必要になる場合

改葬の意味が整理できたところで、次に確認しておきたいのが「自分の場合では墓じまいと改葬の両方が必要になるのか」という点です。
結論を先にお伝えすると、今あるお墓を閉じて、そのお墓に納められている遺骨をどこか別の場所に移す予定があるなら、墓じまいと改葬の両方が必要になります。
地方の実家のお墓を閉じて、遺骨を自宅近くの霊園や納骨堂に移したいと考えている方の多くは、この場合に当てはまります。
墓じまいだけと思うと手続き漏れが起きやすい
墓じまいの手続きを調べ始めた方が、最初にぶつかりやすい落とし穴があります。
それは「墓じまいをすれば、お墓に関することは全部終わる」という思い込みです。
墓じまいで行うのは、あくまでも墓石の撤去と区画の返還です。
お墓という「器」をなくす作業は墓じまいで完結しますが、その中に納められている遺骨をどうするかは、まったく別の話として残ります。
遺骨を別の場所に移すためには、改葬許可証という法律上の書類を取得する必要があります。
この書類を取得せずに遺骨を動かすことは、墓地埋葬法という法律に抵触します。
つまり、墓じまいの手続きを進めながら、改葬の手続きも並行して進めるという段取りになるのです。
墓じまいだけを意識して動き始めると、石材店への依頼や魂抜きの手配は進んでいるのに、遺骨の移転先が決まっていない・改葬許可証をまだ取得していないという状態になりやすく、手続きが途中で止まってしまうことがあります。
手続きに不安を感じたときは、一人で抱え込まず確認を取ることが安心につながります。
遺骨をどこかに移すかで見分ける
墓じまいと改葬の両方が必要になるかどうかは、次の問いで確認できます。
「今のお墓に納められている遺骨を、別の場所に移す予定があるか」
この問いに「はい」と答えるなら、墓じまいと改葬の両方が必要な場合です。
遺骨の移転先が霊園であっても、納骨堂であっても、永代供養墓であっても、散骨であっても、「遺骨を今のお墓から動かす」という事実がある以上、改葬の手続きは必要です。
改葬が必要かどうかの見分け方
- 遺骨を別の場所に移す予定がある → 改葬が必要
- 今のお墓に遺骨がそもそも納められていない → 改葬は不要なことがある
- 遺骨を取り出さずお墓だけを閉じる(遺骨が土に還っているなど)→ 改葬は不要なことがある
ただし、遺骨を取り出さない場合は、お墓の状態によって対応が異なるため、管理しているお寺や霊園への確認が必要です。
「お墓の中に遺骨があるかどうか分からない」という方も、まずは管理者に相談するところから始めるのが確実な進め方です。
お墓の状態が不明なまま手続きを進めようとする方は、個人墓地の墓じまいはどう進める?5つの段階で完結する全体像もあわせて確認しておくと、全体の流れが把握しやすくなります。
改葬に必須の手続きは改葬許可証の取得
自分の場合で改葬が必要だと分かったら、次に押さえておきたいのが「改葬許可証」という書類です。
改葬許可証は、遺骨を今のお墓から別の場所に移すために法律上欠かせない書類であり、これを取得することが改葬手続きの中心になります。
改葬許可証はお墓がある市区町村で申請
改葬許可証は、現在遺骨が納められているお墓がある市区町村の役所(市役所・町役場・村役場)の窓口で申請します。
自分が今住んでいる市区町村ではなく、お墓がある場所を管轄する役所が申請先になる点は、混同しやすいため確認しておくと安心です。
たとえば、地方の実家のお墓を閉じて遺骨を自宅近くの納骨堂に移す場合、改葬許可証の申請先は実家のお墓がある市区町村の役所です。
現在の居住地の役所では申請できません。
申請に必要な書類は市区町村によって多少異なりますが、一般的に次のものが求められます。
| 必要書類 | 発行を依頼する先 |
|---|---|
| 改葬許可申請書 | お墓がある市区町村の役所(窓口やWebサイトで入手) |
| 埋葬証明書 | 現在のお墓の管理者であるお寺や霊園 |
| 受入証明書 | 移転先の霊園や納骨堂などの施設 |
このうち埋葬証明書は現在のお寺や霊園に、受入証明書は移転先の施設にそれぞれ発行を依頼します。
つまり、改葬許可証を申請するためには、移転先をあらかじめ決めておくことが前提になります。
「許可証を取ってから移転先を探す」という順番では進められないため、この点は注意が必要です。
許可証を取る前に遺骨は動かせない
改葬許可証が必要な理由は、単なる行政上の手続きではありません。
「墓地、埋葬等に関する法律」(通称:墓地埋葬法)という法律によって、改葬許可証なしに遺骨を移動させることは禁じられています。
これは、遺骨の所在を行政が把握・管理するための仕組みであり、許可証を取得せずに遺骨を動かした場合は法律違反になります。
「許可証の取得は面倒だから後でまとめてやろう」「とりあえず先に遺骨を引き取っておこう」という対応は、法律上認められていません。
また、移転先の霊園や納骨堂も、改葬許可証なしには遺骨を受け入れることができません。
許可証を持参しなければ、当日の納骨手続きが進められないという事態になります。
許可証を取る前に押さえておく3点
- 改葬許可証なしに遺骨を動かすことは墓地埋葬法で禁じられている
- 許可証がなければ移転先も遺骨を受け入れられない
- 許可証を申請するには移転先を先に決めておく必要がある
なお、改葬許可証の申請手数料は市区町村によって異なりますが、おおむね数百円程度の自治体が多く、書類の取得費用そのものは大きな負担にはなりません。
費用面での心配は、ほかの手続き(お寺へのお礼や移転先の初期費用など)の方が影響は大きくなります。
費用の全体感については、後の見出しであわせて確認していきます。
改葬許可証の申請をめぐってお寺との連絡が必要になる場面については、墓じまいの交渉のコツ|お寺と親族に角を立てない進め方が参考になります。
改葬の手続きを始める順番
改葬許可証の取得が必須であることが分かったところで、次に確認しておきたいのが手続き全体の順番です。
改葬の手続きは、複数の関係者(お寺・役所・移転先の施設)とのやりとりが必要になるため、順番を間違えると手続きが止まったり、やり直しが発生したりします。
順番を把握してから動き始めることが、確実な進め方です。
改葬の手続きは、大きく次の順番で進めます。
- 現在のお寺・霊園への連絡と相談
- 遺骨の移転先(霊園・納骨堂・永代供養墓など)の決定
- 移転先から受入証明書を取得
- 現在のお寺・霊園から埋葬証明書を取得
- お墓がある市区町村の役所に改葬許可証を申請・取得
- 現在のお墓で魂抜きを実施
- 石材店によるお墓の撤去(墓じまい)
- 移転先での納骨手続き
それぞれの段階で注意しておきたい点を、順を追って確認していきます。
最初に現在のお寺へ連絡する
手続きの最初の段階は、現在のお墓を管理しているお寺や霊園への連絡です。
「役所に相談してから」「移転先を決めてから」ではなく、まずお寺への連絡を最初に行うことが、後々のトラブルを防ぐうえで大切です。
お寺への連絡を後回しにしてしまうと、埋葬証明書の発行を断られたり、手続きに時間がかかったりする場合があります。
また、長年お墓を守ってきたお寺への配慮という意味でも、最初に相談の場を設けることが関係者との円滑なやりとりにつながります。
連絡の際には、「お墓を閉じて遺骨を別の場所に移したい」という意向を丁寧に伝えることが基本です。
このとき、移転先をすでに決めているかどうかは問いません。
まず意向を伝えて、お寺側の手続きの流れや必要書類を確認することが目的です。
お寺によっては、お寺との関係を終えることに伴う法要や手続きが発生することもあります。
また、お寺との関係を終える際のお礼を求められる場合もあるため、連絡の段階で確認しておくと見通しが立てやすくなります。
なお、お寺への連絡と並行して、家族や親族への共有も早めに行っておくと安心です。
墓じまいと改葬は、関係する親族が複数いる場合は事前の合意形成が必要になることがあります。
親族間での意見の違いが後から出てくると、手続きそのものが止まってしまうことがあるためです。
遺骨の移転先を先に決めておく
お寺への連絡と並行して、または直後に進めたいのが遺骨の移転先の決定です。
改葬許可証を申請するためには受入証明書が必要であり、受入証明書は移転先の施設が発行するものです。
つまり、移転先が決まっていなければ改葬許可証の申請そのものができません。
「移転先はあとでゆっくり考える」という進め方では、手続きの途中で止まります。
移転先の候補を早めに絞り込み、見学や費用確認を経て決定することが、改葬全体の予定を左右します。
移転先として選ばれることが多いのは、霊園の一般墓や永代供養墓、納骨堂、合葬墓などです。
それぞれ費用や供養の形が異なるため、家族の意向や予算をもとに検討することになります。
合葬墓を検討している場合は、墓じまいの合葬墓とは?合祀との違い・費用・進め方もあわせて参考にできます。
移転先が決まったら、受入証明書の発行を施設に依頼します。
施設によっては発行までに数日から数週間かかることもあるため、早めに依頼しておくとスムーズです。
受入証明書と埋葬証明書の両方がそろったタイミングで、お墓がある市区町村の役所に改葬許可証を申請します。
許可証が交付されたら、魂抜きと墓石の撤去(墓じまい)を経て、移転先での納骨という流れで手続きが完了します。
改葬にかかる費用と期間の目安
手続きの順番が整理できたところで、次に確認しておきたいのが費用と期間の全体感です。
改葬には複数の手続きが関わるため、それぞれにかかる費用と時間を事前に把握しておくことが、スムーズに動き出すための準備になります。
改葬許可証の手数料は数百円〜数千円程度
改葬許可証そのものの申請手数料は、市区町村によって異なりますが、無料から数千円程度の自治体がほとんどです。
書類の取得費用としては、改葬の全体の費用の中でもっとも小さな出費になります。
ただし、改葬許可証を申請するために必要な埋葬証明書や受入証明書の発行にも、施設によっては手数料がかかります。
数百円から数千円程度が目安ですが、お寺によっては発行手数料の定めがない場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
移送や新しい供養先の費用は別途かかる
改葬全体でかかる費用は、改葬許可証の手数料だけではありません。
手続きの各段階で発生する費用をまとめると、おおむね次のような項目が挙げられます。
| 費用がかかる場面 | 費用項目と目安 |
|---|---|
| 現在のお墓 | 魂抜きのお礼(数万円程度)/お寺へのお礼(数万円〜数十万円の場合も)/墓石の撤去・整地費用(数十万円程度) |
| 移転先 | 永代使用料や管理費/納骨法要のお礼/遺骨の移送費用 |
これらを合計すると、改葬全体でかかる費用は場合によって幅が大きく、数十万円から百万円以上になることもあります。
特に、移転先として一般墓を選ぶか、永代供養墓や合葬墓を選ぶかによって費用の差は大きくなります。
費用を抑えながら進める方法については、居住地の自治体に補助制度がある場合もあるため、お墓がある市区町村の窓口に確認しておくとよいでしょう。
全体ではおおむね数週間〜数か月かかる
改葬の手続きにかかる期間は、場合によって大きく異なりますが、全体としておおむね数週間から数か月が目安になります。
期間に影響する主な要因は次のとおりです。
- お寺との連絡・相談にかかる時間
- 移転先の決定にかかる時間(施設の見学・比較・契約)
- 受入証明書・埋葬証明書の発行にかかる時間
- 石材店の工事予定(混み合う時期は数か月先になることもある)
- 改葬許可証の交付にかかる時間(役所によって異なる)
このうち、もっとも時間がかかりやすいのは石材店の工事予定です。
春のお彼岸や年末年始など、墓じまいの依頼が集中する時期は、石材店の予約が数か月先になることがあります。
時期によっては余裕をもった予定で動き始めることが安心につながります。
また、特定の日程(四十九日や一周忌など)に合わせて納骨を終えたいという場合は、逆算して早めに動き始める必要があります。
費用と期間の全体感をつかんだうえで、自分の場合で具体的にどのくらいかかるのかを確認したいときは、まず見積りを依頼することが確実な方法です。
改葬の意味をつかんで墓じまいの手続きを調べ始めよう
ここまで、改葬の意味から手続きの順番、費用と期間の目安まで確認してきました。
改葬とは、遺骨を今のお墓から別の場所に移す手続きのことです。
墓じまいがお墓という「器」を閉じる作業であるのに対して、改葬は遺骨そのものを動かす手続きであり、法律上の許可証の取得が必須になります。
この2つは別々の手続きであり、どちらか一方だけで完結するものではありません。
手続きを始める際には、まず現在のお寺への連絡から動き始め、移転先の決定、書類の取得、役所への申請という順番で進めることが基本です。
順番を守ることが、手続きの途中で止まらないための大切な点です。
費用は改葬許可証そのものより、お寺へのお礼や墓石の撤去、移転先の費用が大きな割合を占めます。
期間は数週間から数か月が目安です。
「改葬」という言葉の意味を最初に正しく理解しておくことで、手続きの全体像が見えやすくなります。
改葬の意味と手続きの流れが分かった今、次に確認しておきたいのは、改葬許可証の取得に向けた書類の準備や、お寺・親族との連絡の進め方です。
安心できる材料がそろったところで、ご自身のペースで墓じまいの手続きを一つずつ調べ始めてみてはいかがでしょうか。
参考リンク:



