
土地相続は何から始める?
名義変更と相続税をやさしく解説
【2026年7月更新】
親から実家の土地を相続することになったけれど、名義変更は何から始めればいいのか、そもそも相続税はかかるのか。
そう思って「土地相続」について調べ始めた方も多いのではないでしょうか。
親の土地を受け継ぐ場面は、一生のうちそう何度もあることではありません。
だからこそ、いざ自分のこととなると、どこに何を届け出ればよいのか、費用はどれくらいかかるのか、見当がつかず不安になりやすいものです。
まして遠くにある実家の土地となると、なおさら「何から手をつければいいの」と立ち止まってしまいます。
ところが土地の相続について調べ始めると、聞き慣れない言葉が次々に出てきて、「やっぱり自分には難しそう」と身構えてしまうこともあります。
この記事は、そうした言葉がよく分からないという方に向けても、やさしく解説しています。
最初の章で必要な言葉をまとめて押さえてから、手続きや税金の話へ進みますので、途中で置いていかれる心配はありません。
土地を相続したら、まずは手元にある書類で「どんな土地か」を書き出してみることが、落ち着いて進めるための最初の一歩です。
専門家に任せたほうがよい部分と、自分で確かめられる部分は、はっきり分けて考えて大丈夫です。
全部をひとりで抱え込む必要はありません。
そこでこの記事では、土地を相続したらまず何をするのか(名義変更の流れと、2024年から始まった手続きの義務化)、土地に相続税はかかるのか、そして土地はどのように評価されるのかを、順を追って解説します。
読み終えるころには、手元の書類を見ながら自分で確認する一歩を、落ち着いて踏み出せるはずです。
この記事を読んで分かること
- 亡くなった方の財産をめぐる基本の言葉
- 名義変更を3年以内に終える必要性
- 遺産総額と非課税枠を見比べる考え方
- 国が土地の値段を定める2つの方法
ぜひ最後までお読みください!
目次
まず押さえたい土地相続の4つの言葉

土地の相続を調べ始めたとき、最初に感じる「難しそう」という感覚の正体は、ほとんどの場合、言葉の問題です。
「相続登記」「相続税評価額」「法定相続人」——これらの意味がわからないまま手続きの説明を読もうとすると、何をしているのか、なぜそれが必要なのかがつかめず、途中で止まってしまいます。
逆に言えば、言葉の意味さえ先に整理しておけば、あとの説明はぐっと読みやすくなります。
まずここで、この記事を読むうえで必要な4つの言葉を、意味とあわせて並べておきます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 遺産 | 亡くなった方が残した財産と負債のすべて |
| 相続人・法定相続人 | 遺産を受け取る人と、法律が範囲を定めた相続人 |
| 相続登記(名義変更) | 土地の名義を故人から相続人へ書き換える手続き |
| 相続税評価額 | 相続税を計算するときに使う土地の値段 |
遺産は財産と負債のすべてを指す
「遺産」というと、預貯金や株のような金融資産をイメージする方が多いかもしれません。
しかし遺産の範囲はそれだけではありません。
土地・建物などの不動産、生命保険金(受取人が相続人の場合)、自動車なども遺産に含まれます。
さらに見落としがちなのが「借金(負債)」です。
故人に住宅ローンや未払いの債務があった場合、それも遺産として引き継ぐかどうかを判断することになります。
「遺産=もらえるもの」ではなく、「故人が残したすべての財産と負債」と理解しておくと、あとの計算で混乱しにくくなります。
相続人と法定相続人の違い
「相続人」とは、遺産を受け取る立場にある人のことです。
そのうち「法定相続人」は、民法によって範囲が定められた相続人を指します。
法定相続人になれるのは、配偶者と一定の親族(子・父母・兄弟姉妹など)です。
配偶者は常に法定相続人になり、子がいれば子が第一順位、子がいなければ父母が第二順位、父母もいなければ兄弟姉妹が第三順位となります。
この「法定相続人が何人いるか」は、あとで相続税の基礎控除(相続税がかからない金額の枠。
くわしくは後の章で説明します)を計算するときに直接使う数字です。
家族構成を確認しながら、何人が法定相続人にあたるかを数えておくと、あとがスムーズです。
なお、遺言書がある場合は法定相続人以外の人に遺産を残すこともできますが、その場合でも法定相続人の数は基礎控除の計算に使います。
相続登記は名義を書き換える手続き
土地や建物には「所有者が誰か」を公的に記録した登記簿があります。
相続が発生したとき、この登記簿に記載された名義を故人から相続人へ書き換える手続きを「相続登記」といいます。
いわゆる「名義変更」はこれを指しています。
相続登記をしないままにしておくと、土地の売却や担保の設定ができないほか、2024年4月からは法律上の義務となり、放置すると過料の対象になる可能性もあります。
この点はあとの章で詳しく説明します。
相続税評価額は固定資産税評価額とは別
土地の価値を表す数字には、いくつかの種類があります。
日常でよく耳にする「固定資産税評価額」は、毎年届く固定資産税の納税通知書に記載されている金額です。
一方、「相続税評価額」は、相続税を計算するときに使う土地の値段のことで、固定資産税評価額とは算出方法が異なります。
固定資産税評価額と相続税評価額を混同してしまうと、相続税がかかるかどうかの見当が大きく外れてしまうことがあります。
まずは「税金によって使う評価額が違う」とだけ覚えておけば十分です。
4つの言葉を押さえたところで、次は土地を相続したときにまず動く手続き——相続登記の流れを見ていきます。
土地を相続したら名義変更(相続登記)から始まる

土地を相続したとき、最初に動かなければならない手続きが「相続登記」です。
相続登記とは、亡くなった方の名義になっている土地を、相続した人の名義へ書き換える手続きのことです。
法務局(登記所)に申請書と必要書類を提出することで、登記簿上の所有者が正式に切り替わります。
名義が切り替わるまでの間、その土地は法律上「故人のもの」のままです。
売却も担保設定もできず、将来さらに相続が発生したときに手続きが複雑になっていきます。
「いつかやろう」と後回しにするほど、整理が難しくなるのが相続登記の特徴です。
相続登記に必要な書類の例
相続登記の申請には、主に次のような書類が必要になります。
- 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人が複数いる場合、誰がその土地を取得するかを決めた書類)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 固定資産税評価証明書
- 登記申請書
戸籍謄本は本籍地の市区町村窓口のほか、郵送でも取り寄せられます。
平日に窓口へ行く時間が取りにくい場合でも、郵送請求を使えば手続きを進められます。
遺産分割協議書は、相続人が複数いるときに「この土地は誰が引き継ぐか」を全員で合意した内容を書面にしたものです。
相続人が自分一人の場合は不要ですが、兄弟姉妹がいる場合などは作成が必要になります。
書類の種類が多く感じられるかもしれませんが、一つひとつは「誰が故人の相続人か」「誰がこの土地を引き継ぐか」を証明するためのものです。
何のための書類かがわかると、集める順番も見えてきます。
自分で申請するか、司法書士に頼むか
相続登記は、相続人本人が自分で法務局に申請することができます。
法務局のウェブサイトには申請書のひな形や記載例も公開されており、書類さえ揃えられれば手続き自体は自分で進めることが可能です。
ただし、戸籍の収集に手間がかかることや、遺産分割協議書の書き方に迷うケースも少なくありません。
遠方の実家の土地であれば、地元の法務局へ出向くことが難しい場面もあるでしょう。
そのような場合は、司法書士に手続きの代行を依頼できます。
書類の収集から申請書の作成・提出まで一括して任せられるため、時間や手間の節約になります。
「自分でやってみる」か「司法書士に頼む」かは、手元の書類の状況や、遠方かどうか、時間に余裕があるかどうかによって判断すれば問題ありません。
どちらの場合も、まず必要書類の種類と収集先を把握しておくことが、スムーズに動くための準備になります。
相続登記の流れをつかんだところで、次に押さえておきたいのが「いつまでにやればいいのか」という期限の話です。
相続登記は2024年4月から義務化された
前の章で「相続登記は後回しにするほど整理が難しくなる」とお伝えしました。
それに加えて、2024年4月からはもう一つ、動いておきたい理由が生まれています。
相続登記が法律上の義務になったことです。
これまで相続登記には期限がなく、何十年も名義変更をしないまま放置されている土地が全国に増えていました。
所有者が誰かわからない土地が増えると、公共事業や災害復旧の際に支障が出るなど、社会全体の問題になっていました。
そこで法務省は不動産登記法を改正し、2024年4月1日から相続登記の申請を義務とすることにしました。
「相続を知った日から3年以内」が期限
義務化のルールでは、相続によって不動産(土地・建物)を取得したことを知った日から、3年以内に相続登記を申請することが求められます。
「相続を知った日」とは、一般的には故人が亡くなったことを知った日と考えてよいケースが多いですが、遺産分割協議によって取得することが決まった場合は、その協議が成立した日が起算日になります。
また、2024年4月1日より前に相続が発生していた場合でも、すでに名義変更をしていない土地については、この義務化の対象になります。
その場合の期限は「2027年3月31日まで」です。
親が数年前に亡くなっていて、まだ名義変更をしていないという方も、対象から外れるわけではありません。
放置すると10万円以下の過料の対象になる
期限内に申請をしなかった場合、正当な理由がないと認められれば、10万円以下の過料が科される可能性があります。
「過料」は行政上のペナルティで、刑事罰とは異なりますが、無視してよいものではありません。
法務省が義務化とセットで定めた規定であり、放置を続けることのリスクは、義務化以前とは質が変わっています。
ただし「正当な理由」がある場合は、申請義務の免除や猶予が認められることもあります。
重病・経済的困窮・相続人が多く戸籍収集に時間がかかるなど、やむを得ない事情がある場合は、法務局への相談が選択肢になります。
早めに動くほど書類も集めやすい
期限があること以上に、実際に手続きを進める立場から見て大切なのは、時間が経つほど書類の収集が難しくなるという点です。
戸籍謄本は市区町村が保存期間を定めており、古い記録ほど廃棄されているケースがあります。
相続人の一人がすでに高齢で、遺産分割協議の話し合いに参加できる期間が限られてくることもあります。
故人の通帳や権利証がどこにあるかわからなくなるのも、時間が経つほど起きやすいことです。
3年という期限は一見長く感じるかもしれませんが、書類を集め、相続人全員で話し合い、協議書を作成する時間を考えると、余裕があるわけではありません。
「今すぐ完了させなくても、動き始めるのは早いほうがいい」というのが、義務化後の相続登記に対する現実的な向き合い方です。
相続登記の義務化のポイントを押さえたところで、次は「そもそも相続税はかかるのか」という問いに進みます。
土地に相続税がかかるかは基礎控除で見当がつく
相続税について調べ始めると、「自分には関係ないかもしれない」と感じる方と、「絶対かかるだろう」と身構える方に分かれる傾向があります。
どちらの判断も、実際の数字を見る前に感覚で決めてしまっていることが多いものです。
実は、相続税がかかるかどうかの大まかな見当は、難しい計算をしなくても自分でつけられます。
「基礎控除」という仕組みを使えばよいからです。
相続税は基礎控除を超えた部分にかかる
相続税は、遺産のすべてにかかるわけではありません。
遺産の総額から基礎控除額を差し引いた残りの部分に対して、初めて課税される仕組みになっています。
つまり、遺産の総額が基礎控除の範囲に収まるなら、相続税はゼロです。
申告も不要になります。
逆に言えば、「相続税がかかるかどうか」を確認するには、遺産の総額と基礎控除額を見比べるだけでよい、ということです。
基礎控除額の計算式は自分で出せる
基礎控除額は、次の式で計算します。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
「3,000万円」は法定相続人の人数に関係なく引ける定額の土台、「600万円」は法定相続人が1人増えるごとに広がる部分です。
たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除額になります。
この場合、遺産の総額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。
法定相続人の数ごとの基礎控除額は、次のとおりです。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
法定相続人の数さえ確認できれば、この計算は電卓一つで出せます。
専門知識は必要ありません。
土地も遺産に含めて総額を出す
基礎控除額が出たら、次は遺産の総額を出す作業です。
ここで大切なのが、土地も遺産の一部として総額に含めるという点です。
遺産に含まれるものの例を挙げると、以下のようになります。
- 預貯金・現金
- 土地・建物などの不動産
- 株式・投資信託などの有価証券
- 生命保険金(相続人が受取人の場合)
- 自動車や貴金属などの動産
- 故人の借金や未払い債務(マイナスの遺産)
土地の価値をどう見積もるかが、ここでの課題になります。
正確な「相続税評価額」を出すには専門的な計算が必要ですが、おおよその見当をつける段階であれば、固定資産税の納税通知書に記載されている「固定資産税評価額」を参考の数字として使えます。
ただし、固定資産税評価額と相続税評価額は異なる点を忘れないでください。
相続税評価額は一般的に固定資産税評価額よりも高くなる傾向があります。
あくまで「おおよその目安」であり、実際の申告に使う数字は税理士に算定してもらう必要があります。
かかりそうでも、かからなさそうでも次の一手がある
遺産の総額が基礎控除を明らかに超えそうな場合は、相続税の申告が必要になる可能性が高く、税理士への相談を早めに動かすと安心です。
相続税の申告期限は「相続を知った日の翌日から10か月以内」と定められています。
一方、明らかに基礎控除の範囲内に収まりそうな場合は、相続税の申告は不要になる可能性が高いです。
ただし、相続登記の手続きは税額に関係なく必要ですので、登記の準備も並行して進めておくと安心です。
「自分の場合はどちらに近いか」が把握できると、税理士や司法書士への相談の際に伝えられることが増え、最初の一言が格段にスムーズになります。
相続税がかかるか見当をつける3ステップ
- 法定相続人が何人かを数える
- 基礎控除額(3,000万円+600万円×人数)を計算する
- 土地を含めた遺産のおおよその総額と見比べる
基礎控除の考え方を押さえたところで、次は「土地の評価額はどのように計算されるのか」という具体的な仕組みに進みます。
実際にいくらになるかは、相続税かんたんシミュレーターに金額とご家族の人数を入れれば、その場で概算が分かります。
土地の評価額は路線価方式か倍率方式で決まる
前の章で、土地の相続税評価額は固定資産税評価額とは異なる、とお伝えしました。
では、相続税のための土地の評価額は、どのように計算されるのでしょうか。
結論から言うと、相続税における土地の評価方法は2つに分かれています。
「路線価方式」と「倍率方式」です。
どちらを使うかは、土地の所在地によって決まります。
自分で選ぶものではありません。
路線価方式は市街地の土地に使われる
路線価方式は、主に市街地にある土地に適用されます。
「路線価」とは、道路(路線)に面した土地1㎡あたりの評価額として、国税庁が毎年定める価格のことです。
同じ道路に面していれば、原則として同じ路線価が使われます。
路線価は国税庁のウェブサイトで公開されており、地図上で確認できます。
計算の基本的な考え方は、次のとおりです。
路線価 × 土地の面積(㎡) = 相続税評価額(基本形)
たとえば路線価が1㎡あたり20万円、土地の面積が100㎡であれば、20万円×100㎡=2,000万円が基本となる評価額です。
実際にはこれに、土地の形状や使い勝手に応じた補正が加わります。
角地かどうか、間口が狭いかどうかなど、さまざまな条件によって評価額が上下します。
補正を加えた正確な計算は、税理士の領域です。
倍率方式は地方や農村部の土地に使われる
倍率方式は、路線価が設定されていない土地、主に地方や農村部の土地に適用されます。
計算の考え方は、路線価方式よりわかりやすいものです。
固定資産税評価額 × 評価倍率 = 相続税評価額
「評価倍率」は国税庁が地域ごとに定めており、路線価と同じく国税庁のウェブサイトで確認できます。
固定資産税評価額は毎年届く固定資産税の納税通知書に記載されているため、手元に書類があれば数字を拾い出せます。
地方の実家の土地を相続する場合は、この倍率方式が適用されるケースが多くなります。
評価を大きく下げられる小規模宅地等の特例
相続税における土地の評価には、条件を満たせば評価額を大幅に下げられる特例があります。
「小規模宅地等の特例」と呼ばれるものです。
この特例は、亡くなった方が住んでいた土地(特定居住用宅地等)を一定の要件を満たす相続人が引き継ぐ場合に、土地の評価額を最大80%減額できるというものです。
たとえば相続税評価額が2,000万円の土地であれば、特例を適用することで400万円まで評価額を下げられます。
この特例が使えるかどうかによって、相続税がかかるかどうかの判断が大きく変わることもあります。
ただし、この特例を使うには細かい要件があります。
相続人が被相続人(亡くなった方)と同居していたかどうか、申告期限まで土地を保有し続けるかどうかなど、状況によって適用できるかどうかが変わります。
特例の適用可否の判断と、それを前提とした評価額の算定は、相続税専門の税理士に確認することが欠かせません。
適用条件の詳細は小規模宅地の特例で相続税を8割軽く!減額される条件を全て解説でくわしく整理しています。
正確な評価額の算定は税理士の領域
路線価方式も倍率方式も、計算の仕組みは理解できても、実際の申告に使う正確な評価額を自分で出すことは難しいケースがほとんどです。
補正率の適用・特例の判断・複数の土地がある場合の按分(決まった割合で割り振ること)など、専門的な判断が随所に必要になります。
この章でお伝えしたいのは、「相続税評価額の出し方のイメージをつかんでおくこと」です。
路線価方式か倍率方式かという仕組みを知っておくだけで、税理士への相談の際に「この土地はどちらの方式になりますか」と具体的に聞けるようになります。
知識がゼロの状態で相談するより、仕組みの輪郭だけでも頭に入れておくほうが、専門家とのやり取りがずっとスムーズになります。
土地の評価で混同しやすい2点
- 固定資産税評価額と相続税評価額は別の数字
- 路線価方式か倍率方式かは土地の所在地で決まる
手元の書類で相続する土地の所在と広さを確かめる
ここまでの章で、相続登記の流れ・義務化の期限・基礎控除の計算・土地の評価方法と、土地相続の全体像を順番に押さえてきました。
最後に、「では今日から何をすればいいか」という具体的な作業に入ります。
最初にすることは難しくありません。
手元にある書類を引っ張り出して、相続する土地がどこにあるどんな土地かを書き出すことです。
この作業に専門知識は不要で、書類さえあれば誰でも始められます。
固定資産税の納税通知書と名寄帳を用意する
相続する土地の所在地・地目・面積を確認するために、まず手元に用意したい書類が2つあります。
一つ目は、固定資産税の納税通知書です。
毎年春ごろ、市区町村から故人宛てに届いていた書類で、「課税明細書」が添付されています。
課税明細書には、所有する土地ごとに所在地・地目(宅地・田・畑・山林など)・地積(面積)・固定資産税評価額が記載されています。
二つ目は、名寄帳(なよせちょう)です。
名寄帳とは、同じ市区町村内に故人が所有していたすべての不動産をまとめて一覧にした書類のことです。
固定資産税の納税通知書には非課税の土地などが漏れることがありますが、名寄帳を取り寄せれば、その市区町村内の所有不動産を網羅的に確認できます。
名寄帳は、土地の所在地を管轄する市区町村の窓口(税務課・固定資産税担当など)で取得できます。
書き出す項目は3つだけ
書類が手元に揃ったら、土地ごとに次の3つを書き出してみてください。
- 所在地(〇県〇市〇町〇番地など)
- 地目(宅地・田・畑・山林・雑種地など)
- 地積(面積)(㎡単位で記載されています)
これだけです。
この3項目を紙に書き出しておくだけで、専門家への相談がぐっと具体的になります。
「どこにある、どんな土地か」がわかると、路線価方式か倍率方式かの見当もつきますし、司法書士や税理士に最初に伝える情報が整います。
実家が遠方にある場合は、親の自宅に納税通知書が保管されていることが多いため、帰省の機会や郵便物の転送を活用して書類を手元に集めることから始めてみてください。
法定相続人を数えて遺産総額と見比べる
土地の情報を書き出したら、次に法定相続人の数を確認します。
配偶者は常に法定相続人で、子どもがいれば子どもが第一順位、いなければ父母、父母もいなければ兄弟姉妹の順です。
家族構成を確認しながら、何人が法定相続人にあたるかを数えておきます。
人数がわかったら、先ほどの「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で基礎控除額を出し、書き出した土地の固定資産税評価額に預貯金などを加えた遺産のおおよその総額と見比べます。
総額が基礎控除を明らかに上回るなら相続税の申告が必要になる可能性が高く、税理士への相談を早めに動かすと安心です。
明らかに下回るなら申告は不要になる可能性が高く、まず相続登記の手続きに集中できます。
この見比べる作業が、今日からできる最初の一歩です。
判断に迷う部分は専門家の無料相談へ
書き出す・数える・見比べる——この3つは自分でできる作業です。
一方で、土地の正確な相続税評価額の算定、小規模宅地等の特例が適用できるかどうかの判断、登記申請書の作成と提出は、専門家に任せる部分です。
相続税の計算や申告は相続税専門の税理士、登記の手続きは司法書士が相談窓口になります。
多くの事務所では初回無料相談を設けており、「何がわからないかもわからない」という状態からでも話を聞いてもらえます。
自分で書き出した3項目と、基礎控除の計算結果を手元に持って相談に臨むだけで、「どこにある、どんな土地か」「法定相続人は何人か」「遺産の総額はおおよそいくらか」という具体的な話から相談を始められます。
遺産総額の見当がついたら、相続税かんたんシミュレーターで概算を確認できます。
土地相続はまず言葉と基礎控除の確認から始めよう
土地相続は、聞き慣れない言葉に戸惑うところから始まりますが、順番に見ていけば決して手に負えないものではありません。
まず遺産・法定相続人・相続登記・相続税評価額という4つの言葉を押さえ、土地を相続したらまず名義変更(相続登記)から動くこと、そして2024年4月から相続登記は義務化され、相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になることを確認しました。
相続税がかかるかどうかは、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)と遺産のおおよその総額を見比べれば、大まかな見当がつきます。
まず取りかかれる一歩は、固定資産税の納税通知書を探し出すこと、それだけです。
土地の所在地と面積を紙に書き出せば、相続手続きの入り口に立てます。
名寄帳の取り寄せも、登記の申請も、専門家への相談も、すべてこの一枚の書類から始まります。
全部を一度にやろうとしなくて大丈夫です。
土地の正確な評価額の算定や、相続税がかかるかどうかの最終的な判断は、税理士でなければ行うことができません。
登記の手続きは司法書士が窓口になります。
自分でできる部分と専門家に任せる部分をはっきり分けて、電話やLINEで気軽に相談しながら、一歩ずつ進めていけば大丈夫です。
参考リンク:

