
死亡での銀行口座凍結を解除する3ステップ
必要書類と凍結中の手続き
【2026年7月更新】
親が亡くなったあと、銀行口座が凍結されると聞いて、いったい何が起きるのか、どうやって解除すればいいのかを調べ始めた方も多いのではないでしょうか。
葬儀をなんとか終えて、ひと息ついたところで気づく。
親の口座からお金が引き出せない。
公共料金の引き落としも止まっている。
窓口で説明を受けても、聞き慣れない言葉が続いて、どこから手をつければいいのか見当もつかない。
ご家族はいるけれど、近くに住んでいる自分がやるしかない。
そんな戸惑いを一人で抱えたまま、この記事にたどり着いた方もいらっしゃると思います。
結論からお伝えします。
口座が凍結されても、順番に確認していけば自分で進められます。
解除までの流れは、金融機関への連絡・書類集め・提出という3ステップだけです。
特別な資格も、難しい知識も必要ありません。
最初にすることは、口座のある金融機関に電話をして「相続の手続きをしたい」と伝えること。
それだけで、その銀行で必要になる書類と、これから何をすればよいのかの案内を受けられます。
ただ、ひとつだけ先に知っておいていただきたいことがあります。
「凍結されたら一円も引き出せない」と思われがちですが、実際には法律で、凍結されている間でも一定の金額を引き出せる仕組みが定められています。
凍結されている間にできる手続きもあるということです。
葬儀の費用を立て替えたままの方にとっては、特に関わりの深い内容です。
もっとも、こうした手続きを調べていると、意味のよく分からない言葉が次々に出てきます。
この記事は、そうした言葉がよく分からないという方に向けても、やさしく解説しています。
最初の章で必要な言葉をまとめて押さえてから、手続きの話へ進みます。
読み終えるころには、今日動ける一歩が見つかるはずです。
この記事を読んで分かること
- 死亡で口座が凍結される理由と時点
- 解除までの3ステップの進め方
- 必要書類6種類のそれぞれの役割
- 凍結中に引き出せる金額の計算式
ぜひ最後までお読みください!
目次
まず押さえたい口座凍結の4つの言葉

手続きの説明を読んでいると、「遺産」「相続人」「法定相続分」「払戻し」という言葉が当たり前のように出てきます。
でも、これらの言葉の意味を正確に知っている方は、実はそれほど多くありません。
言葉の意味が分からないまま手順を読んでも、どこかで「これは自分のことなのか」が分からなくなってしまいます。
ここでは、この後の説明を読むために必要な言葉を4つだけ、順番に押さえていきます。
遺産とは亡くなった方の財産すべてのこと
「遺産(いさん)」と聞くと、預貯金や不動産をイメージする方が多いと思います。
ただ、遺産にはプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
具体的には、次のようなものが遺産に当たります。
- 預貯金(銀行口座の残高)
- 不動産(土地・建物)
- 株式や投資信託などの有価証券
- 車や貴金属などの動産
- 借入金やローンの残債(マイナスの財産)
この記事で主に話題にするのは「預貯金」の部分ですが、相続税の見通しを立てるときには預貯金以外の財産も合わせて考える必要が出てきます。
相続人と法定相続人はどこが違うのか
「相続人(そうぞくにん)」とは、亡くなった方の財産を引き継ぐ人のことです。
そのうち「法定相続人(ほうていそうぞくにん)」とは、民法という法律によってあらかじめ「この関係にある人が財産を引き継ぐ」と定められた人を指します。
たとえば親が亡くなった場合、法律上は次の方が法定相続人になります。
- 配偶者がいれば、必ず法定相続人になる
- 子ども(ご本人やごきょうだい)も法定相続人になる
「相続人」という言葉は広い意味で使われることもありますが、この記事では「法定相続人」と同じ意味で使います。
自分が相続人にあたるかどうか分からないときは、まず金融機関の窓口で確認してみてください。
法定相続分とは、法律が定めた取り分の目安のこと
相続人が複数いる場合、誰がどのくらいの割合で財産を受け取るかの目安を「法定相続分(ほうていそうぞくぶん)」といいます。
たとえば、配偶者と子ども2人が相続人の場合、法律上の目安は次のようになります。
- 配偶者:全体の2分の1
- 子ども2人:残りの2分の1を2人で均等に分ける(それぞれ4分の1)
ただしこれはあくまで目安であり、相続人全員が話し合いで合意すれば、この割合と異なる分け方をすることもできます。
この「法定相続分」という数字は、後で説明する「凍結中に引き出せる金額の計算」にも登場します。
言葉の意味として頭の片隅に置いておくと、後の章が読みやすくなります。
払戻しとは、口座からお金を引き出すこと
「払戻し(はらいもどし)」とは、銀行口座に預けているお金を引き出す手続きのことです。
普段は「引き出し」と呼ぶことが多いですが、相続の手続きの場面では「払戻し」という言葉が使われます。
「銀行に預けていたお金を自分の手元に戻してもらうこと」だと理解しておけば十分です。
以上の4つをまとめると、次のようになります。
| 言葉 | 意味のまとめ |
|---|---|
| 遺産 | 亡くなった方が持っていたすべての財産(プラスもマイナスも含む) |
| 相続人・法定相続人 | 財産を引き継ぐ人。法律であらかじめ定められている |
| 法定相続分 | 相続人それぞれが受け取る割合の目安 |
| 払戻し | 口座からお金を引き出すこと |
この4つの言葉が頭に入ったところで、次はいよいよ「なぜ銀行が口座を止めるのか」という本題に進みます。
銀行が口座を止めるのは財産を守るため

口座が凍結されると、具体的に何ができなくなるのでしょうか。
そして、なぜ銀行はそのような措置を取るのでしょうか。
まずここを理解しておくと、この後の手続きの話が頭に入りやすくなります。
凍結されると口座に関わるすべての動きが止まる
銀行が口座を凍結すると、その口座ではすべての取引ができなくなります。
- お金を引き出すことができない
- 口座にお金を入金することができない
- 公共料金や保険料などの自動引き落としが止まる
- キャッシュカードでの操作ができない
「引き出しだけが止まる」のではなく、入金も含めてすべての動きが止まります。
公共料金の引き落としが止まると、電気・ガス・水道などの支払いが滞る可能性があります。
気づいた時点で、支払い口座の変更手続きを取っておくと安心です。
凍結は罰則ではなくトラブルを防ぐ仕組み
凍結は、亡くなった方の財産を守るための仕組みです。
たとえば、相続人が複数いる場合を考えてみてください。
ごきょうだいのうちの一人が、他の相続人の同意を得ないまま口座からお金を引き出してしまったとします。
残りの相続人にとっては、受け取るべき財産が勝手に減らされてしまうことになります。
こうした事態を防ぐために、銀行は「相続人全員で話し合いが終わるまで、口座を動かせない状態にする」という対応を取ります。
凍結は罰則ではなく、財産をめぐるトラブルを未然に防ぐための措置です。
凍結が始まるのは銀行が死亡を知ったとき
ここは多くの方が誤解されているところです。
役所に死亡届を提出しても、その情報が銀行に自動で伝わることはありません。
銀行が口座を凍結するのは、銀行自身が「口座名義人が亡くなった」という事実を知ったときです。
銀行が死亡を知るきっかけには、ご家族からの連絡や、相続の手続きのために窓口を訪れた際に判明する場合などがあります。
つまり、亡くなったことを銀行に連絡していなければ、しばらくの間は口座が動いたままになることもあります。
逆に言えば、連絡した時点から凍結が始まります。
「まだ連絡していないから口座が使える」という状態は望ましくありませんので、気づいた時点で金融機関に連絡しておくのが確実です。
死亡以外の理由で凍結されることもある
口座が凍結される原因は、死亡だけではありません。
判断能力が低下した場合(認知症など)や、不正利用の疑いがある場合にも、銀行が口座を止めることがあります。
この記事では「ご家族が亡くなったことによる凍結」を主に扱います。
認知症による口座凍結については、成年後見制度など別の手続きが関わるため、該当する場合は専門家にご相談ください。
銀行が口座を止めるのは、ご家族を困らせるためではありません。
そう理解した上で、次は「どうやって凍結を解除するか」という手順に進みます。
凍結の解除は金融機関への連絡から始まる
凍結を解除するために、最初にしなければならないことは一つだけです。
口座のある金融機関に電話をして、「相続の手続きをしたい」と伝えること。
それだけです。
難しい書類を先に用意する必要はありません。
法律の知識も、専門用語も、この電話の時点では不要です。
電話では「相続の手続きをしたい」と伝えるだけ
電話口で詳しい事情を説明する必要はありません。
「亡くなった方の名前」と「口座があることを確認したい」という旨を伝えれば、担当の部署につないでもらえます。
電話をすると、その金融機関の担当者から次のような案内があります。
- その銀行で必要になる書類の一覧
- 書類をそろえた後の手続きの流れ
- 窓口への来店が必要かどうか
案内の内容をメモしておくと、この後の手続きが進めやすくなります。
電話の前に手元にメモ用紙を用意しておくと安心です。
書式は銀行ごとに違うため口座の数だけ連絡する
注意が必要なのは、相続手続きの書式が金融機関ごとに異なるという点です。
たとえば、亡くなった方がA銀行とB銀行の両方に口座を持っていた場合、A銀行に連絡して書類をそろえても、その書類がB銀行でそのまま使えるとは限りません。
それぞれの銀行が独自の相続届を用意しているため、口座がある金融機関の数だけ、個別に連絡が必要になります。
口座がどの金融機関にあるかが分からない場合は、通帳やキャッシュカードを手がかりに確認してみてください。
郵便物の中に銀行からの通知や明細が混じっていることもあります。
手続きの全体像は連絡・書類集め・提出の3ステップ
凍結解除の手続きは、大きく分けると次の3つのステップで進んでいきます。
- ステップ1:金融機関への連絡 — 口座のある銀行に電話をして「相続の手続きをしたい」と伝える。必要書類の一覧と手続きの案内を受け取る
- ステップ2:書類を集める — 案内された書類を一つずつそろえていく。戸籍謄本など、取り寄せに時間がかかるものもある
- ステップ3:書類を提出して手続き完了 — そろえた書類を金融機関の窓口に持参、または郵送で提出する。内容に問題がなければ手続きが完了する
この3ステップのどこで止まっているかを意識するだけで、「次に何をすればいいか」が見えやすくなります。
手続きが複雑に感じられるのは、全体像が見えていないからです。
次の章では、ステップ2で必要になる書類の中身を一つひとつ確認していきます。
凍結解除に必要な書類はおおむね決まっている
金融機関から必要書類の案内が届くと、聞き慣れない書類の名前がいくつも並んでいて、気持ちが沈んでしまうことがあります。
でも、慌てなくて大丈夫です。
相続手続きで求められる書類は、金融機関によって細かい部分は異なりますが、必要になるものの種類はおおむね決まっています。
それぞれが「何を証明するための書類なのか」を知っておくだけで、集める作業が取り組みやすくなります。
亡くなった方の戸籍謄本は出生から死亡まで
これは「亡くなった方が確かに存在していた」ことと、「誰が法定相続人にあたるか」を確認するための書類です。
戸籍謄本は、本籍地のある市区町村の窓口で取り寄せます。
ただし、「出生から死亡まで」と書かれている場合、一通の戸籍謄本では足りないことがほとんどです。
引っ越しや結婚などで本籍地が変わるたびに戸籍が新しく作られるため、以前の本籍地の役所にも請求が必要になる場合があります。
複数の自治体から順番に取り寄せる作業になるため、時間に余裕を持って動き始めるのが確実です。
なお、相続の手続きで集める書類の全体像については、相続税を自分で申告する方法|書類の集め方と手順・実費をやさしく解説でも整理していますので、あわせて確認してみてください。
相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書もそろえる
亡くなった方の戸籍謄本が「誰が相続人か」を確認するための書類だとすれば、相続人全員の戸籍謄本は「その相続人が実在する人物である」ことを確認するための書類です。
あわせて必要になるのが、相続人全員の印鑑証明書です。
印鑑証明書は、実印が本物であることを公的に証明するもので、住民登録をしている市区町村の窓口で取得できます。
ごきょうだいが遠方に住んでいる場合、それぞれが自分の住所地の窓口で取得して郵送で送ってもらう必要があります。
早めに連絡を取り、協力を依頼しておくと進めやすくなります。
遺産分割協議書または遺言書で分け方を示す
「遺産分割協議書」とは、誰がどの財産を受け取るかを相続人全員で話し合って決め、その内容を書面にまとめたものです。
相続人全員の署名と実印による押印が必要になります。
一方、亡くなった方が「遺言書」を残していた場合は、その内容に従って手続きを進めることになります。
遺言書がある場合は遺産分割協議書が不要になることもありますが、金融機関によって対応が異なるため、窓口で確認してみてください。
遺言書が見当たらない場合は、公証役場や法務局に問い合わせると、登録されているかどうかを確認できます。
金融機関所定の相続届は銀行から受け取る
これは、各金融機関が独自に用意している書式です。
内容は「亡くなった方の情報」「相続人の情報」「どの口座をどのように手続きするか」といったことを記入するものです。
最初の電話連絡の際に案内を受け、窓口または郵送で書式を受け取ります。
記入方法が分からない場合は、金融機関の担当者に確認しながら進めて構いません。
通帳やキャッシュカードは見つかる範囲で用意する
亡くなった方の通帳やキャッシュカードが手元にある場合は、持参するよう求められることがあります。
見つからない場合でも手続きが進められることが多いため、見当たらなくても焦らず窓口に相談してみてください。
以上の書類をまとめると、次のようになります。
| 書類の名前 | 何を証明するための書類か |
|---|---|
| 亡くなった方の戸籍謄本(出生〜死亡) | 法定相続人が誰かを確認するため |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 相続人が実在することを確認するため |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 実印が本物であることを証明するため |
| 遺産分割協議書または遺言書 | 誰がどの財産を受け取るかを確認するため |
| 金融機関所定の相続届 | その銀行での手続きを正式に申請するため |
| 通帳・キャッシュカードなど | 対象の口座を特定するため |
書類をそろえる前に窓口で確認しておきたい2点
- 書類の通数・有効期限・コピーの可否といった細かい条件は金融機関ごとに異なり、印鑑証明書などに有効期限を定めている金融機関もある
- この記事で紹介した書類はあくまで一般的な目安のため、実際に何が必要かは最初の電話連絡の際に各金融機関へ直接確認する
書類をそろえる作業は、時間はかかりますが難しくはありません。
「次はこの書類を取りに行く」と一つずつ決めながら進めていくと、着実に前に進みます。
凍結中でも葬儀費用を引き出せる制度がある
「口座が凍結されたら、遺産分割が終わるまで一切引き出せない」と思っていた方も多いと思います。
実はそうではありません。
法律によって、凍結されている口座からでも、一定の金額を引き出せる制度が設けられています。
葬儀費用を立て替えたまま手続きを待っている方、当面の生活費が心配な方にとって、知っているかどうかで大きく状況が変わる制度です。
遺産分割前の預貯金の払戻し制度という仕組みがある
この制度の正式名称は、「遺産分割前の預貯金の払戻し制度」といいます。
民法909条の2に基づいて定められた制度で、法務省のページでも内容が公開されています。
「仮払い制度」と呼ばれることもありますが、正式な名称は上記のとおりです。
この制度によって、各相続人は、他の相続人全員の同意を得なくても、一人で払戻しを受けることができます。
葬儀の費用や当面の生活費が必要なのに、ごきょうだい全員の合意を待たなければならないとしたら、とても困ってしまいます。
この制度は、そういった切迫した状況に対応するために作られたものです。
引き出せる金額は口座ごとに計算式で決まる
引き出せる金額には上限があります。
いくらでも引き出せるわけではありません。
法務省が示している計算式は、口座ごとに次のように計算します。
法務省が示している計算式(口座ごとに計算する)
引き出せる額 = 相続開始時の預貯金債権の額 × 3分の1 × 払戻しを求める相続人の法定相続分
3分の1は法律で決まっている割合、法定相続分はその方が受け取る取り分の目安です。この2つを残高に掛けた金額が、一人で引き出せる上限になります。
少し難しく見えますが、一つずつ分解してみます。
たとえば、亡くなった方の口座に300万円の残高があり、相続人がご本人とごきょうだい1人の合計2人だとします。
子ども2人が相続人の場合、それぞれの法定相続分は2分の1です。
この場合の計算は次のようになります。
- 300万円 × 3分の1 × 2分の1 = 50万円
つまり、この例では50万円まで、一人で払戻しを受けることができます。
計算に出てくる「3分の1」は法律で決まっている数字で、こちらで変わることはありません。
同じ金融機関からの払戻しは150万円が上限になる
計算式で出た金額が150万円を超える場合でも、同一の金融機関からの払戻しは150万円が上限です。
これも法律(平成30年法務省令第29号)で定められた上限額です。
たとえば計算式上は200万円という結果になったとしても、同じ銀行から引き出せるのは150万円までになります。
ただし、複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれについて個別にこの制度を使えます。
A銀行で150万円、B銀行で計算式の範囲内の金額というように、金融機関ごとに申請が可能です。
使い方は窓口でこの制度の利用を申し出るだけ
この制度を使うには、口座のある金融機関の窓口で「遺産分割前の預貯金の払戻し制度を使いたい」と伝えます。
その際に必要になる書類は、前の章で説明した相続手続きの書類と重なる部分が多くなります。
亡くなった方の戸籍謄本や、払戻しを求める相続人自身の戸籍謄本・印鑑証明書などが求められることが一般的ですが、金融機関によって細かい条件が異なります。
最初に電話をした際に「払戻し制度も使いたい」と合わせて伝えておくと、必要書類をまとめて案内してもらえます。
上限を超える場合は家庭裁判所という選択肢
計算式の上限を超える金額がどうしても必要な場合、家庭裁判所に遺産の分割の審判または調停を申し立てることで、仮払いを認めてもらえる場合があります。
ただしこちらは裁判所を通じた手続きになるため、手順が複雑になります。
まずは金融機関の窓口でこの制度を使える範囲を確認した上で、それでも対応が難しい場合の選択肢として知っておくとよいでしょう。
「凍結されたら何もできない」という思い込みが、行動を止めてしまっていることがあります。
法律で認められたこの制度を使えば、遺産分割の話し合いが終わる前でも、葬儀費用や当面の生活費を手元に戻すことができます。
残高が分かると相続税の見通しが立てられる
凍結解除の手続きを進める中で、残高証明書を取り寄せる場面があります。
残高証明書とは、亡くなった方の口座に、死亡した時点でいくらの預金があったかを銀行が証明してくれる書類のことです。
相続手続きの中で金融機関から案内されることが多く、必要な書類の一つとして求められることがあります。
預金額が分かることは遺産の全体像が見えはじめること
残高証明書で預金額が分かると、遺産の輪郭が少しずつ見えてきます。
ただし、遺産は預貯金だけではありません。
最初の章でも触れたように、不動産や有価証券、借金なども遺産に含まれます。
相続税がかかるかどうかを判断するには、預貯金の残高だけでなく、すべての財産を合計した「遺産の総額」を把握する必要があります。
預金額が分かったことを出発点に、他にどんな財産があるかを一つひとつ確認していく作業が、この後に続きます。
相続税の有無は基礎控除の仕組みで決まる
相続税には、「基礎控除」という仕組みがあります。
「控除」とは差し引くという意味で、基礎控除とは、遺産の総額がこの金額以下であれば相続税がかからないという、いわば課税されない範囲の上限のことです。
基礎控除額は、法定相続人の人数によって変わります。
法定相続人が多いほど、基礎控除の金額も大きくなる仕組みです。
遺産の総額が基礎控除の範囲に収まっていれば、相続税の申告も納税も必要ありません。
基礎控除の具体的な金額や計算のしかたは、相続税はいくらから?基礎控除の計算と無税になる金額を解説で詳しく整理しています。
自分のケースで相続税がかかるかは税理士に確認する
ここで一つ、大切なことをお伝えします。
「基礎控除の仕組みがある」「法定相続人の数によって金額が変わる」という一般的な制度の説明はできますが、「ご自身のケースで相続税がかかるかどうか」「申告が必要かどうか」という個別の判断は、税理士でなければおこなうことができません。
遺産の中に不動産が含まれる場合は評価額の計算が必要になりますし、生命保険金が支払われた場合はその取り扱いも関わってきます。
一見かんたんに見えるケースでも、確認すべき項目は思った以上に多くあります。
残高証明書を手にして「遺産の全体像がおおよそ見えてきた」と感じたタイミングが、税理士に相談する自然な入り口です。
口座凍結の手続きは順番に確認して進めよう
口座が凍結されても、進め方は決まっています。
金融機関に連絡し、書類を集め、窓口に提出する。
この3ステップの順番で進めれば、手続きは着実に前に進みます。
凍結は罰則ではなく、相続人全員の財産を守るための仕組みです。
凍結が始まるのは銀行が死亡を知ったときで、死亡届を出しても銀行には自動で伝わりません。
葬儀費用を立て替えている場合は、遺産分割前の預貯金の払戻し制度が使えます。
他の相続人の同意なしに一定の金額を引き出せる制度で、同一の金融機関からの払戻しは150万円が上限です。
まず口座のある金融機関に電話をして「相続の手続きをしたい」と伝えるところから始められます。
当面のお金に困っている場合は、その電話で払戻し制度も使いたいと合わせて伝えると、必要書類をまとめて案内してもらえます。
一方で、口座凍結が解除された後の資産に相続税がどれくらいかかるか、申告が必要かどうかといった個別の判断については、税理士でなければ断定的なアドバイスを行うことができません。
凍結されている口座の資産が分かった段階で、早めに相談することをお勧めします。
参考リンク:

